ランニングのようにテクノロジーが走り方までを変えてしまった事例は珍しい。スポーツシューズのテクノロジーの多くは、プレースタイルや環境などの移り変わりに合わせて進化を繰り返している。
アウトドア
日帰り登山にはトレランシューズから発展した軽量ブーツが最適!
さかいやスポーツ 課長 高橋典孝さん
神保町を代表するアウトドアショップの名物スタッフ。登山だけでなく、トレランにも積極的に参加する。
トレイルランニングの人気に火をつけた『激走モンブラン!』(NHK)の放送から約12年。現在のブームを裏づけるかのように、トレイルランニングシューズから派生したかのような進化系ブーツが増えている。
「見た目に重厚感はありますが、重量は従来のマウンテンブーツの半分程度で、防水性に優れ、日帰り登山ならこれで十分。柔らかい芯材を使っていますので、ミッドカットでありながらローカット感覚で歩けるというのも人気の理由です」
耐久性と保護性を重視した従来のマウンテンブーツは重量1kg超が当たり前!
多くの登山家や探検隊の足元を支えてきた本格的なマウンテンブーツは、急峻な岩場から足を守り、重い荷物を背負っても疲れにくいよう設計されており、重量が1㎏を超えるのは常識。日帰り登山だとオーバースペックは否めない。
中山製靴『登山靴G』4万8500円
60年以上の歴史を持ち、職人のフルハンドメイドで作られる名品。オールシーズンで使える。
トレランブームで超軽量なソフトブーツが花盛り!
転がるように足が動くゆりかご形状
ホカオネオネ『カハ GTX』3万8500円
独特なソール形状によって、転がるように山を登り下りできる。透湿防水性に優れたゴアテックス®を搭載。
ゆりかごのようになだらかに大きくカーブする、ソールの独特な形状が最大の特徴。足が自然に前へ進むような転がり性能と抜群のクッション性、そして高い反発力を発揮する。アウトソールはグリップ性能に定評のある、ビブラム社のメガグリップアウトソール。
ロー感覚で履けるソフトな履き口
スポルティバ『ウルトララプターⅡ ミッド GTX』2万900円
トレイルランニングシューズの快適性をキープしながら、高いサポート力を実現した。
耐久性に優れたメッシュとマイクロファイバーを用いたアッパーは非常にソフト。通常の登山靴のように履き慣らす必要がなく、靴ズレの心配も少ない。
裸足感覚で走れるワイドなゼロドロップ
アルトラ『ローンピーク4 ミッド RSM』2万5300円
レインウエアでも採用する防水透湿素材「イーベント」を搭載。片足366gと超軽量。
足の指を自由に動かせるワイドな足先は、トレイルランニングシューズで培った技術を反映したもの。登山靴でありながら裸足感覚で走れるのも新鮮!
トレランシューズはさらにハイテクに!
片足約170gながらグイグイ走れる!
サロモン『S/LAB パルサー』2万5300円
トレランシューズの常識を覆した次世代モデル。ロードシューズのような超軽量設計。
デザインコンセプトは〝トレイルを走破できるロードシューズ〟。ニット素材でできたシームレス仕様のアッパーはわずか170gと驚くほど軽い!
カーボンファイバープレートを内蔵
ザ・ノース・フェイス『フライト ベクティブ』2万8050円
つま先とカカトが上向きになったロッカー構造に、ランニングのトレンドを融合した快作。
トレランシューズとして初めて3Dカーボンファイバープレートを搭載。着地時に生じる微細なブレを防ぎ、バネのような推進力を実現した。
取材・文/佐藤周平、渡辺和博