妹を殺害され濡れ衣を着せられた男が、18年の刑期を終えて繰り広げる壮大な復讐劇!
2021年3月24日より独占配信中のNetflixオリジナルシリーズ『そしてサラは殺された』は、メキシコ製のサスペンス。5月19日からはシーズン2の配信がスタートしたばかり。
主演は『ナルコス』のマノロ・カルドナ。
あらすじ
18年前の夏。名門ラスカノ家の別荘に遊びにやってきた、主人公アレックス・グスマンと妹サラ。
ラスカノ家の長男ロドルフォは、サラと恋人関係にあり、アレックスとも親友だった。
ロドルフォが操縦するモーターボートでパラセーリングを楽しんでいたサラは、パラシュートが壊れていたことに気付き、助けを求める。しかし酒に酔ったロドルフォは構わずモーターボートを加速させ、サラはついに転落死してしまう。
ロドルフォの父セサルは跡継ぎであるロドルフォをかばい、金と権力を使ってアレックスに罪を被せた。
18年度、刑務所から出所したアレックス(マノロ・カルドナ)は、復讐計画の実行に着手する。アレックスは、パラシュートのコードとハーネスは意図的に壊されており、ロドルフォには殺意があったはずだと考えた。
しかし、ラスカノ家に堂々報復宣言をしたアレックスのもとに、“狩人ディアナ”を名乗る謎の人物から「ロドルフォは真犯人でない」とのメッセージが届く。
見どころ
韓国の『梨泰院クラス』(Netflix)、フランスの『Lupin/ルパン』(Netflix)、アメリカの『ザ・ボーイズ』(Amazon Prime Video)など、悪徳金持ちに対する復讐劇はどの国でも人気が高いようだ。
ラスカノ家の絶対君主セサルもまた、サラの死を「自然淘汰に過ちはない」と言いきるなど、冷酷さはひけをとらない。
グスマン兄妹だけでなく全方位に対して超極悪、かつ異常性癖まで隠し持っていたセサルに、いったいどんな制裁が下るのか。
セサルの妻のマリアナも、一見優しそうでいて、じつは保身ばかりのクセモノ。ひたすら“強者”である夫に従い夫だけを庇い続ける、コバンザメ気質の女性だ。
表向きは良妻賢母を演じる一方、シリス帯(トゲつきの鎖)を太ももに巻き付ける苦行に没頭し、信仰に救いを求める一面も。ある意味では一番ズルく、偽善者的な振る舞いが目立つ人物だといえる。
18年前に唯一アレックスを庇おうとしていたのは、ロドルフォの弟チェマ(ホセ・マリア)。両親や兄と違って優しい性格をしているチェマだが、清廉潔白という訳でもないようだ。
そして事件当時は幼かったために蚊帳の外たった妹エリサは、真実を突き止めるため独断でアレックスに接近。父親の悪行を知り、アレックスへの恋心と罪悪感に煩悶する。
そして被害者であるサラも完全に善良な女性だった言えず、非難されるべき過去があったことが明らかになる(もちろん、だからといって殺人は正当化されるべきでないが)。
物語か進むにつれて、サラ殺害の動機を持っていてもおかしくない人物が増えていく。
冒頭では悪者に見えたロドルフォも、実はかなり同情すべきところがある人間であることが浮き彫りとなる。
暴君セサルだけでなく、登場人物の全員が、何らかの闇や裏の顔を持っている。完全に善または悪だけの人間なんていない、すべての人間はまだら模様なのだということかもしれない。
Netflixオリジナルシリーズ『そしてサラは殺された』
独占配信中
文/吉野潤子