早産児の発達障害リスクは依然として高い
早産で生まれた子どもは神経発達障害のリスクが依然として高いとする研究結果が、テノン病院およびEquipe EPOPé(フランス)のVéronique Pierrat氏らにより報告された。
リスク上昇は、極早産(妊娠22〜26週)児だけでなく、超早産(27〜31週)児および中等度早産(32〜34週)児でも認められたという。この研究の詳細は、「The BMJ」5月1日号に掲載された。
未熟児は発達面で問題を抱えていることが珍しくない。
しかし、過去の研究は極早産児を対象にしたものが多く、超早産児および中等度早産児については、明確なことが明らかにされていない。
そこでPierrat氏らは今回、発達障害のリスクが最も高い早産児を特定するために、極早産(妊娠24〜26週)、超早産、中等度早産で生まれたフランスの子ども3,083人と満期正期産で生まれた子ども592人(対照群)の5歳半時の神経発達状態を調べて、両者を比較検討した。
神経発達状態は、脳性麻痺、失明や難聴、脳機能(知能指数)、行動障害、運動障害などについて、公認されている尺度を用いて評価した。
また、早産児が家族や社会にかける負担を評価するために、学校での特別支援の必要性や、精神科医やスピーチセラピスト、理学療法士の診察を受ける必要性、子どもの発達に関する親の心配などについても調査した。
解析の結果、結果に影響を及ぼし得る他の要因を調整した後でも、妊娠週数が短くなるほど、神経発達障害を持つ対象者の割合は増加することが明らかになった。
例えば、極早産児、超早産児、中等度早産児が重度または中等度の神経発達障害を持つ割合はそれぞれ、27.8%、18.7%、11.6%(対照群は5%)、軽度の神経発達障害を持つ割合はそれぞれ、38.5%、35.7%、33.8%(対照群は23.0%)であった。
また、学校で特別支援を要する子どもの割合は、極早産児で27.3%、超早産児で13.9%、中等度早産児で6.7%(対照群では2.6%)であった。
さらに、発達障害に対する介入を1つ以上受けていた子どもの割合は、極早産児ではおよそ半数(51.9%)であったのに対して、中等度早産児では25.6%であった。
このほか、親が懸念事項として最も頻繁に報告したのは行動面での問題であることや、神経発達障害の発生率は社会経済的地位が低い家庭の子どもの方が高いことなども判明した。
こうした結果についてPierrat氏らは、「この研究は観察研究であるため、早産と神経発達障害との因果関係が証明されたわけではない。それでも、広範囲にわたる成長や行動面での問題を評価することで、早産で生まれた子どもやその家族が直面している問題の複雑さをより明確にすることができる」と話す。
その上でPierrat氏らは、「われわれの研究により、早産は依然として家族だけでなく医療システムや教育システムにも大きな負荷をかけていることが明らかになった」と結論付けている。(HealthDay News 2021年4月29日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.bmj.com/content/373/bmj.n741
Press Release
https://www.bmj.com/company/newsroom/risk-of-developmental-difficulties-remains-high-among-children-born-early/
構成/DIME編集部