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EVの時代になると車内の音響環境はどう変わる?アウディが考えるカーオーディオの未来

2021.05.20

アウディの各モデルに完璧に調和した、自然で心地良いサウンド。アウディにとってオーディオシステムのサウンドは、品質における重要な要素のひとつ。

アウディは、プレミアムブランドとして、インフォテインメントの品質だけでなく、サウンドそのものの品質とクルマの音響性能を重視している。アウディユーザーは、エキサイティングで刺激的な音響体験を求めている。

アウディの理想的な音響空間とは、耳障りなバックグラウンドノイズがなく、調和の取れた信号音、警告音、通知音を使用して、作動音も控えめに抑えられたもの。

人はクルマのなかでどのようなノイズを認識し、それらはどこから来るのか?

クルマのバックグラウンドノイズとは、多様なノイズとサウンドが混ざり合ったもの。エンジンノイズ、タイヤノイズといった通常の走行音は、シャシーに当たる空気の流れが作り出す風切り音と同様に、つねに耳に入ってくる。

さらに、パワーウィンドーやドアの開閉音など、一時的なノイズも生み出す。信号音や通知音は、機能的なメッセージを耳障りにならないように伝えるのが理想的。方向指示器の作動音や、MMIディスプレイのタッチスクリーンの音響フィードバックも同様だ。操作時のボタンやスイッチ類は、控えめでありながらも、明確な通知音を出す必要がある。大きな警告音は、乗員の注意を引くために、必要時にのみ発せられるべきだ。

アウディは、望ましくないノイズの源をどのようにして探るのか?

アウディは、ノイズの削減を総合的な観点から捉えている。車両全体やシャシーの開発から品質保証まで、さまざまな専門分野のエキスパートが「Rustle and Rattle」(ラッスル&ラトル)と呼ばれるチームを編成し、そのために共同作業を行っている。

彼らはアウディのすべてのニューモデルを、実際の道路、振動試験コース、ハイドロパルス装置でテストし評価。ハイドロパルス装置はサーボ油圧方式の試験機で、車両を振動させることができるのだ。

乗員コンパートメントで聞かれるガタガタ音やきしみ音といった不快ノイズは、50ヘルツ以下の低周波振動が引き起こす。ノイズ源を探ってその特定に至るため、個別のコンポーネントおよびシャシー全体の振動反応が試験されるのだ。

ノイズの発生地点と体感地点が、常に同じであるとは限らない。車両の振動音響バランスは、ドライバーの快適性レベルに大きな影響を与える。

内燃エンジン搭載車と電気自動車の間で、音響面の違いはあるか?

内燃エンジンと異なり、電気モーターは振動、機械的ノイズなどをほとんど発生しない。そのような環境では、それほど認識されなかったノイズも耳障りになる可能性がある。それには、風切り音やタイヤの転がり音などが含まれる。

アウディは、それらのノイズの発生源に対策を行い、不快な影響をできるだけ抑制することに多大な努力を払っている。たとえば、Audi e-tronのシャシーにおいて、不快ノイズが伝わる可能性のあるすべてのエリアは、注意深く対策され、分離されている。

シャシーにおいて、設計上の開口部や中空箇所にはマイクロファイバーのフリースが詰められている。テキスタイルファブリックやマイクロファイバーフリースは、ホイールから発生するノイズの吸音材としても使用。さらに、フローリングなどの表面は特殊素材でコーティングしている。これには、シートメタルの振動を抑制する効果があるためだ。

フロントウォールにおいては、複雑なマルチコート処理がノイズを封じ込め、フロントエンドから車内へのノイズの侵入を遮断。リヤアクスルにも電気モーターを搭載した車両では、リヤにもフロントと類似した構造を採用している。電気モーター自体も、ノイズ低減のためカプセルに封入されている。アンダーフロアの貼り合わせも、音を吸収するように設計。

車内に目を転じると、フォーム材で裏打ちしたカーペットが静粛性を維持しています。Audi e-tronの車内で実現されている、リラックスした雰囲気の重要な要素は、入念な調整を受けたエアロダイナミクスなのだ。通常、車速が85km/hに到達し、それ以上になると、ノイズの中でも風切り音がもっとも顕著な課題となる。しかし、ドアシール、エクステリアミラー、ウエザーストリップなどが丁寧にファインチューンされているAudi e-tronでは、風切り音は非常に低く抑えられ、車内に侵入してくることはほとんどない。

高速走行時でも、乗員はリラックスした会話が可能だ。フロントウィンドーには、標準で二重ガラスを採用。オプションとして、サイドウィンドーにアコースティックガラス(防音ガラス)を装着することも可能。

アウディは排気音を増幅・生成したり、アクティブノイズキャンセレーションを使用しているのか?

