現在、多くの外食店は食品ロスや環境を配慮した取り組みを実施している。さまざまな取り組みがあるが、中でも先進的な取り組みを行っているパン屋さんもある。そんな取り組みを2つ紹介する。
パン屋さんの先進的な食品ロスの取り組み2選
食品ロスとは、本来食べられるのに捨てられてしまう事態を指す。資源の無駄使いや食品を焼却処理する際に排出されるCO2が地球温暖化の要因となる温室効果を助長することから、環境にも悪い影響を与えてしまう。そんな食品ロスが深刻といわれるうちの一つがパン販売店だ。そこで食品ロスの先進的な取り組みを行っている2つのサービスを紹介する。
1.「rebake(リベイク)」
パンのお取り寄せ通販サイト「rebake」は、パンの廃棄を減らすために、全国のパン屋でロスになってしまいそうなパンを積極的に扱っている。
売れ残ってしまったパンは廃棄に回さざるを得ないが、せっかく心をこめて作ったパンは捨てたくないというのがパン販売店の本音だ。また、パン好きにとっても、おいしいパンが捨てられるのを少しでも減らしたい。rebakeはそんなロスパンを取り扱うことを決めたという。そして収益の一部を食品ロスの削減に取り組んでいる団体に寄付している。
rebakeのサイトに訪れたら、「ロスパン」という表示があるパンが目に留まる。これが廃棄されるはずのパンである。「予約」を入れておくことで、ロスパンが出たタイミングで先着順に発送されるしくみだ。いつ発送されるかは日々の残りパンの状況によって変わるため、30日以上待つこともある。
ロスパンを少しでも減らすと同時に、寄付を行うことでさらに世の中の食品ロスが減る。そしてパン好きは喜ぶ。先進的な取り組みと言っても良いのではないだろうか。
2.「R Baker(アールベイカー)」
スターバックスにも導入されているモバイルオーダー。そのモバイルオーダーの一つ、事前予約専用アプリ「MOBILE ORDER&PAY(モバイルオーダー&ペイ)」を2020年6月より導入しているパン屋さんが、ベーカリーカフェ「R Baker(アールベイカー)」だ。客はこのモバイルオーダーを使えば自家製酵母パンの事前予約、モバイル決済での非接触購入が可能となる。
実はこのモバイルオーダーを導入したことにより、ロスパンを減らすことができている。なぜなら予約を受け付けると店舗としては売れる個数が見込めるので、1日の製造数の調整ができるからだ。
また客側にもさらなるメリットがある。会員になると天候不良による売れ残り商品の情報をモバイル通知で知ることができ、割安で買えるというものだ。
●ロスパンの一部をカレーパンのパン粉に利用
その他にもロスパン削減の取り組みを行っている。それは、売れ残ったフランスパン・食パン・カンパーニュ等をパン粉にし、カレーパンに利用するというものだ。
実はそこには、さらなる食品ロス削減の取り組みが隠れている。それは、パンを焼くのに使用する自然酵母(天然酵母)に、地元農家の規格外野菜等を使用している点だ。
規格外野菜は廃棄されるのが一般的であるため、積極的に買うことで野菜のロス削減にも貢献できることになる。一つの食品ロス削減の好循環モデルがそこにできあがっている。
これらの取り組みも先進的と言えるのではないだろうか。
ロスパン削減をはじめとした、食品ロス削減の先進的な取り組みを紹介してきた。
一個人としては、こうしたパン屋さんでパンを買うことで、食品ロス削減に少しでも貢献できる。また事業者としては、食品ロス削減の大きなヒントになるだろう。
取材・文/石原亜香利