アンプやエフェクターなどの機材とギターをつなぐ際に必要な「シールドケーブル」。単なるケーブルに見えがちですが、選び方を間違えると音が劣化したり、ライブ中のトラブルの原因となることも。この記事では、シールドケーブル選びのポイントとおすすめ製品を紹介します。
エレキギターの演奏に使う、シールドとは? シールドケーブルの基礎知識
「シールドケーブル」は、ギターケーブルやシールドとも呼ばれるもので、ギターのピックアップが拾った弦振動を信号としてアンプ等に送るために必要なアイテム。自分のギターのタイプに合う「プラグ形状」を選択し、ギターを弾くシチュエーションに適した「長さ」のケーブルを購入することが大切です。
低価格のシールドケーブルの中には、耐久性が低くすぐ断線してしまうものや、ギターやアンプ等の機材のポテンシャルを活かせなくなってしまうものも。せっかくいいギターと機材を買っても、シールドケーブルの品質が良くないと“いい音”にならない可能性があるのです。
なお、ギターとアンプを直接つなぐ場合は、ケーブルは1本で事足りますが、エフェクターなどに接続する場合は2本以上必要になります。
ギター用シールドケーブルの選び方:プラグ形状の違いは何? 自分のギターに合うものを選ぼう
シールドケーブルのプラグには、「ストレート(SまたはI)」と「L型(L)」があります。ギターによってはプラグ形状の選択を間違えると、ギター本体のジャックにシールドケーブルを差せない場合もあるので注意しましょう。
標準的なものは両端ともストレートプラグ(S/SまたはI/I)で、片側のみL型プラグ(S/LまたはI/L)になっていたり、両端ともL型(L/L)のものもあります。
L型プラグは、ギブソンのレスポールやフェンダーのテレキャスターのように、ボディ側面にジャックがついているギター向きです。一方で、ストラトキャスターのようにボディトップにジャックがあるタイプには向いておらず、ケーブルが差せなかったり、抜けやすくなってしまいます。
ストレートプラグはギターのタイプを選ばずに使用できますが、ボディ側面にジャックがあるギターに使用するとプラグが邪魔になり、演奏中に引っかけてしまったり、接触不良の原因になる場合があります。ストレートプラグはどちらかというと、ストラトキャスターのようなボディトップにジャックがあるギターに適しています。
ギター用シールドケーブルの選び方:ライブで使うなら何mがおすすめ? 長さの違いとは
シールドケーブルには様々な長さがあり、演奏シーンによって適する長さは異なります。短いほうが音の劣化が少なくなるといわれているものの、短すぎるとパフォーマンスが制限されることも。ほど良い長さのケーブルを選びましょう。
アンプに直接ギターを繋ぐ場合、自宅練習やスタジオ練習なら3メートル、ライブなら5メートルがおすすめ。ライブステージが広い場合は7メートルも検討しましょう。
1mより短いギター用シールドケーブルは何に使う?
楽器屋などで、15センチほどの短いケーブルを見かけたことがあるかと思います。これはエフェクター同士をつなぐ「パッチケーブル」というもので、複数台エフェクターを使いたい方の必需品です。
ギター用シールドケーブルの選び方:高音質やノイズレスが特徴の製品を使って機材のポテンシャルを活かそう
シールドケーブルはあくまで信号を送るためのアイテムです。高品質なケーブルを使えば音が良くなるというわけではなく、音が劣化しなくなる=ギターやアンプといった機材のポテンシャルを最大限活かせる、と考えると良いでしょう。
実際に使ってみないとわからない部分もありますが、重視する帯域や、音の解像度、音圧の出方に着目し、楽器店員さんの意見や口コミなどを参考にして選ぶのがおすすめです。
ギター用シールドケーブルに寿命はある?
