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ピンク色のドリンクを飲むと速く、長く走れるようになるってホント?

2021.05.29

 トートバッグに無造作に放り込んでいた空き缶に気づく。どこかで捨てることができればいいが、なければこのまま持って帰るしかないだろう。それにしても派手なデザインと色使いの缶である。今朝飲んだエナジードリンクの缶はピンク色だったのだ。

エナジードリンクの空き缶をバッグに入れたまま帰路に就く

 疲れている。あまり言いたくない言葉だが今日は疲れた。昨夜は夜遅くまで作業が続き、睡眠時間もそこそこに今朝は早くから身内関係の用事を果たさねばならなかった。

 各所を動き回りなんとか午後には目途がついた。電車を乗り継いで今、高田馬場に戻ってきたところだ。

 新宿駅で山手線に乗った場所が車両の最後尾だったこともあり、長いホームを歩くのも面倒なので久しぶりに戸山口から出る。電車に乗っている間ににわか雨があったようで一部の路面が少し濡れていた。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 午後5時半を回っている。まだ明るいが今日はもう仕事をする気にはならない。部屋に戻って冷蔵庫の発泡酒を2、3缶空ければたちまち眠くなるだろう。ならばどこかで何かを食べてから帰ってみてもよかった。ともあれガード下の道を右に進む。

 エナジードリンクの空き缶を捨てる場所がないかと見回すが特になさそうだ。それならこのまま持って帰って回収ゴミに回してもよい。

 エナジードリンクなどはめったに飲まないほうだが、寝不足のうえに疲れもとれていない今朝、ミントタブレットを買うべく電車に乗る前に立ち寄ったコンビニでエナジードリンクを見かけて手が伸びてしまった。いくつか種類があったのだが、その違いをあまり把握しないままにピンク色の缶を手に取ってレジに持って行ったのだ。

 電車に乗る前にそのエナジードリンクを飲んだのだが、なかなか悪くない味だった。フルーツパンチのような味といったらいいのだろうか。とはいっても今後エナジードリンクを飲む習慣がつくかといえばそうは思えない。次に飲む機会が来るのはどれくらい先のことになるだろうか。

 ともあれそうして飲み終えたものの空き缶を捨てる場所はどこにもなく、トートバッグに入れたまま今日一日を過ごすはめになってしまった。

 付近の左側の一帯はほぼ住宅街であるが、このガード下沿いの道には飲食店が点在している。少し先にはテイクアウトのメロンパン専門店があり、店の前には数人のお客が立っている。テイクアウトではなく今はどこかで軽く食べたい気分なので先を進む。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 そういえばエナジードリンクにはメロンソーダ風の黄緑色の缶もあった。メロン味も嫌いではないのに、どうしてピンクの缶を選んでしまったのか自分でも腑に落ちないところもある。単なる気まぐれと言ってしまえばそれだけなのだが……。

ピンク色のドリンクで速く、長く走れる?

 何度か入ったことのある人気のあるやきとん居酒屋の前を通り過ぎてさらに先を進む。ここから先は少しばかり飲食店はない。特に魅かれる店がなければ早稲田通りに出てしまってもよいだろう。

 自分が好きな色がピンクであることなど、間違ってもないように思えるのだが、さまざまなバイアスから表層的には否定していても、実は潜在意識のレベルでピンクが好きという可能性もゼロではないかもしれない。しかしそうは言ってもやっぱりあり得そうにもない。自分の持ち物などでピンク色のものなどは考え得る限り1つもないからだ。

 だがピンクが嫌いというわけではない。真っ赤や真っ青とは違ってピンクはマイルドで温もりを感じさせてくれる色であることは否定できず、嫌いであるはずもない。場合によってはアダルト方面の意味合いも帯びてくるピンクだが、総じてポジティブで喜ばしい気分にさせてくれる色であるだろう。

 そして最新の研究でも、単純にピンクに着色したドリンクが身体的パフォーマンスを高めるという興味深い研究結果が報告されている。ピンク色のドリンクにはアスレチックな“プラセボ効果”があるというのである。


 ウェストミンスター大学の栄養補助食品センターが主導する新しい研究によると、ピンクの飲み物は、透明な飲み物と比較して、より速く、より遠くまで走ることができます。

 研究者たちは、ピンクの飲み物は運動パフォーマンスを4.4%向上させることができ、運動をより容易に感じさせることができ、「気分の良さ」を高める効果もあることを発見しました。

