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映画「狂猿」公開記念!デスマッチレスラー葛西純と大槻ケンヂの〝格闘×音楽〟対談

2021.05.27

5月28日に公開される映画『狂猿』。「生きて帰るまでが デスマッチ」という最高のキャッチコピーが示す通り、稀代のデスマッチレスラー・葛西純選手の戦いから日常までを追いかけたドキュメンタリーである。監督を務める川口潤さんは、『山口冨士夫 / 皆殺しのバラード』(2014)『THE COLLECTORS ~さらば青春の新宿JAM~』(2018)やeastan youthのライブ映像などを手がけてきた音楽ドキュメンタリーの名手。

そこで今回、ミュージシャン×デスマッチレスラーという異色の対談をマッチメイク!クレイジーモンキー(狂猿)の異名を持つ葛西選手のお相手を務めていただくのは、筋肉少女帯、特撮、オケミスなどで活動する大槻ケンヂさん!オケミスに参加している僕タカハシヒョウリがレフェリー(まとめ役)となり、お二人のめくるめくデスマッチ談義をお届けします!

流血から予言まで、無差別トークデスマッチ開幕!

大槻ケンヂさん(以下オーケン):葛西さん、どうもです!

葛西純選手(以下葛西):どうも、ご無沙汰してます!

オーケン:『狂猿』拝見しました。とてもすごい映画でした!生の血、リアルの血の量では、映画史上最多じゃないですか?

葛西:ハハハハ!そうですかね、『スーパージャンク』(※本物の死体が出てきたりする映画)とかの方が上じゃないですか。

オーケン:いやぁ、『ジャンク』超えしてると思いますよ!

葛西:そうですか(笑)、ありがとうございます!

葛西純

オーケン:数年前に、葛西選手と松本都選手が組んで、対戦相手がジャガー横田選手と藤田あかね選手、僕が将軍KY若松的な立ち位置で一緒にリングに上がったこともあったんですよね。その時に、後楽園ホールの控え室で少しお話しをしました。

葛西:はい、試合のことは覚えてないんですけど、お話しさせていただいたことは覚えてます。

オーケン:葛西選手の入場テーマ曲が『DEVIL』という曲で、元はGASTUNKというバンドの曲ですが、COCOBATの演奏バージョンなんですよね。その選曲が激シブい!という話をしました。

葛西:そうでしたね。自分が覚えてるのは、自分が高校生の頃に筋肉少女帯さんが出した『サーカス団パノラマ島へ帰る』というアルバムに、のちに起こる地下鉄サリン事件を予言しているような歌が入っていてびっくりしたという話をしました。

オーケン:「詩人オウムの世界」ねぇ。実は、今回もちょっと予言めいてしまったんですよ。特撮で『エレクトリックジェリーフィッシュ』というアルバムを出したんですが、その中の『オーバー・ザ・レインボ~僕らは日常を取り戻す』という曲は昨年の2月頭くらい、コロナがこんなになると思っていなかった頃に書いたんですが、予言めいているんですよね。

大槻ケンヂ

葛西:ほ~!

オーケン×葛西純選手の共通点、毎日死を思いながら生きていた

オーケン:僕は、葛西さんのエピソードでずっと気になっていることがあるんです。帯広から東京に出てきて、警備員の仕事をしながら風俗通いを始めた。それがきっかけで、自分がHIVにかかったんじゃないかと思い込んで検査を受けた。その時に、もしも陰性だったら自分のやりたいこと、プロレスラーになるんだと決めた…、というエピソードがありますが、これは感動するところか笑うところか。どう解釈したら良いんですか(笑)。

葛西それは、両方なんです。自分は、昔からキン肉マンが好きなんです。キン肉マンって、ドジで格好悪いところもあるけど、試合でめちゃくちゃカッコいいところもあるじゃないですか。風俗に通って、HIVになったんじゃないかとアタフタしているカッコ悪い自分もいて、でもそれを克服して長年の夢だったプロレスラーを目指すというカッコいい自分もいる。キン肉マンをオーバーラップさせてるんですよ。誰にも伝わらないかもしれないですが(笑)。

オーケン:なるほど、悲喜劇なんですね。でも実は、僕もHIVノイローゼみたいになったことがあるんです。僕はちょっとメンタルが弱いところがありまして、94年のオウム事件なんかがあった頃に、自分が病気だと思い込む”心気症”というのになってしまったんです。それで、自分はエイズに違いないと思い込んで、毎日死を思いながら生きてました。

葛西:一緒ですよ!当時は、今と違ってエイズ=死というイメージでしたから、恐怖しかなかったですよ。

オーケン:あれは、怖いですよね。どのくらい怖かったかというと、新聞で「エ」ってカタカナがあると、それだけでビクッ!ってするんです。

葛西:わかります!

