2021年になりビットコインが最高値を更新して話題だが、同じく暗号資産である「NFT」にも投資マネーが集まっている。デジタルコンテンツに新たな価値を見い出し、コレクター心をくすぐるその仕組みを解説しよう。
ゲーム内のアイテムに「一点モノの価値」を保証
いとも簡単にコピーできてスマホやPCに保存しておけるはずのデジタルデータに、今、「一点モノ」が登場してプレミアが付いていると話題だ。3月12日にはデジタルアート作品に約75億円もの値がついたほか、オンラインゲームのキャラクターやスポーツ競技の名場面動画などでも同様のことが起きている。
その立役者が「NFT(Non-Fungible Token)」だ。日本語では「代替不可能トークン」という。デジタルデータが一点モノであると証明する鑑定書のような機能を持つため、NFTの売買でデジタルデータの所有権を譲渡できる。
NFTと親和性が高く、イメージしやすいのが「ゲーム」だ。ブロックチェーンを用いたゲーム内では、アイテムをNFTとして売買できる。希少性があるアイテムを手に入れれば、それをゲーム内で別のプレーヤーに売ることで現実世界でお金を得ることができる。プレーヤーが多くなれば、ゲーム内でのアイテムの需要が高くなり、価値も上昇する。もし「このゲームは流行るぞ」と感じた場合には、ゲームをプレーせずとも、ゲームと紐付いた暗号資産が発行されている場合があるので、それを購入することも可能だ。
ビットコインなどの暗号資産は、「お金の価値」を取引するのに対して、NFTでは「希少性の価値」を取引するという違いがある。
有名なスポーツ選手がサインしたユニホームは、サインの形が微妙に異なる、サインしたシチュエーションが異なるなど唯一無二で価値ある情報が含まれていて、代わりのユニホームを用意することができない。
すでに「デジタル資産」への置き代わりが起きている!
現実に形があるものは資産として認識しやすいが、デジタルだと資産として認識されづらい。所有者が誰かを明確にして証明さえできれば資産として認識され新たな価値となる、というのがNFTの考え方だ。
NFTで注目を浴びる暗号資産
「NFT取引所」が続々登場
特定のゲームキャラやアイテムが売買されている。上表にまとめた暗号資産は、NFTに関連するものとして注目されている。
取材・文/久我吉史