「サッカーを言語化する」。近年、SNSを中心に広がり始めた考え方で、欧州などのサッカー先進国を見倣って、それぞれの事象を〝専門用語〟で定義し、学術的にサッカーを捉える傾向が強い人々が増えてきている。「ハーフスペース」「ポジショナルプレー」などといった言葉(概念)は数年前で日本ではほとんど浸透していなかったが、今ではサッカー中継の実況者や解説者もごく普通に使用するようになっている。
サッカー用語は外来語が多くカタカナで表現されるために、少し取っ付きにくい面もあるかもしれないが、ワンランク上の“専門用語”を覚えることで、サッカーの理解がグッと深まることは間違いない。そこで今回は、“サッカー通”になるために押さえておきたいサッカー用語を紹介・解説していく。
〝サッカー通〟に近づくための用語集
サッカー用語は英語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、ドイツ語が多くカタカナで表現されるために、一度聞いただけでは意味を想像し、理解することは難しいだろう。専門用語を理解するためには、自分の中で日本語に解釈し直す必要があるが、一度覚えてしまえば、サッカーという競技に対する理解も一段と高まるはずだ。
アタッキングサード
アタッキングサードとは、敵陣のコートを3分割に分けたゴールに最も近いエリアを指す。サッカーの攻撃は“アタッキングサードまでボールを運ぶこと”と“アタッキングサードから得点を取ること”の二つに大きく分けることができる。
サッカー中継でも解説者が「アタッキングサードまでは運べるが、その後の崩しのアイディアが足りなかった」などと説明することが多いので、覚えておくと良いだろう。
インテンシティ
インテンシティとは、あらゆる面での強度の高さを表す用語。ハリルホジッチ元日本代表監督が就任した頃から日本でも頻繁に使用されるようになった。インテンシティは戦術的な強度、フィジカル的な強度、メンタル的な強度、スピード的な強度を合わせた表現で、「インテンシティが高いチーム」は集団としての動きの速さと強さ、思い切りの良さがある。
くさび
くさびとは、相手の守備ブロックの間に通すことで攻撃のスイッチを入れる縦パスを指す。語源は大工道具で、木に亀裂を作るように、守備ブロックに亀裂を生じさせるパスのことをくさびのパス、くさびを入れると表現する。こちらもサッカー中継で頻繁に使われる用語である。
ポリバレント
ポリバレントとは、万能性を表す用語。類義語としてユーティリティという用語もあるが、ポリバレントは複数の役割をこなす、ユーティリティは複数のポジションでプレーできるという意味で使い分けられることが多い。
近年のトレンド|進化するサッカー戦術用語
前述したように、学術的にサッカーを捉える人々が日本でも増えてきたことで、より専門的な戦術用語も広く浸透し始めたのは近年のサッカー界のトレンドであると言えるだろう。ここからは押さえておきたい“トレンド戦術用語”を紹介していく。
ポジショナルプレー
ポジショナルプレーとは、ピッチ上のどこにボールがあるかを踏まえて、選手のポジションを設定して有利な陣形を作り続けて“位置的有利”を得るための戦術を指す。フォーメーションではなく、各ポジションの動き方をあらかじめ設計するという考え方でポジショナルプレーは成り立っている。
選手個人の能力による“質的有利”ではなく、“位置的有利”を得ることで試合を優位に進めていくという考え方で、日本でも関連本が多く発売されるなど、一大トレンドとなっている。
ハーフスペース
ハーフスペースとはドイツ発の専門用語で、概念自体はそれほど複雑ではない。ピッチを縦に5分割したうちのサイドと中央に挟まれた2つのエリアを指し、現代サッカーでは、ハーフスペースをうまく活用する攻撃が主流になっている。
※データは2021年4月下旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
文/praia