高校野球などの試合でよく聞くコールドゲーム。大きく点差が開いた時などに最終回を待たずに終了するゲームのことを指しますが、同じ高校野球の試合なのに、コールドゲームが成立したりしなかったりすることがあるんです。
そこで今回はコールドゲームの具体的なルールについてご紹介しつつ、その疑問にお答えしたいと思います。
高校野球のコールドゲームには何点差が必要?
コールドゲームとは、大きく得点差が開いた際に成立するゲームなどを指します。高校野球特別規則によると、正式試合でコールドゲームを採用する場合は、以下のとおり統一されています。
・5回終了時点で両チームの得点差が10点以上
・7回終了時点で両チームの得点差が7点以上
例えば8回終了時点で「先攻チーム20点-後攻チーム13点」といったケースでもコールドゲームは成立します。
【例】
5回終了時点:得点差10点以上で成立
6回終了時点:得点差10点以上で成立
7回終了時点:得点差7点以上で成立
8回終了時点:得点差7点以上で成立
これらは〝得点差コールドゲーム〟と呼ばれており、球審が「コールドゲーム」を宣言すると成立します。しかし、テレビで甲子園の試合を見ていて、得点差が大きく開いているのにコールドゲームにならないのはなぜでしょうか。
実は高校野球の場合、得点差コールドゲームは選抜高等学校野球大会、全国高等学校野球選手権大会、全国高等学校軟式野球選手権大会では適用されないのです。
つまり甲子園で得点差コールドゲームはないのです。
※写真はイメージです。
また、地方予選の決勝戦などでもコールドゲームが適用されないケースがあります。
最近では2014年の高校野球石川大会の決勝戦で、9回表終了時点で0-8と8点差が付いていたものの、決勝戦は規定によりコールドゲームが成立せず、後攻チームが9回裏に9点を入れて、9-8の大逆転劇を演じたこともありました。
高校野球の雨天コールドとは?
高校野球特別規則には〝雨天コールド〟という名称はありませんが、激しい雨が降って試合の続行が困難と判断された時、コールドゲームとして試合が正式に成立することがあります。
これは雨天コールド、降雨コールドなどとも呼ばれます。そんな雨天コールドが成立する条件をチェックしていきましょう。
まずは高校野球特別規則に書かれている「正式試合の成立」を見てみましょう。
「正式試合の成立」には、以下のように書かれています。
「審判員が試合の途中で打ち切りを命じたときに正式試合となる回数の規則7.01(c)については、高校野球では5回とあるのを7回と読み替えて適用する」
そして野球規則の7.01(c)には、以下のように書かれています。
「7.01(c):球審によって打ち切りを命じられた試合(コールドゲーム)が次に該当する場合、正式試合となる」
(1)5回の裏表を完了した後に、打ち切りを命じられた試合。(両チームの得点の数には関係ない)
(2)5回表を終わった際、または5回裏の途中で打ち切りを命じられた試合で、ホームチームの得点がビジティングチームの得点より多いとき。
(3)5回裏の攻撃中にホームチームが得点して、ビジティングチームの得点と等しくなっているときに打ち切りを命じられた試合。
つまり高校野球の場合……
○7回表裏を終了し、審判員が雨などで試合の続行が難しいと判断した時、得点差に関係なく試合終了となります。
○7回表が終わった時、または7回の裏の途中で後攻チームの得点が先行チームの得点よりも多い時、雨などで試合を続けるのが難しいと判断された場合でも試合終了となります。
○7回裏の攻撃中に後攻チームが得点して、先行チームの得点と等しくなった時、審判員が雨などによって試合を続けるのが難しいと判断した場合も試合終了となります。
例えば、6回裏終了時点で雨が激しくなり、審判員が試合を続けるのが難しいと判断して打ち切りを命じた場合、高校野球の場合は基本的に「正式試合」にはなりません。
正式試合にならない場合はノーゲーム(無効試合)となり、大会ルールなどにもよりますが、翌日以降に再試合となるケースが多いです。
コールド負けとは?
高校野球特別規則に明確な表現はありませんが、高校野球ファンの間では得点差コールドゲームで敗北した場合、「コールド負けをした」などと表現することがあります。
また、反対に得点差コールドゲームで勝利した場合、「コールド勝ちをした」と表現されるケースもあります。
社会人野球などほかのアマチュア大会では? 高校野球以外にもコールドゲームはある?
コールドゲームといえば、高校野球を思いつく人が多いかもしれませんが、そのほかのアマチュア大会でもコールドゲームはあるのでしょうか?
例えば日本野球連盟(社会人野球)内規によると、以下のように明記されています。
球審によって打ち切りを命じられた試合(コールドゲーム)が正式試合となる規程回数「五回」を「七回」に置きかえて、規則7.01(c)の規程を適用する。
規則7.01(c)とは、雨天コールドの項目でも紹介したとおり、以下のように書かれています。
7.01(c):球審によって打ち切りを命じられた試合(コールドゲーム)が次に該当する場合、正式試合となる。
(1)5回の裏表を完了した後に、打ち切りを命じられた試合。(両チームの得点の数には関係ない)
(2)5回表を終わった際、または5回裏の途中で打ち切りを命じられた試合で、ホームチームの得点がビジティングチームの得点より多いとき。
(3)5回裏の攻撃中にホームチームが得点して、ビジティングチームの得点と等しくなっているときに打ち切りを命じられた試合。
つまり社会人野球の場合も高校野球と同じく、7回の表または裏が終わった時、もしくは7回裏の途中でコールドゲームとして試合が終わる可能性もあります。
このとおり、高校野球以外のアマチュア大会でもコールドゲームが採用されていることがわかります。
プロ野球でもコールドゲームはある?
原則としてプロ野球に得点差コールドゲームはありません。しかし、球審が天災などにより試合の続行が難しいと判断した場合、5回表裏が終了していればコールドゲームとして試合が正式に成立します。
例として2021年4月6日。阪神甲子園球場で行われた阪神タイガースVS読売ジャイアンツ戦では、7回裏終了時点で阪神が6-2と4点リードの状況で、降雨によるコールドゲームが宣言されており、正式な試合として成立しています。
※データは2021年4月中旬時点での編集部調べ。
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文/髙見沢 洸