オーケン:だからデーモン小暮閣下の聖飢魔Ⅱにエース清水さんというギタリストの方がいるんですが、エースさんの名前を見ると怖くて、もうエースさんが怖くなっていたという(笑)。頭がおかしくなってたんですね。なので、葛西さんのエピソードにはすごく共感できるんですよ。

タカハシヒョウリ:ちなみに、オーケンさんはその恐怖は、どう克服したんですか?

オーケン:僕は、15年耐えましたね。その可能性はあるかもしれない、と思い続けながら。15年経って、もう大丈夫だろうと。

葛西:それ、逆にメンタル強くないですか?

オーケン:たしかに(笑)。

オーケンが見た!デスマッチ風雲録!!

オーケン:でも、メンタルということでいうと、デスマッチレスラーの方のメンタルが気になりますよ。

葛西:自分なんかは、デスマッチが好きでやってますから、恐怖感もあるにはあるんですけど、好きって気持ちが恐怖感を上回っているからやれるんだと思いますね。

オーケン:なるほど。デスマッチというと、古くはアントニオ猪木さんと上田馬之助さんの「ネイル(釘板)デスマッチ」なんかがあって、大仁田厚さんの一連のデスマッチがあって、松永光弘さんの新機軸があって。松永さんの「サボテン・サソリ・デスマッチ」は僕も見に行きましたけど、これはとんでもないところに行ったなと思いましたね。後楽園ホールで、松永さんの「月光闇討ちデスマッチ」を見たときも、デスマッチが新しい路線に向かって行くのを感じました。そのあと、葛西さんがメディアに出始めて、これは見ちゃいけないことをやっているなと。

葛西:いや、見て欲しくてやってるんですよ(笑)。

オーケン:秋葉原のファイヤーデスマッチの試合は、映画ではじめて見たんですけど、本当にすごい!火が正気じゃないくらい燃えていて、松永さんが運転する車に葛西選手がハコ乗りして出てくるでしょう、狂ってますよ(笑)。

葛西:ありがとうございます、褒め言葉です。

秋葉原のファイヤーデスマッチは、マジで危なかったですね。火の勢いがすごすぎて、セコンドに付いていた(グレート)小鹿さんが消化器で常時火を消し続けてたっていう。秋葉原のど真ん中でアレですからね、今は絶対できないですよ。

オーケン:ファイヤーデスマッチでも、海外からすごいやつらが来るじゃないですか。海外のデスマッチレスラーは日本のデスマッチレスラーをどう思ってるんですか?やっぱりお互い、ヤバい奴らって思ってるんですか(笑)。

葛西:そうだと思いますよ。秋葉原のファイヤーデスマッチは、「CZW」という団体から来たんですけど、当時って今ほどネットが普及されてなかったんで本当に「黒船襲来!」って感じでした。「鬼ヶ島から鬼が攻めてきた!」みたいな。今はネットが普及してるんで、海外の団体の映像も見れちゃいますが、あの頃はファンタジーでしたね。

オーケン:僕は、数年前に「フリーダムズ」(葛西選手の所属する団体)の試合を後楽園ホールで見てるんですね。竹串を頭に30本くらい刺すやつを初めて見て、ひっくり返りそうになりましたよ。頭に竹串が刺さったままの人たちがリングで戦ってて、俺は何を見てるんだ…って(笑)。『狂猿』では、葛西選手が頬に魚串を貫通させて、相手選手にも貫通させて戦うじゃないですか。本当……、身体だけは大事にしてくださいよ!

