7月頃になるとお中元をもらうことがありますが、お礼の仕方に悩む人もいるのではないでしょうか?そこで、お礼状を送る際の書き方やポイントを解説します。送り先別の例文やお返しについても触れているので、実際にお中元のお礼をする際に役立てましょう。
知っておきたいお礼状を送る際のマナー
お中元のお礼状を送る際は、どのようなマナーに注意したらよいのでしょうか?特に注意が必要なポイントを三つ紹介します。
お中元が届いたら3日以内に送る
お礼状には相手への感謝だけでなく、「お中元を受け取りました」という報告の意味があります。
品物を受け取ってから3日以内にお礼状を送るのがマナーで、1週間以内には相手にお礼状が届くのが望ましいでしょう。1週間を目安として、これを過ぎてしまうとお礼状が遅いと判断されてしまいます。
ただし、1週間が過ぎてしまったからといってお礼状を送付しないのは、相手に対して最も失礼な行為にあたります。もしも諸事情で遅れてしまった場合でも、おわびや気遣いの言葉を添えて必ずお礼状を送付しましょう。お返しに贈り物をする場合も同様で、お礼状は必要です。
お礼状の送り方
お礼状の基本的な送り方は、『ハガキ・手紙』『電話』『メール』の3種類になります。
ハガキや手紙はどの場面でも送ることができるスタンダードなお礼状で、縦書きの封書が最も礼儀正しい送り方です。特にビジネスシーンでの利用が多く、迅速に受け取った報告をしたい場合ははじめにメールで感謝を伝えて、後日に改めて縦書き封書のお礼状を送ると非常に丁寧になります。
仲の良い友人などの場合は、電話やメールでお礼をする方法もあります。急ぎでお礼や受け取った報告をしたいのであれば電話、相手が忙しい人であればメールと状況に合わせて使い分けましょう。
しかし特別な事情がない限りは、マナーとしてハガキや手紙のお礼状が基本だと覚えておきましょう。
暑中見舞いとして送ることもできる
7月15日から8月8日頃は、『暑中見舞い』のあいさつをする時期になります。お礼状送付のタイミングを逃した場合や品物の受け取りが遅くなった場合は、暑中見舞いであいさつするのがおすすめです。
暑中見舞いとしてお礼状を送る際は、お中元のお礼でもあいさつ文を「暑中お見舞い申し上げます」と書きます。季節のあいさつやお礼の言葉のみにして、拝啓や敬具は省きましょう。
また、8月8日頃の立秋を過ぎている場合は『残暑見舞い』の時期になります。この時期に送る際は「残暑お見舞い申し上げます」という文が望ましいあいさつです。
お礼状の書き方のポイント
お礼状は、送る相手や執筆する人物によって書き方が異なります。また、ビジネスシーンなどのかしこまったお礼状では、間違った構成で書いてしまうと、会社の信用を損なう可能性も否定できません。お礼状の書き方のポイントを把握しましょう。
書くべき内容
仲の良い友人であれば、構成を意識していない砕けた文章でも特に問題はありません。しかし、仕事上の関係者や大事な取引先に対しては、マナーを守って書くべき内容を抑えたお礼状を送る必要があります。
ビジネスシーンなどに適したお礼状とは、以下のような内容を含んだ構成となります。
- 時候のあいさつや季節のあいさつ
- 相手の息災や健康を気遣う言葉
- 心遣いや品物に対するお礼の言葉
- 日頃の感謝や先方の会社の発展を祈る一言
- 結びの言葉
- 執筆した日付や差出人名
また、このようなお礼状は基本的に『頭語』で始まって『結語』で終わります。『拝啓』という頭語で始めたのであれば、『敬具』という結語で終わることも忘れずに、失礼のないお礼状を書きましょう。
代筆してもらう場合
特別な事情でお中元を受け取った本人がお礼状を送れない場合は、家族や代理人に代筆を依頼します。代筆は書き方が少し変わるので、ポイントに注意する必要があります。
代筆のお礼状では『代筆であること』と『代筆した人物が誰なのか』を明確に記載します。その役割を果たすのが、差出人の左下に書く『脇付』です。
夫の代わりに妻が書くケースでは『内』という文字を付け加えます。縦書きでは夫の氏名の左下に、横書きでは夫の氏名から余白を空けて書き加えましょう。『内』は妻が代筆したことを表します。
他にも仕事上の部下などが代筆する場合は、上司の氏名に続けて『代』の文字と代筆者の苗字を書き加えます。しかし、ビジネスシーンのお礼状は代筆が失礼にあたるケースも多いので、代筆はなるべく控えましょう。
送り先別の例文
