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大きいのに乗り心地はソフト!?BMW製バイクの魅力はフラットツインエンジンにあり!

2021.05.14

クラシカルさと新しさが同居するデザイン

フラットツインだからこその魅力

BMWのモーターサイクルを語る上で、基本中の基本である水平対向2気筒エンジン(以下、フラットツイン)の存在は外せない。BMWといえば航空機エンジンのメーカーとして創業した当初、航空機用のフラットツインも製造し、同時にそれをモーターサイクルメーカーにも供給していた。そして1923年には自社製エンジンを搭載した初のモーターサイクル「R32」を製造し、2輪メーカーとなった。
それから間もなく100年になるが、フラットツインを搭載したRシリーズは、多くのライバルの登場や環境問題に対処しながら現在まで健在という息の長さを誇る、まさにヘリテージモデルである。通過儀礼というと少しばかり大げさになるが、BMWのモーターサイクルに乗るなら、やはり一度はフラットツインを経験して欲しいというのは、このためである。

では、これだけの長い間、フラットツインが存続できた理由だが、まず低重心で走行安定性が抜群に高いことにある。シリンダーが水平であり、クランクシャフトよりも上に重量物がないことで低重心となるのだ。これは路面の悪い状況であっても安定した姿勢で、より速く走行出来るという利点を生み、道路状況の悪かった時代であればライバルに対しての大きなアドバンテージになったし、現在でもその恩恵は大きい。
さらにもう一点、縦置きエンジンのため、進行方向に対してクランクシャフトからトルクを、途中のクラッチやミッションを介しながら、プロペラシャフトに伝えて後輪を駆動する「シャフト駆動」を採用したことにも要因はある。ちょうど4輪車で言うところのFR(後輪駆動)と同じようなレイアウトにした。結果として効率的なパワー伝達を実現できた上に、ベルトやチェーンが切れるといったバイク特有のトラブルリスクもなくなったのだ。

その他にも整備性がいいなどの理由もあったが、とにかく走りやすくてトラブルも少ないとなれば人気も出て、一度は乗ってみたい憧れの存在に成長してきたのもうなずける話である。そして途中、英国製バイクや日本製バイクの台頭に対しても、Rシリーズはこの個性的なパワートレーンが存在感を示すことで対峙できたとも言える。

ビッグバイクでありながらすべてがソフトフィール

とはいえ、年を追うごとに厳しさを増す排気ガス規制問題によって、フラットツインは何度となく撤退を検討するほど追い込まれた。R nineTも、一昨年辺りには消滅までささやかれていた。それでもシリンダーヘッド、シリンダーヘッドカバー、スロットルバルブなどの部品をすべて新設計しながら、各部を見直して次世代にも通用するように開発を進めた。その結果によって欧州の環境規制、ユーロ5に適合した21年モデルがこうして登場してきたのだ。

さっそく最高出力は80kw(109㎰)/7250rpm、最大トルクは116Nm/6000rpmのエンジンを始動。軽やかに目を覚ました大排気量の2気筒エンジンからは心地いい鼓動感を感じることが出来るが、かと言って振動がストレスになる事も無い。左右のピストンが水平方向に往復することで、互いの力を打ち消しあうことで振動が少なくなるからだが、相変わらずそのフィーリングは独特で心地いい。
軽く空ぶかしをすると、車体が右に小さく傾く。これはクランクシャフトが進行方向にマウントされる縦置きエンジンならではトルクリアクションによるもの。フラットツインだけでなく、V型2気筒エンジンを縦置きにするモトグッツィなどでも見られる現象だ。それでもファンの中には「これがなければBMWではない」といいながら、重要な味として認めている人もいる。

さっそく走り出してみる。出力はこれまでのモデルより1psほど落ち、110㎰/7750rpmとなっている。何度となく一般道でストップ&ストップ&ゴーを繰り返し、短いながらも高速でも走ってみた。エンジンの全体のフィーリングは、唐突なパワーの立ち上がりもなく、以前にも増して穏やかで本当に乗りやすいのである。

ファッション優先で乗れるビッグバイクの魅力

おまけにこの乗りやすさというか、扱いやすさには新しいサスペンションストラットのお陰もある。コーナリングでの快適なハンドリングは、久し振りにバイクに乗るというライダーにとっても走行中の低重心による安定感や素直なコーナリング性能は本当に助かる。安全の要でもあるブレーキ系もレバーの握り具合に合わせて自然なフィーリングで効いていってくれる。今回はお世話になることもなかったが、万一、コーナリング中にブレーキを掛けることになっても車体の乱れを少なく制御してくれる安全機構、DBC(ダイナミック・ブレーキ・コントロール)を搭載したABSプロがさらに進化している。

100年にもなろうかという時間の中で熟成を積み重ねてきたフラットツインとクラシカルな雰囲気を漂わせているデザインは、ヘリテイジ系モーターサイクルと呼ぶにはぴったりの存在である。街の風景の中でもしっくりと溶け込むネオレトロな雰囲気はカウル付きスポーツバイクのような、バリバリの本気さも前面に出てこないから気楽でもある。これはリターンライダーにとっては、敷居を一段下げてくれる要素であり、本当に助かるのである。

また、そのコンセプトからも理解できるが、ビッグバイクにもう一度乗りたいと考えている人にとって、R nineTは、乗りやすさと安全、デザインのカジュアルさや趣味性の高さなどで考えると、かなりお薦めの存在だ。

スポーティでエレガントな雰囲気が両立したリアスタイル

フラットツインのエンジンヘッドがかなりはみ出るが、低重心で安定する

鼓動感はあるが振動も少なく、ロングライディングでも疲労感は少ない

ドライブシャフトで後輪にパワーを伝えるシャフト駆動も受け継がれてきた

ブレンボのABSシステムが付き、コーナリング中のブレーキも、より安定して制動する

視認性の良さだけでなく、クラシカルな雰囲気を演出するアナログ式メーター

シート高の低いローシートとデザインによって足つき性はけっこう良かった

USB電源ポートを標準装備している

R nineT

価格:2,240,000円(税込み)

ボディサイズ:全長×全幅(ミラー除く)×全高(ミラー除く):2,105×870×1,100mm
車重:224kg
駆動方式:ドライブシャフト駆動
トランスミッション:6速MT
エンジン:水平対向2気筒 1,169cc
最高出力:80kw(109PS)/7,250rpm
最大トルク:116Nm(11.8kgm)/6,000rpm
問い合わせ先:トライアンフコール TEL:03-6809-5233

TEXT : 佐藤篤司(AQ編集部)
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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