葛西:ありがとうございます(笑)

オーケン:映画を見ていると、葛西選手は危険に対する脳の構造が違うんだと思いましたね。それは、一般的なプロレスラーと、デスマッチレスラーで、そもそも違うんだなと。

葛西:そうかもしれないですね。映画の中で、本間朋晃選手も「なんでそんなことやるの?」と言ってますし、やっぱり違うんでしょうね。

オーケン:同じプロレスのカテゴリーだけど、違うものがありますよね。

「ホームセンターにある物が、すべて凶器になる」デスマッチ凶器談義

オーケン:包丁ボードを使って、怪我してしまう選手(竹田誠志選手)の試合があったじゃないですか。あれ、誰が見ても切れますよね。最初にわからないかな?って思いましたよ。

葛西:あれは、ダメですよ。ダメです。自分は、あの日は現場にいなかったんですが、もし仮に会場にいたら間違いなく「それはやめとけ」って言ってましたね。出しても良いけど、それで休むような大怪我とか、死んじゃったら素人と一緒だって言ってたと思います。でも、当日の会場にはそこまで言える人がいなかったんでしょうね。

オーケン:身をもって知ってる人がいなかったってことですね。でも素人としては、包丁も危ないけど、カミソリも危ないだろ!と思うんですけど(笑)。その辺のNGの線引きっていうのは、どうしてるんですか?

葛西:ぶっちゃけですね、自分はデスマッチで包丁出そうが、拳銃出そうが、良いと思うんですよ。ただ、そんな危ないアイテムを出しつつ、いかに大怪我をしないか、死んでしまわないか。そういう試合をするのが我々プロなんです。出しても良いけど、怪我しない使い方をするのがプロです。

オーケン:なるほど…。画鋲はどうなんですか?画鋲は痛いですよ!

葛西:画鋲は間違いなく痛いですけど、画鋲で死ぬことは無いんで。

オーケン:死なないかもしれないけど、画鋲は痛いですよ…。あと、何かの試合でレゴ持ってきて、敷き詰めてる人がいて。レゴも痛いよ~、って。

逆に今まで出した中で、これはいまいちだったっていう凶器はあるんですか?

葛西:自分が出したわけじゃないですけど、ジョロキアソースとかハバネロソースですね。蛍光灯とか割って出来た傷、そこにジョロキアソースをかけるんです。めちゃくちゃ痛いですけど、お客さんにぜんぜん伝わらないんですよね。

オーケン:レモン汁なんかもありましたよね(笑)。

葛西:ありましたね。めちゃくちゃ痛いんですけど、お客さんが笑っちゃってるんで。あれは失敗だなーと思いましたね。

オーケン:僕は「それはやめろ!」って思ったのは、バラモン兄弟が変な虫とか出すじゃないですか。あれは、やめろって言ってください!女の子、来なくなりますよ(笑)。

葛西:でも、彼らは女の子とか興味ないんですよね(笑)。自分もバラモン兄弟と戦った時は、カブトムシの幼虫とか、草履みたいなゴキブリとか出してきて。自分は普段、部屋でゴキブリ出たら、違う部屋にいる嫁さんに退治してもらうくらい虫ダメなんですよ。でも、リングの魔物っていうのは恐ろしいもんですよ。試合中は、カブト虫の幼虫を口に含んで客席に吹いたりとか、違う自分が出てきちゃって。

オーケン:いやいや!客席には、吹かないでください!後楽園ホールの最前列でビール飲みながらデスマッチを見ていたら、大流血戦になって血がピュピュッとビールに入ったことがあるんですよ(笑)。

しかし、自分は松永さんの頃のデスマッチくらいで一度抜けていたので、デスマッチの進化には驚きましたね。ロープに蛍光灯をくくりつけるスピードがものすごく早くなっていて、進化している!

葛西:そこですか(笑)。

タカハシヒョウリ:映画の中では、「ホームセンターにあるものがすべて凶器になる」というパワーワードも出てきますね。

オーケン:あれは、名言!

タカハシヒョウリ :葛西選手も、カミソリを並べて、巨大なカミソリボードを作ったりしてましたが、ああいう凶器のアイデアはどこから出てくるんですか?