 ジャーナル「Frontiersin Nutrition」に掲載されたこの研究は、飲み物の色が運動パフォーマンスに及ぼす影響を評価する最初の調査であり、スポーツドリンクと運動の分野における将来の研究の新しい道を開く可能性を提供します。

※「University of Westminster」より引用


 英・ウェストミンスター大学とラフバラ大学の合同研究チームが2021年5月に「Frontiers in Nutrition」で発表した研究によれば、同じカロリーで単純にピンクに着色したドリンクが、透明のドリンクに比べてトレッドミルの平均速度を高め、走行距離を伸ばしていることを実験を通じて明らかにしている。

 実験参加者はトレッドミルで30分走ることを求められたのだが、走行中に補給するドリンクを半数にはピンクに着色したものが与えられ、もう半数には無色透明のものが提供された。どちらのドリンクも成分とカロリーは同じで単純に食用着色料が入っているかいないかだけの違いである。

※画像はイメージです(Unsplashより)

 収集したデータを分析した結果、ピンクのドリンクを飲んだ参加者は平均212メートル多く走り、平均速度も4.4%増加していたことが示されたのだ。ピンクのドリンクを補給しながら走ったグループはまた主観的な喜びの気持ちも高まり、より楽しく走ることができたことが報告されている。

 ピンクという色には身体能力を高める“プラセボ効果”があったということになる。ということは寝不足で疲れていた今朝の身体が、無意識ではあったにしても肉体的コンディションを整えようとピンク色の缶を求めたのかもしれない。

鮮やかなピンク色のメニューに元気づけられる

 居酒屋が見えてきた。この店も以前に入ったことがある。昨年の秋頃で、コロナがひと段落したように思えた時期だったことを思い出す。店頭の黒板を見るとこの時間でもまだランチメニューを出しているようである。これはありがたい。入ることにしよう。

 緊急事態宣言によって飲食店は時短営業を余儀なくされていて、自分のような夜型の人間は外で飲食する機会を大きく奪われているのだが、そうした中にあってここのようにランチタイムを延長しているお店が出てきている。外で夕食を摂るのはなかなか難しいものの、遅いランチを食べられる機会が少しは増えてきたのだ。

 席に着くとお店の人からタブレット端末を渡され、この端末から注文をすることになる。ランチメニューの中からマグロ丼を注文した。ご飯は大盛りも無料だが普通盛りにする。

 一般的な飲食店の通常の営業ではランチタイムを終えてからいったん店を閉めて休憩と仕込みをし、仕切り直して夕方から再び店を開けるパターンが多いが、今は時短営業で夜8時閉店が要請されている。このためランチ後も店を閉めずに通し営業をする店が増えているという。その結果ランチタイムを延長する店も多くなっているということのようだ。

 マグロ丼がやって来る。大きな丼に普通盛りのご飯と同じくらいの量の赤身の切り落しが乗っている。お得だ。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 そしてこのメニューもまた奇しくも鮮やかな濃いピンク色である。やはり今日の自分はピンク色を求めているということなのだろうか。

 海鮮丼に直接醤油をかけるのはあまり行儀が良くないともいわれているが、さっと醤油を振りかけてからひと口食べる。美味しい。そしてピンク色の効果ということなのか、食べているうちに疲労が回復してくる気分にもなる。

 ピンク色の食べ物や飲み物を口にして元気になったと感じられるのはあくまでも“プラセボ効果”であり、栄養面を考慮しなければ“気のせい”ということになる。

 しかしたとえそれが“気のせい”だとしても、今日のように疲れている日にはこうして元気づけられる食べ物は願ったり叶ったりだ。この際、ピンク色の恩恵にどっぷりと浸ってみてもよいのだろう。

 マグロ丼やネギトロ丼のほかにも、ピンク色で元気がつくメニューといえばローストビーフ丼も挙げられてくるだろう。近いうちにローストビーフ丼も食べたいものである。ともあれ骨が折れた1日も、このマグロ丼で気分よく締めくくれそうだ。帰り道にピンクの缶のカクテルでも買って帰るとしようか。

文/仲田しんじ

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