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ヘルメット着用は任意、最高速度は15㎞/h!Luupが電動キックボードのシェアリングサービスを東京都心でスタート

2021.05.23

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

ヘルメット無しでも走れる最高時速15㎞の電動キックボード

自宅から駅まで、街中のちょっとした移動の手段として、電動・小型・一人乗りのマイクロモビリティのシェアリングサービスを展開している「Luup」。2020年5月より小型電動アシスト自転車を用いたシェアアプリ「LUUP」(※会社名が「Luup」、サービス名が「LUUP」のため、以下ループで表記)提供を開始し、今年4月から同アプリ内で電動キックボードも導入されることになった。

ループでは、電動キックボードの導入を見越して、電動キックボードと同じサイズの自転車を開発し、省スペースへのポート設置を可能にした結果、密度の高いシェアリングが実現。展開エリア内(渋谷区・新宿区・品川区・世田谷区・港区・目黒区)では、約300箇所(電動キックボード対応は約200箇所)にポートが設置されている。

ここ数年、さまざまな一人乗り電動モビリティが登場しているが、走行条件がそれぞれ異なり、免許やヘルメットの着用の有無など、使う側も混乱しているのが現状。電動キックボードの場合、日本の現行法上「原動機付自転車」に位置付けられるため、ヘルメットの着用、ナンバープレート・ミラーの装着、免許の帯同、車道のみの走行など、普及しづらい走行条件が課せられている。

規制の適正化とルールづくりに向けて、ループは「マイクロモビリティ推進協議会」という業界団体を立ち上げ、関係省庁との議論や様々な条件下での実証実験を重ねている。今回、ループの実証実験の計画が産業競争力強化法に基づく「新事業特例制度」に認定されたことを受けシェアリングサービスの開始となった。政府の特例措置のもと、ヘルメットの着用が任意となる形での電動キックボードのシェアリングサービスは国内初となる。

「今回はヘルメット有り無しの検証をするために、一時的に小型特殊自動車の位置づけとしての実証実験を行っているため、ヘルメットは任意着用、最高速度は自転車程度の時速15㎞となった。最終的には原付未満、自転車以上の電動キックボードという新しい枠組みに着地させるのが理想であるが、実証実験ではまだ速度、走る場所、ヘルメット等の走行条件をひとつずつ検証している段階。今はさまざまな電動モビリティが出てきていて混沌としている状況だが、他社も含めて実証実験はさまざま行われており、最終的には法整備も含めてわかりやすい領域に着地させていけるのではないかと考えている」(Luup代表 岡井大輝氏)

ループの電動キックボードを使う際は、アプリから運転免許証登録と、走行ルールの確認テストの満点合格が利用条件となる(小型電動アシスト自転車のみの利用の場合は不要)。保険は対物賠償、対人賠償、自身の怪我が対象。走行できるのは、車道、普通自転車専用通行帯、自転車道。自転車歩行者道は走行不可なので、歩道では押して歩く。また、車両の走行が著しく多い道路については、安全性を鑑み自主的に走行禁止道路としており、走行禁止道路はアプリ上のマップで表示し、利用者に迂回を促す。

利用方法は、街中のポートから乗りたいマイクロモビリティを選び、アプリを立ち上げてQRコードをスキャン。目的地の返却ポートに空きがあるか確認し、その場でアプリから予約する。目的地ポートに到着しライドを終了したら、駐車状態の写真を撮影(※アプリ内で写真を提出しないと決済に進めない仕組み)。利用料金は110円/初乗り10分、16.5円/分。

【AJの読み】電動モビリティに関する法整備を急いでほしい

またぐ、こぐ必要がないのでスカートやスーツでも乗りやすく、地面と足が近いので危険を感じたらすぐに足をついて止まることができる電動キックボードは、他の電動モビリティと比べて比較的乗りやすい。

乗り方は地面を蹴って初速をつけてから両足を置き、 ゆっくりと「Push&Go」ボタンを押すと電動で加速。足で地面を蹴りながらゆるやかに曲がることができる。実際に乗ってみると、操縦も簡単ですぐに足がつける安心感も大きい。

ただ、今回は特例措置により最高時速が15㎞になっており、これはシティサイクル(ママチャリ)の平均的な速度で、大きな交差点では渡り切れないということも。車道では時速20㎞程度の走行が適正なので(電動アシスト付自転車の最高速度は時速23㎞)、今後さらに実証実験を重ねて、速度に関しては調整が入る可能性もあるという。

ループはシェアリングサービスだが、個人的に電動キックボードを購入する人も増えている。ややこしいのが、見た目は同じ電動キックボードでも、適用されるルールが実証実験中か、そうでないものかで異なっているということ。

ループの特例措置は企業単位で許可が下りていて、ループの電動キックボードなら、ヘルメット着用は任意で、先に紹介した条件で走行可能だが、ネットで原付として販売している電動キックボードは、原付の走行ルールに則りヘルメットが必要で、規制緩和されていない状態でしか走行できない。

現在は、電動モビリティに関連する法整備が過渡期の状況にあり、メーカーによってルールが異なるといったまさに混沌とした状態。移動の課題を解決する電動モビリティに期待が寄せられているだけに、一刻も早く法整備されて、きちんとした領域として制定されることを望みたい。

文/阿部純子

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