マナーとポイントを把握した後は、実際にお礼状を執筆していきます。しかし、どのような内容にすればよいか悩む人も少なくありません。そこでシチュエーション別に例文を紹介しますので、文章をアレンジして書いてみましょう。
ビジネスで送る場合
ビジネスシーンではより丁寧な言葉遣いや表現を意識しましょう。失礼のないお礼状を送ることで、会社の信用に繋がります。
例文を紹介しましょう。
拝啓
立夏の候、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のお引き立てにあずかり、深く御礼申し上げます。
さて、このたびはご丁寧にも結構な品を賜り、誠にありがとうございました。
過分なお心遣いに、恐縮しております。
厳しい暑さが続く折、皆様のますますのご健勝と貴社のご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
まずは取り急ぎ、書中をもって御礼申し上げます。
敬具
友人に送る場合
友人に対しては、砕けた文章や表現で親しみやすいお礼状を送っても問題ありません。贈り物の気に入った特徴や、おいしくいただいた様子を書き添えると、感謝の気持ちが伝わりやすいでしょう。
例文を紹介しましょう。
拝啓
毎日暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
おかげさまでこちらは皆元気に過ごしております。
さて、このたびはおいしい和菓子をいただき、ありがとうございました。
夏らしさを感じられる逸品に、家族みんなも大喜びです。
このような贈り物をしてくださる◯◯◯(友人の名前)さんのお心遣いには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
これから夏本番を迎えますので、ご多用のことと思いますが、くれぐれもご自愛ください。
まずは取り急ぎ御礼まで。
敬具
家族や親戚に送る場合
頻繁に会うことができない家族や親戚には、健康を気遣う内容や、家族の近況を伝えるのがおすすめです。また、親戚関係に傷が付かないように、砕けすぎた文章には注意しましょう。
例文を紹介します。
拝啓
暑い日が続きますが、お父様、お母様お変わりなくお過ごしのこととお喜び申し上げます。
本日、お中元の品が届きました。すてきな羊羹の詰め合わせに、家族みんなも大喜びです。
子どもたちはお蔭様でだいぶ大きくなりました。
そろそろ夏休みに入りますが、二人とも「おじいちゃんとおばあちゃんに会いたい」と福島に行けるのを楽しみにしています。
私もお会いするのを楽しみにしておりますので、本年も夏休みに合わせて家族皆で福島に伺いたいと思います。
またぜひ、わが家にも遊びにいらしてください。
厳しい暑さが続きますが、くれぐれもお体には気を付けてください。
まずはお礼まで。
敬具
暑中見舞いとして送る場合
一般的に7月15日から8月8日頃の立秋までは、暑中見舞いの時期となります。暑中見舞いのあいさつを兼ねてお礼状を送る場合に、「暑中お見舞い申し上げます」と記載した際は、『拝啓』や『敬具』などの言葉は書く必要はありません。
例文を紹介しましょう。
暑中お見舞い申し上げます。
厳しい暑さの毎日が続いていますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
このたびは、お心のこもったお言葉に添えて、丁重なお中元の品をお贈りいただき、誠にありがとうございました。
日ごろ何かとご配慮いただいておりますのに、ご過分なお心遣いをいただき、恐れ入ります。
まだしばらくは厳しい暑さが続きますが、体調にはくれぐれもお気を付けください。
まずは暑中のお伺いと御礼まで。
お中元のお返しは必要?
お中元のお礼状は、お返しの品と一緒に送る必要があるのでしょうか?お返しの有無を注意点とともに紹介します。
基本的にお返しはしなくてOK
お中元は日頃の感謝を伝えるために贈られる品なので、基本的にはお返しの必要はありません。結婚など他のお祝いを兼ねたお中元の場合でも、のしの表書きがお中元であればお返しは不要です。ただし、お礼状で丁寧に気持ちを伝えることを忘れないようにしましょう。
それでも相手にお返しをしたい場合は、『暑中見舞い』『残暑見舞い』として贈り物をするのがおすすめです。お返しは受け取ったものよりも金額を下げて、お中元の品と同じようなものを避けて選ぶのがマナーになります。