エレキベース本体や周辺機材にこだわる方は多くても、ベース弦は何となく選んでしまいがち。しかし、音色や弾き心地はベース弦の種類によっても左右されます。好みやプレイスタイルに応じて選べれば、ベーシストとしてレベルアップできるはずです。この記事では、ベース弦選びに必要な知識と、おすすめ製品を紹介します。
ベース弦を選ぶ時のチェックポイント
まずは、ベース弦選びの基礎知識をご紹介します。
【ベース弦選びの基礎知識&おすすめポイント】弾きやすさを左右する「ゲージ(弦の太さ)」
ゲージ(弦の太さ)は、「45/65/85/105」「.045/.065/.085/.105」といったように、インチで表記されています。
数字が大きく太い弦ほど、中低音域が豊かなハリのあるサウンドが得られますが、張力が強いため弦を押さえる時に力が必要になります。一方で細い弦は、張力が弱く押さえやすいです。太い弦と比べると高音域が目立つ抜けのよいサウンドになる傾向があります。
【ベース弦選びの基礎知識&おすすめポイント】音質や耐久性に影響する「弦の素材」
ベース弦の素材は、主に2種類です。定番は「ニッケル」で、錆に強く滑らかな弾き心地が特徴。豊かな中低音域とブライトなトーンが得られるバランスの取れたサウンドのため、幅広い奏法・ジャンルで活躍します。
「ステンレス」は汚れや錆に強く、耐久性に優れています。硬質でシャープなサウンドが特徴で、スラップを多用する方にもおすすめ。弾き心地もやや硬めで、ザラザラしています。
長持ちするコーティング弦
ベース弦は金属のため皮脂や汗などによって劣化しますが、表面に特殊なコーティングを施すことで劣化を最小限に抑える弦があります。それが「コーティング弦」です。表面が滑らかで指との摩擦が少なくなるため、フィンガリングノイズを抑えたり指が痛くなるのを防ぐ効果も期待できます。ただし、通常の弦よりも落ち着いた音色に感じるという方も多いです。
【ベース弦選びの基礎知識&おすすめポイント】ラウンドワウンドとフラットワウンドの違い
ベース弦は、芯線に巻線をグルグル巻きつけた構造になっています。そして、巻線の断面が丸いものは「ラウンドワウンド」、断面が平たいものは「フラットワウンド」と呼びます。
一般的なのは「ラウンドワウンド弦」で、立ち上がりが早くブライトな音色が特徴。サステイン(音の伸び)が長く、あらゆるプレイスタイルに適しています。「フラットワウンド弦」は断面が平たいため、表面が滑らかでツルツルとした感触です。丸みのある落ち着いたサウンドが特徴で、サステインは短め。フレットレスベースを使う時や、ジャズを演奏する方に好まれることが多いです。
【ベース弦選びの基礎知識&おすすめポイント】“ショートスケール”や“ロングスケール”とは?
ベースは種類ごとにスケール(長さ)が異なっていて、スケールに応じて必要な弦の長さも異なります。合わないものを選んでしまうと、弦が張れない場合もあるので注意しましょう。
一般的なベースは「ロングスケール」ですが、中には少し短めの「ミディアムスケール」や、ムスタングベースのように小ぶりな「ショートスケール」、さらに多弦モデルやダウンチューニングを多用するプレイヤー向けのモデルで見られる「スーパーロングスケール」もあります。自分のベースのスケールがよくわからない方は、楽器店の店員さんに確認してみましょう。
【ベース弦選びの基礎知識&おすすめポイント】5弦・6弦ベース使用者は多弦用を購入しよう
ブランドや店舗によっては1本ずつバラ売りしている場合もありますが、ベース弦は基本的に1セットに全弦分入っていて、1セット購入すれば全ての弦が張り替えられます。
多くの弦セットは4弦ベース向きのため、弦が4本しか入っていません。5弦ベースや6弦ベースなどの多弦ベースを使用している方は、それに応じた弦セットを購入しましょう。
ベース弦のおすすめを紹介!
