https://events.google.com/io/?lng=ja
5月18日に開催されたグーグルの開発者向けイベント「Google I/O」では、同社のソフトウェアからサービス、さらには先端技術に至るまで、さまざまなトピックが紹介された。この記事では、その中でも私達が実際に利用するであろう、Google マップや検索、そしてAIアシスタントの新機能を紹介しよう。
ARによるライブビューがより便利に
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イベントではGoogle マップの進化について触れられた。これまでも、Google マップではARを利用しカメラ映像に進路方向を表示するナビゲーション機能「ライブビュー」を利用することが可能だった。しかし今後はナビゲーション中でなくても、地図上からライブビュー機能を直接利用できる。
新たなライブビューではAIを利用して、建物や施設を分析。スマートフォンのカメラで周囲を捉えるだけで、商業施設やレストランなどの説明が表示される。また交差点で道の名前を表示したり、目的地への道標となるランドマークの名前も表示されるようになる。
さらに、インドアでのライブビューの利用も可能になる。これは複雑な空港や駅の乗り換えなどに、もってこいの機能だ。このインドアライブビューは今週からスイスの主要駅と空港で、そして来月からは東京で利用できるようになる。
Google 検索が富士山の登山をアドバイス
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グーグルのコアサービスともいえるGoogle 検索には、新しい検索アルゴリズム「MUM(Multitask Unified Mode)」が導入される。これはAI(人工知能)を利用し、従来の検索アルゴリズム「BERT」の1000倍もの性能で正確な回答を導き出せるというものだ。
イベントのデモでは、「以前アダムス山に登り、今年の秋は富士山に登りたいのだが、どのように装備が異なるのか?」と質問すると、2つの山に関する情報を収集し、比較し、さらには季節に応じた富士山の登山道具を提案した。
また、例えば登山靴の画像から「この靴で問題ないか?」と質問したり、あるいは日本語でしか記述されていない富士山の説明を理解し、英語で提供することもできるようになる。MUMは今後数ヶ月のうちに、Google 検索に組み込まれる予定だ。
冥王星を擬人化できるAIアシスタント
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機械学習を利用した言語処理AIとしては「LaMDA」が発表された。これは事前のトレーニングなしに、ナチュラルな会話ができるように開発されたAIだ。
イベントのデモでは、LaMDAが冥王星や紙飛行機になりきり、ユーザーと会話する様子が紹介された。このように予測もできないシチュエーションであっても、自然に会話を生成できるのがLaMDAの特徴だ。現時点ではLaMDAは開発中の技術だが、いずれGoogle アシスタントなどにその機能が組み込まれることを期待したい。
グーグルのサービスは多岐にわたるが、このように私達が日常的に利用する機能も着実にアップデートされるのは心強い限りだ。特に同社のAIによる会話ツールなどは、いずれ私達がプログラムだとは気づかないレベルにまで到達しようとしているのかもしれない。
文/塚本直樹