葛西:あれは、前々からやりたかったんですよね。でも、後楽園ホールでビューティーM(カミソリ)を一本だけ出しても、後ろのお客さんには伝わらないんで。だったら、ビューティーMを並べて巨大なビューティーMを作ったらわかりやすいんじゃないかと思いまして。まー、スッパリ切れましたねぇ。

オーケン:しかも、DIYで自分で作ってらっしゃる姿が最高でした!

葛西:ありがとうございます(笑)。何も考えず作ってるように見えて、いろいろな恐怖心と戦いながら作ってるんですよ。ホームセンター行って、自分で買い出しして、自分で作って。こんなに苦労しながら作っても、試合で落ちるのは自分かもしれないわけですよ。だから作ってる時は、相手を叩き落とすことしか考えないようにしてます。

オーケン:デスマッチレスラー同士の意地の張り合いみたいなものもあるんですか?相手が出してきた凶器に「そんなの大丈夫だぜ」みたいな。

葛西:いや、相手が出してきた物には極力落ちたくないですよ(笑)。

『狂猿』は、戦い続ける

オーケン:『狂猿』は、映画としてもとても良いなと思って。プロレスの映画としては、トップレベルじゃないですか。等身大の家庭人として真っ当に生きている部分もありつつ、でもとんでもないこともやるという対比が、ミッキー・ロークの『レスラー』に並ぶくらいの衝撃がありましたね。あれだけのデスマッチをやってる人が、嫁に言われてコインランドリーに行かないといけないっていうのが、最高でした(笑)。コインランドリー重要だなと思いましたね。

葛西:そうですね。自分が行かないと、嫁が機嫌悪くなって嫌味言われちゃうんで。そこも包み隠さずのドキュメントなんです。

タカハシヒョウリ:葛西選手は、川口潤監督の撮影というのはいかがでしたか?

葛西:まず、自分が思い描く映画監督はメガホン持ってガミガミうるさい人というのイメージなんですね。だから「今度、監督さんとお会いしてください」って言われたときに、ヤベー、怖い監督だったらどうしようって思って(笑)。でも川口監督は物腰の柔らかい方で、あー、良かったって思ったのが最初の印象ですね。カメラワークや撮影は、凄いなと思いました。さっきも大槻さんが言っていた、佐久田俊之って選手とやった魚串の試合なんかは、臨場感と、選曲と、スピード感があって度肝抜かれましたね。

オーケン:音楽の使い方も良かった!きっちりシンクロしてるし、でも音楽ばっかりが目立つようになっていないし、素晴らしいなぁと。全部が良かったですよ。

タカハシヒョウリ:そろそろ時間が迫ってきましたね。一つ、聞いておきたいのが、これだけの恐怖や苦痛を感じながら、なぜ戦い続けられるのか?ということなんです。

葛西:なぜデスマッチを続けるのかって聞かれたら、自分に与えられた才能がそれしか無かったからです。今まで46年生きてきて、他人から評価された物が唯一デスマッチだったんで。だから、もうやり続けるしかないです。デスマッチが、好きですし。

タカハシヒョウリ:ありがとうございます!最後に、あらためて葛西選手から『狂猿』の見所をいただけたら。

葛西:この映画はプロレスラー・葛西純のドキュメンタリー映画なんですけど、プロレスに興味がない人でも何かを感じ取れる映画になってます。この映画を見て、あなたの人生を良い方向に狂わせたいと思ってますんで、ぜひ映画館にいらしてください。

タカハシヒョウリ:お二人とも、ありがとうございました!

葛西:ありがとうございました!

オーケン:ありがとうございましたー!

あ!あとね、映画を見ていて気づいたんですけど、腕時計が一緒だったんですよね。すごい偶然でしょ~。

インフォメーション

映画『狂猿』
5月28日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほかにてロードショー!以降順次公開!
HP: https://kyoen-movie.com/
Ⓒ2021 Jun Kasai Movie Project.

構成/タカハシヒョウリ

タカハシヒョウリ
ミュージシャン、作家。ロックバンド「オワリカラ」ボーカルギターとして6枚のアルバムをリリース。
また様々なカルチャーへの偏愛と独自の語り口で、カルチャー系媒体での執筆や、番組・イベント出演など多数。

編集/福アニー

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