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弁護士300人に聞いた養育費不払い分の最も有効な請求方法

2021.05.12

不払い分の養育費、有効な請求方法は「給与等の差押手続を行う」7割で最多

近年、養育費の不払いが大きな社会的課題となっている。

法務省が設置した「養育費不払い解消に向けた検討会議」は2020年12月、養育費の請求権について、民法に明確に規定すべきなどとする提言をまとめて、公表した。

上川陽子法相は取り組みを強化する姿勢を示しており、法制審議会に制度見直しを諮問するなど、今後、様々な動きが出てきそうだ。

今回弁護士ドットコムは「養育費の不払い問題解消に向けた取り組み」について、弁護士を対象に調査を実施した。

養育費の不払い案件 約7割の弁護士が経験

「過去に養育費問題を取り扱ったことがあるか」尋ねたところ、87.7%の弁護士が「ある」と回答した。また、「養育費の不払い問題を取り扱ったことがあるか」の質問には、68.7%が「ある」との回答が得られた。

このことから、非監護者からの養育費の不払いに悩み、弁護士に相談する監護者が多いことが見て取れる。

※監護者とは、子どもと生活を共にしていて、身の回りの世話をする者を指す。

(n=300)

「取り扱った養育費不払い事案で、印象に残っていること」を自由記述形式で尋ねたところ、様々な意見が寄せられた。

「勤務先や住所が判明しており、養育費の差し押さえが可能」で養育費の不払い分を回収できるケースがある一方で、「勤務先や住所が不明」「自営業者で資産の補足が難しい」「そもそも回収できる資産がない」などの理由により、回収が難しいケースも多く見られた。寄せられた体験談の一部紹介しよう。

養育費の不払い分が回収できたケース

・改正後の第三者からの情報照会でうまく財産が見つかったことがある。

・勤務先を知っているケースで、強制執行後自主的に支払われた。

・義務者破産により住所と勤務先が判明し、これらの情報に基づき差押えを行った。

・養育費を一括払いにすることで、解決したことが数例ある。

養育費の不払い分の回収が難しかったケース

・自営業の財産の捕捉が難しかった。

・給与を差し押さえした直後に退職して、回収できなかった。

・そもそも相手が行方不明だった。

・相手方に資力がなく、どうにもならなかった。

不払い分の養育費 有効な請求方法は「給与等の差押手続を行う」が7割で最多

「養育費の不払い分の請求をする場合、どのような方法で解決することが有効だと考えるか」複数回答可能な形式で聞いたところ、「差押手続を行う(給与や預貯金口座)」(71.3%)が最多に。「養育費請求調停を行う」(53.3%)、「内容証明郵便で催促・督促する」(34.0%)と続いている。

(n=300)

養育費不払い解消の施策 7割の弁護士が「民事執行などの裁判手続きの改善が有効」

「法務省が検討している養育費の不払い解消に向けた施策の中から、有効だと考えられる施策」について、複数回答可能な形式で尋ねたところ、「民事執行などに関する裁判手続の改善」(73.3%)との回答が一番多く見られた。

次いで、「離婚届時に養育費の取り決めを義務化する」(54.7%)、「民間ADRも含む紛争解決手続の充実」(16.0%)、「各弁護士会や法テラス、自治体における無料相談会の実施」(10.7%)だった。

 (n=300)

「民事執行などに関する裁判手続きの改善」について、弁護士から寄せられた意見をご紹介しよう。

「民事執行などに関する裁判手続きの改善」に関する弁護士の意見

・現在は金融機関を指定することを求められているが、これを撤廃して、先般の民事執行法の改正をさらに進め、判明している資産以外の新たな金融資産がないかどうかの調査も可能にするべき。

・民事執行法の情報取得手続(特に預金)費用の無償化をするべき。

・「取り決めた養育費が支払われない」という問題は、債務名義に基づく執行一般の問題で あり、民事執行法制の強化(マイナンバーカードの利用)によるべきだ。また、「養育費の取決めがされない」という問題については、当事者の意向(例えば、今後関わりたくないなど)も考慮すべきであり、公正証書による取り決めの義務化といった方策は、協議離婚制度の実質的な否定に繋がるおそれがあるので、慎重に検討すべき。

「国や自治体による立て替え」「税金と一緒に徴収」「刑事罰を科す」養育費不払い解消に向けた意見 多数寄せられる

「養育費の不払い問題」に関する意見を自由記述形式で聞いたところ、問題解消に向けた様々な意見が寄せられた。特に「財産開示の簡易化・強化」「確実に徴収するための仕組みの構築」「不払い時の罰則」に関する意見が多く見られた。また、本来は別の問題である「養育費」と「面会交流」の同時履行への言及もあった。

養育費不払い問題解消に向けた弁護士の意見

・執行面、特に義務者の財産開示の手段を拡充する。

・給料や税金から養育費を天引きさせる。

・国や自治体が養育費を立替払いし、立替金については国や自治体が義務者に差押手続きや その他制裁手続きをする。

・交通事故の後遺障害逸失利益のように、現時点の額に換算して離婚時に一括払いする。その後、事情が変わったら調停申し立てをする。また、母親による無駄遣い防止のために父親やその他の者に年に一度、通帳の写しを添えた報告義務を課す。無駄遣い発覚により親権喪失もありうるようにする。

・外国のように、不払いだと免許証の更新ができないなど、公的制裁と結びつけるべき。

・場合によっては、刑事罰も科されるという法改正を行う。

まとめ 

「実際に手がけた養育費不払い事案」について弁護士に聞くことで、養育費の不払い問題の実情と解消に向けた課題が見えてきた。

不払い分の養育費の有効な請求方法として、「給与や預貯金口座の差し押さえ」があがっているが、非監護者が所在地不明であったり、勤務先の退職による差し押さえ逃れ、自営業者の資産把握の難しさ、資産がなく支払いが難しいなどの様々な理由から、不払い分の回収が難しいケースも多いことが判明した。

それらの問題を解決するために、「民事執行などに関する裁判手続きの改善」による財産開示や情報取得手続きの簡易化には期待が寄せられている。

先般、抜本的な民法改正がありましたが、中には、資産がなく支払いが難しいケースなどもあるため、確実に監護者が養育費を受け取れるように、「国または自治体などの公的機関による立替え払い」「税金と一緒に徴収」「マイナンバーに紐づけて徴収」などといった、より積極的な行政機関の関与が可能となる法改正を望む声が、弁護士の中でも高まっているようだ。

調査概要

調査方法:弁護士ドットコム登録弁護士にメールで実施

調査対象:弁護士 300名

調査期間:2021年2月22日

※原則として小数点以下第2位を四捨五入し表記しているため、合計が100%にならない場合がある。

構成/ino.

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