近年、アクティブな音響対策がますます重要になっている。たとえば、アクティブノイズキャンセレーション(ANC)を活用すれば、エンジンノイズの一部をキャンセレーションサウンドによって低減することが可能だ。このシステムは、ルーフライニングに埋め込まれ、車内のサウンドレベルを測定する ANCマイクロフォン(A8の参考例を参照)をベースにしている。コントロールデバイスはその音波を反転させ、中和音をサブウーファーから流す。

逆に、Audi SQ5 TDIは、エキゾーストシステムにアクチュエーターを備え、心地よい音をさらに強調している。専用設計されたスピーカーにより、必要に応じて、より存在感のあるダイナミックなエンジンサウンドを響かせてくれるのだ。

電気自動車のAudi e-tron GTでも、ドライブセレクトのモードを選択することにより、オーディオシステムを介してスポーティーなサウンドを生成することも可能になっている。

心地よく快適な車内の音響環境は、どのようにして生み出すのか?

この作業は、サウンドエンジニアが行なう。彼らはあらゆるサウンドを検討し、必要に応じて調整、抑制、強調などを行なっていく。車内の音響を調和させるには、あらゆるサウンドが関係しているからだ。数多くのノイズ対策とともに、すべての車両は、音響空間としての特別な課題を考慮しなければならない。

乗客はさまざまな位置に座り、乗員の数によって空間容積は大きく変化する。パノラミックルーフを搭載したクルマも、そうでないクルマもある。またインテリアに採用する生地やレザーは、音を反射したり吸収したりする。さらには、スピーカーが発生したサウンドがリスナーの耳に到達するまでの時間も異なるのだ。

3Dサウンドは、どのように機能するのか?

3Dサウンドとは、空間の三次元性を音響的に実現するサウンドを表す。録音が発明されたとき、サウンドは1つのスピーカーから再生されるだけだった。すなわち「モノラル」ということ。1つのスピーカーではステレオ音声の再生は不可能で、サウンドはフラット。

1960年代に、位置を変えた2本のマイクで録音を行う、ステレオサウンドが登場した。再生時、録音された音声情報(モノラル信号)は2つの違うチャンネルに割り当てられ、左右のスピーカーから流れる。それによって空間感覚、すなわちステレオ効果を持ったサウンドが生まれたのだ。このステレオサウンドが、いわゆる「1D」となる。

その発展形である「2D」とは、サラウンドサウンドのこと。2000年代に入り、このマルチチャンネル技術は広く普及。サウンドはサブウーファーと、前面、後面、側面に設置された複数のスピーカーから流れる。

その使用するスピーカーの数に応じて、5.1規格から8.1規格まであるのだ。しかしながら、このレベルにおいて、各サウンドエフェクトは、1本または1つのグループのスピーカーにのみ割り当てられることになる。

「3D」では、異なったレベルのサウンドソースが追加される。2016年に現行モデルのAudi Q7を発表して以来、アウディは高さの次元もサウンドに組み込むことを可能にした3Dサウンドを備えた、Bang & Olufsenサウンドシステムを提供。システムは、そのためにいくつかの追加のブロードバンドスピーカーを使用している。

これらはAピラーに組み込まれ、Audi A8とQ8ではBピラーとルーフライナーにも追加されている。車内は、録音が行われたコンサートホールと同様に、大きなステージへと変化。このテクノロジーの背景には、アウディがフラウンホーファー研究所と共同開発したアルゴリズムがある。

Symphonia 2.0 3Dアルゴリズムは、ステレオまたは5.1音源からの情報を分析し、三次元的な深みを備えた3Dスピーカー用のデータを作成。それにより、車内で柔軟に再生可能なサウンドエフェクトが実現できた。

フルサイズクラスで最上位のオーディオシステムであるBang & Olufsenアドバンストサウンドシステムでは、出力1,920ワットのアンプが、デジタルシグナルプロセッサー、24チャンネル、23のスピーカーと連携して作動。このテクノロジーは、音響面において、乗員コンパートメントに広大なコンサートホールのような雰囲気を創出する。

しかし、アウディは、コンパクトクラスでも音質に妥協はしない。コンパクトクラスでは、空間の制限に合わせて、テクニカルコンセプトを調整している。Audi A1の場合、4つのミッドレンジスピーカーがダッシュボードに上向きで設置されており、フロントウィンドーを反射面として活用。それにより、コンパクトクラスでは極めて異例な、高品質な3Dサウンドが実現している。

サウンド開発において、デジタル化はどのような役割を果たしたか?

