長期間のキャリアブランクや年齢差別など、社会派テーマを扱いながらも抱腹絶倒のコメディに仕上がっているのが『Younger/ライザのサバヨミ大作戦』。
Huluで5月30日より配信スタートする、アメリカの人気ドラマシリーズだ。現在シーズン7まで続いている。
『セックス・アンド・ザ・シティ』『ビバリーヒルズ再会白書』『エミリー、パリへ行く』など数々のヒット作を世に送り出してきたダーレン・スターがクリエイターを務める。
主演はブロードウェイで活躍してきた俳優サットン・フォスター。仲良しの同僚役として歌手のヒラリー・ダフが出演している。
あらすじ
40歳バツイチ子持ちのライザ(サットン・フォスター)。大学卒業後に就職した出版社で最年少ジュニア・エディターをしていた時期もあったが、育児に専念するため退職。15年間のブランクを経て、離婚を機に就職活動を始める。
不倫して家を出ていったライザの元夫は、借金返済のためにライザの自宅を抵当に入れていた。
まさに崖っぷち状態のライザだが、ブランクが長すぎることと年齢が足かせになり、アシスタント職でも採用してもらえない。
しかしその直後、気晴らしに親友と遊びにいったバーで、26歳のタトゥーアーティスト・ジョシュから同い年に間違われたことで自信を回復。
ライザは26歳と偽って出版社の面接を受け、恐ろしいと評判の上司ダイアナのアシスタントとして採用される。
見どころ
日本でも多くの人が抱えている悩みを、明るく軽快なラブコメテイストで描いている。
妊娠・出産をきっかけに仕事を離れるのは圧倒的に女性が多いが、キャリアのブランクは必ずしも女性だけの問題ではない。
男性でも、就職難や介護や病気・事故などにより、不本意なブランクが生じることもある。一度正規のレールから外れると復帰が難しいと言われる日本社会において、誰もが無縁ではないテーマだ。
それにしても冒頭でライザが置かれている状況は、あまりにも悲惨だ。
キャリアを犠牲にして家族のために頑張ってきたのに、夫から裏切られ周囲からバカにされ、気づけば手元には何も残っていない。専業主婦の経験は企業にスキルとして評価されず、年齢を理由にアシスタントの仕事すらもらえない。こんな悔しいことってあるだろうか。
しかしいつまでも落ち込んでいないのが、ラブコメのいいところ。
もちろん経歴詐称レベルの大ウソをつくことはお勧めできないが、人生において時にはこんな強行突破が有効であることも事実。
そして鬼上司ダイアナもまた、アラフォーのバツイチ女性。実は素のライザとは共通点が多いスペックであり、年の功を武器にダイアナの洗礼を乗り越えていく展開に期待。
15年ものブランクがある主人公が、いかにして“専業主婦としての人生経験値”を仕事面で発揮していくのかが見どころ。
20代の同僚たちの会話にジェネレーション・ギャップを感じながらも必死についていこうとするライザ、同年代の男性から露骨にオバサン扱いされた直後に優しい年下男性との交際を決意するライザに、「日本でもあるある」と笑いながらも勇気をもらえるはず。
本作のラブコメ的視点は、同じ状況でも、ネガティブからポジティブに視点を切り替えるだけでまったく世界が違って見えることを教えてくれる。
このような視点は、人生でピンチが訪れたときに役立ちそうだ。落ち込んだときはぜひ本作を観てみよう!
各話が約20分なので、休憩時間にリラックスしながら視聴できるのもいい。
『Younger/ライザのサバヨミ大作戦』シーズン1
Huluで5月30日より配信スタート
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文/吉野潤子