ベース弦は消耗品のため、上記のポイントを把握したうえで様々なタイプを試し、自分に合う弦を探していくと良いでしょう。ここでは、定番商品や少し変わったタイプなど、5商品をピックアップしました(※全て4弦/ロングスケール向け)。
ベース弦のおすすめ:定番のベース弦! ダダリオ「EXL165」
世界中のミュージシャンから愛されている弦の定番ブランド、ダダリオの「EXL165」。素材はニッケルで、ラウンドワウンド弦です。
ブライトなトーンで音の輪郭がはっきりしていますが、クセのない音色のため、あらゆるジャンルと相性が良いです。また、正確なピッチも魅力。弦選びに迷っている方は、ダダリオから始めるのがおすすめです。なお、ゲージが.045-.100の「EXL170」も人気があります。
【参考】ダダリオ公式サイト製品詳細ページ
ベース弦のおすすめ:使いやすくて安いベース弦ならアーニーボール「#2834」
弦をはじめあらゆるアクセサリーで人気のブランドが、アーニーボールです。「#2834」はスズのメッキを施したヘックススティールコア(六角形)の芯線に、ニッケルメッキの巻線を巻いたニッケル・ワウンド弦。ゲージは.045/.065/.080/.100です。
ブライトかつ煌びやかなトーンが特徴で、ロックをはじめベースを弾き倒したい方におすすめ。とはいえ、あらゆるジャンルに合います。価格も比較的お手頃です。
ベース弦のおすすめ:寿命が長いコーティング弦といえば、エリクサー「NANOWEB(#14077)」
コーティング弦といえば、エリクサーが定番。4000人以上のプレイヤーに聞き取りを行い、1000人以上のプレイヤーが試奏した末に生まれたベース弦専用のNANOWEBコーティングが施されています。
「NANOWEB(#14077)」はニッケル弦で、ゲージは.045/.065/.085/.105。円熟されつつも、透明感のある音色を実現しています。滑らかな感触も特徴で、手触りに魅力を感じてエリクサーのコーティング弦を愛用するプレイヤーも少なくありません。
ベース弦のおすすめ:リチャードココ「RC4GN」
エレキベース弦のパイオニアであり、世界中のベーシストから高い評価を得ているリチャードココ。素材にも製法にもこだわったベース弦が魅力で、現在はイタリアにて職人がハンドメイドで作り上げています。上質のサウンドを求めるベーシストにおすすめしたいブランドです。
「RC4GN」はニッケルのラウンドワウンド弦。ゲージは.045/.065/.085/.105です。明瞭かつタイトなサウンドが特徴で、スムーズなフィンガリングやピッキングにより、表現力の高いプレイを実現してくれるはず。
ベース弦のおすすめ:黒色のベース弦!? ダダリオのナイロン弦「ETB92」
クラシックギターでお馴染みのナイロン弦ですが、実はベースにもナイロン弦があります。
ブラックナイロン弦はその名の通り、黒いナイロン弦のことで、独特な深みのあるサウンドが特徴。ブラックナイロン弦とへフナー社のバイオリンベースの組み合わせがよく知られていますが、そのほかのベースでも使えるブラックナイロン弦もあります。
それが、こちらのダダリオのテーパーワウンド(ブラックナイロン)弦「ETB92」。フラットワウンド弦が持つ深みやアップライトベースのアタック音で聴けるようなヴィンテージなトーンが得られるよう作られています。特徴的なサウンドが欲しい方は、ぜひ使ってみてください。
【参考】ダダリオ公式サイト製品詳細ページ
ベース弦を張り替えるタイミングや長持ちさせるコツは?
ベース弦は切れた時が寿命とは限りません。チューニングがずれやすくなったり、煌びやかさが失われた、音抜けが悪くなったなど、いわゆる“弦が死ぬ”状態になった時を寿命ととらえるプレイヤーが多いです。
弦が劣化する原因は、弦に付着した汗や皮脂といった汚れ。袋を開けて空気に触れた瞬間から劣化は始まりますが、汚れをこまめに拭き取ることで劣化を抑えることができます。ベースを弾いたあとは、裏側も含め、弦をクロスでまんべんなく拭きましょう。
ベース弦の張り替え時期は?
演奏する頻度や時間、音の好みによりベースの張り替え時期は異なります。張りのある音色が好きな人は数週間で交換する場合も。一方、柔らかなトーンが好きな人は半年以上張り替えないこともあります。
※データは2021年5月中旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
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文/bommiy