各モデルに最適なサウンドを開発することは、アウディにとって重要な要素となっている。そのために開発したのが「soundCUBE」と呼ばれるソフトウェアだ。このオーディオソフトウェアソリューションにより、バージョン数を抑制し、開発時間を大幅に短縮することが可能になった。

アウディは、「soundCUBE」によって、オーディオパートナー各社に機能的な仕様と統一感のある作動哲学、音響哲学を備えたフレームワークを提示することにより、最高の開発環境を提供。

パートナー各社は、アウディのDNAを定義する、そのフレームワークを製品に統合するだけで済むのだ。アウディは、つねに最適化されたソフトウェアを使用することで、既存のハードウェアを使いながら最高の現代的サウンドを生成することに成功している。

もう1つのイノベーションは、均一なオーディオバスを経由して作動するブースターの使用。そのサウンドは、最新世代のMIB3インフォテインメントのメインユニットソフトウェアによって生成される。プレミアムサウンドシステムにおいて、ブースターは高性能スピーカーを制御するという追加的機能も提供。これによって、システムのアーキテクチャーも簡素化されるのだ。

アウディは、極めてモダンなデジタルサウンド研究所において、新しいサウンドソリューションをさらに洗練させている。

この研究所で働くサウンドスペシャリストは、きわめてリアルなシミュレーションを活用し、実車プロトタイプがまだ存在しない段階から、さまざまなモデルシリーズのサウンドチューニングを行っている。これにより、スイートスポットに座った乗員全員に最高のリスニング体験が提供されるよう、バーチャルリファレンスルーム内で各座席におけるサウンド仕様を分析することも可能になった。

アウディはSonos(ソノス)との新パートナーシップで、どのようなメリットを得ることができるのか?

Audi Q4 e-tronの開発にあたって、アウディは自然で本質的なサウンドを重視する姿勢を維持しつつ、新しいハイファイ・パートナーシップを締結した。このパートナーシップにより、アウディは、ユーザーの要望にさらに応えるための、ハイエンドシステムを追及している。

臨場感溢れるサウンドを特徴とするBang & Olufsenのシステムは、ミッドサイズおよびフルサイズモデルの要件に完璧に適合する一方で、低音を強調するサウンドを特徴とする新しいパートナーのSonosは、若いターゲットグループに訴求。そのため、Sonosは、アウディによる電気自動車のエントリーモデルとなる新しいコンパクトSUVに最適な選択肢となる。Sonosによるダイナミックなサウンドとチューニング哲学は、アウディのコンパクトクラスの他モデルにも搭載され、今年の半ばに登場する。

次の大きなテーマ:アウディのオーディオ開発者は、現在は何に取り組んでいるのか?

アウディのサウンドスペシャリストは、現在もサウンドラボで、総合的な未来のサウンド体験を実現するための研究に取り組んでいる。その中心的な研究テーマは、「没入型3Dサウンド」と呼ばれるもの。従来の3Dサラウンドサウンドでは、アルゴリズムに基づき、音声が特定のスピーカーに割り当てられる。そのようなチャンネル指向の再生とは異なり、没入型3Dサウンドはオブジェクト指向を特徴としているのだ。

このプロセスにおいて、オーディファイルに保存されたサウンドは、実際の空間において、サウンドがどのようにして、どこで聞こえるかに関する正確な情報を含むメタデータと事前にリンクされている。すなわち、録音時の音響環境とまったく同じ再生が可能になることを意味している。

没入型サウンドは、五感すべてに訴えかける、まったく新しいエンターテインメント体験の中心となるもの。しかしそれは、完全な自動運転自動車に乗った未来の人々が、運転という役割から解放され、そのような五感に訴えるサウンド体験を楽しめる時代が来て、はじめて実用化されるものなのだ。

次の大きなステップ:5G高速モバイル通信ネットワークの広がりは、新しい高品質ストリーミングチャンネルの未来を切り開いていく。現在、車内で音声ストリーミングサービスを受信するデバイスとして、多くの人々がスマートフォンを使用している。コンテンツは、Bluetooth経由で簡単に転送することができるため、確かに便利だ。

しかし、Bluetoothワイヤレス技術の周波数帯域には制限があるため、障害が発生して音質が低下することがある。近未来において、アウディは、SIMカードと高性能レシーバーモジュールを搭載して、クルマそのものをレシーバーとして活用し、マルチチャンネルのオーディオストリーミングを実現しようとしている。これは、アウディのサウンドエンジニアによる、未来への道のもう1つのマイルストーンなのだ。

関連情報:https://www.audi.co.jp

構成/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)

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