シールドケーブル選びでは、耐久性もポイントです。何年使えるか一概にはいえませんが、耐久性の高いものを購入し、丁寧に扱うことで、長く使うことができます。
しかし、どんなに耐久性が良くとも、どんなに大切に扱っても、いつか寿命がくるのも事実。何度も抜き差ししたり、演奏中に踏んだり、束ねる時にねじれることで、どうしても傷んでしまいます。丁寧に使うことは大切ですが、シールドケーブルは消耗品であると認識しておきましょう。
各ブランドの特徴を比較! ギター用シールドケーブルのおすすめ
続いて、シールドケーブルのおすすめ製品を紹介します。
ギターシールドケーブルのおすすめ:コスパ抜群! カナレ「PROFESSIONAL CABLE」
リーズナブルながらも品質が良いケーブルといえば、カナレの製品。「PROFESSIONAL CABLE 3m(G03)」はAmazonで2000円前後で購入可能です。
PROFESSIONAL CABLEというだけあり、ノイズの少なさや耐久性も申し分ありません。また、カラーバリエーション豊富な点もうれしいところ。初心者の方は、迷ったらまずカナレからスタートしても良いでしょう。
ギターシールドケーブルのおすすめ:老舗ブランドの定番製品! ベルデン「#8412」
1902年にシカゴで設立された老舗ブランド、ベルデンの定番製品「#8412」(写真は3メートル、S/Lプラグ)。
耐久性が高く、ノイズが少ないことで定評があります。その耐久性ゆえ、やや太く硬いですが、信頼性で選ぶならおすすめの製品です。
ギターシールドケーブルのおすすめ:世界に名をはせる国産ブランド! プロビデンスの「H207“Heartbreaker”」
プロビデンスのケーブルは、日本の熟練職人が一本一本手作りしています。独自設計したケーブル/プラグを採用し、L型プラグは角度を91度にすることで抜き差ししやすくするなど、細部までこだわりが感じられます。
エントリークラスの「LE SERIES」や、定番シリーズの「Platinum Link」、フラッグシップの「Premium Link」と、各シリーズともにラインナップが豊富です。
こちらはPremium Linkのギターケーブル「H207“Heartbreaker”」。世界中で愛されるパッチケーブルの代名詞「The Patch P203 model」の使いやすさと音質が活かされたケーブルです。
ギターシールドケーブルのおすすめ:使いやすさが魅力のCUSTOM AUDIO JAPAN(CAJ)「Guitar Cable」
知る人ぞ知る人気ブランド「CUSTOM AUDIO JAPAN(CAJ)」のシールドケーブルは、プロミュージシャンも数多く使用しています。
CAJのケーブルの魅力は、使いやすさと素直なサウンド。ケーブル部がしなやかで使いやすく、練習時はもちろんライブでも活躍してくれます。素直な音色のため、音作りしやすい点も人気の理由です。
【番外編】シールドケーブルなしでエレキギターが弾ける!? ライブで便利なワイヤレスシステム
演奏中にケーブルが絡まるのが煩わしい、ライブ中にステージを縦横無尽に動きたい……そういったギタリストにおすすめなのが、ワイヤレスシステムです。
その名の通り、ギターの信号を無線でアンプに送るこのシステム。ギターのジャックにトランスミッター(送信機)を、アンプやエフェクターにレシーバー(受信機)を差して使用します。
Line 6の「Relay G10」は、2万円弱で手軽に導入でき、シンプルに使うことが可能です。
ケーブルトーン・テクノロジーにより、ケーブル特有の音色を再現している点や、ライセンスなしに全世界で使用できる点など、ワイヤレスシステムにおける心配事もクリアしています。
本機は自宅やスタジオで練習することを想定して設計されており、伝送範囲は屋内最大約15m。ライブ向けの「G10S」(伝送範囲は最大約40m)もラインナップしています。
ギター用シールドケーブルを収納する前にチェック! ケーブルを長持ちさせる巻き方
一般的に、ケーブル類は「8の字巻き」で巻くと劣化しにくくなるといわれています。8の字巻きとは、順巻きと逆巻きを交互に繰り返して巻く方法です。
左手でケーブルの端(プラグの根元)を持ち、右手で巻いていきます。プラグの先端が前を向くように持ちましょう。まず通常通りにひと巻き(順巻き)。続く2巻き目は、右手でケーブルを持ち、手首をくるっと返します。これを交互に行って巻きましょう。
購入時は巻き癖がついているため、はじめは難しく感じる8の字巻きですが、慣れればスムーズに行えるでしょう。
機材の良さを最大限に活かしてくれるシールドケーブルを使えば、演奏や音作りがもっと楽しくなるはず。今まであまり気にしていなかった方は、これを機にぜひ、ケーブルにこだわってみてください。
※データは2021年5月上旬時点での編集部調べ。
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文/bommiy