家族や自分を省みずに仕事に打ち込む様子や、そういった人を指す『ワーカーホリック』は、健康や対人関係に悪影響を及ぼす可能性があります。ワーカーホリックの意味やなりやすい人の特徴、リスクを知り、ワーカーホリックを予防しましょう。
ワーカーホリックとは
ワーカーホリックという言葉を聞いたことがあっても、正しい意味を知らずに何となく使っている人もいるのではないでしょうか。ワーカーホリックの正しい意味や使い方、由来などを知り、理解を深めましょう。
そもそもどんな意味?
そもそも『ワーカーホリック』は、『仕事中毒』を指します。常に働いていないと気が収まらなかったり、プライベートを犠牲にして仕事に打ち込んだりする状態のことです。ワーカーホリックの類義語には、『仕事の虫』や『企業戦士』が挙げられます。
ワーカーホリックは、一般的に『仕事に打ち込み過ぎている』ために周囲との関係悪化・健康リスクが高まるなど、ネガティブな意味で用いられる言葉です。『仕事熱心』という意味合いもありますが、どちらかというとネガティブな印象を持つ言葉でしょう。
由来は英語の「workaholic」
ワーカーホリックは、英語の『workaholic』に由来しています。『work(仕事)』と『alcoholic(アルコール中毒)』からなる造語です。アメリカの作家ウェイン・オーツの著書で、タイトルに使われたのがworkaholicの始まりとされています。
さらに細分化すると、アルコール中毒を指すalcoholicは、『alcohol(アルコール)』と接尾語『-aholic(~中毒)』の組み合わせです。この接尾語を用いた例には、ほかに『shopaholic(買い物依存症)』や『speedaholic(スピード狂)』などがあります。
当てはまる人は注意?なりやすい人の特徴
ワーカーホリックになる原因はさまざまです。仕事や職場の影響でワーカーホリックになる人もいれば、元からワーカーホリックになりやすい人もいます。ワーカーホリックになりやすい人の特徴を見ていきましょう。
負けず嫌いで完璧主義な人
負けず嫌いな人はワーカーホリックになりやすいといえるでしょう。仕事ではライバルに負けないよう、自分が一番になるまで懸命に働く傾向があります。一番になったらライバルに抜き返されないよう、休む間もなく仕事に打ち込み続けます。
自分が納得できるところまで仕事に取り組む完璧主義者も、ワーカーホリックに多い特徴です。妥協を許せないため、クライアントや上司が求めるレベルに達していても、自分の気が済まなければ手を止められません。
周囲に頼るのが苦手な人が多いのも、完璧主義者の特徴です。1人でこなせない量の仕事を抱え込んでも他人に頼れないため、1人で何とかしようと無理してしまいます。
上昇志向が強い人
上昇志向が強い人もワーカーホリックに陥りやすいといえます。仕事に関する資格の取得に熱心だったり、出世欲が強かったりする人が当てはまります。
強い上昇志向を持つこと自体は、決して悪いことではありません。目標達成に向けた努力やその結果は社内の評価につながり、昇進すれば役職や給与として反映されます。
結果が出ると、周囲の期待が大きくなったり、大きな仕事が舞い込んだりします。上昇志向が強い人は、次も結果を出そうと無理をしてしまう傾向があるのです。
無趣味な人
無趣味な人もワーカーホリックになりやすい傾向があります。趣味があれば休日は趣味に打ち込めるものの、無趣味で休日にすることのない人は、休日も仕事で時間を消費してしまいがちです。
業務そのものをこなせなくても、資格の勉強のような、仕事につながることに休日を費やす人もいるでしょう。
仕事につながることに休日を使うことが悪いわけではありません。しかし、「ぼーっと過ごすよりはまし」と休日も仕事から離れずにいることで、気付いたらワーカーホリックになってしまう可能性があります。
ワーカーホリックのリスク
ワーカーホリックには、さまざまなリスクがあります。ワーカーホリックのリスクは決して軽視できません。どのようなリスクがあるかを知り、ワーカーホリックの危険性に対する理解を深めましょう。
体調不良に陥るリスク
ワーカーホリックのリスクとして大きいのは、健康への悪影響です。仕事を理由に食事や睡眠バランスが崩れると、さまざまな体調不良を招きます。ワーカーホリックを原因とする体調不良には、頭痛や肩こり、腰痛などが考えられます。
ワーカーホリックの悪影響が及ぶのは、体だけではありません。心のバランスを崩してしまう可能性もあります。仕事ばかりしていて気分転換できる時間がないと、かえって仕事のパフォーマンスが落ちたり、思うような成果を出せない状態となってしまうかもしれません。
仕事でよい成果を出せないことが、さらにネガティブな感情につながる可能性もあるでしょう。
家族や友人との関係が悪化するリスク
ワーカーホリックには、家族との関係が悪化するリスクもあります。仕事を優先するあまりに、家族とのコミュニケーションが不足している人は要注意です。家族の生活のために仕事に打ち込んでいても、いつも「仕事で忙しい」と取り合わなければ、良好な関係が崩れてしまうかもしれません。
ワーカーホリックが原因で関係が悪化するのは、家族だけではなく、友人との関係にも及ぶ可能性があります。仕事を理由に遊びや食事の誘いを断ることは、社会人なら珍しくありません。しかしそれが何度も続けば、友人とは疎遠になってしまう可能性もあるでしょう。
ワーカーホリックにならないためには
職場の事情や繁忙期など、仕事に打ち込まざるを得ない事情もあるにせよ、ワーカーホリックにならないための対策は可能です。ワーカーホリックになりやすい特徴を持つ人は、意識的に対策しましょう。
仕事を抱え込まない
ワーカーホリックにならないためには、適度に周囲に頼ることが大切です。1人で仕事を抱え込まず、難しいことがあれば上司や同僚に相談しましょう。
「1人でこなせば成長できる」「仕事を断るなんて」と考えるかもしれませんが、自己管理も仕事の一環です。ワーカーホリックになって体調を崩してしまうと、仕事に穴をあけて職場に迷惑をかけてしまいます。1人で仕事を抱えて心身に影響を及ぼす前に、仕事について周囲に相談してみましょう。
親しい人と楽しい時間を過ごそう
勤務時間外は仕事から離れ、親しい人と楽しい時間を過ごしましょう。一緒に過ごす人は家族でも友人でも、恋人でも構いません。ただし、仕事以外のポジティブな話題が豊富で、一緒にいてリラックスできる人がベターです。
楽しい時間を過ごすといっても、特別なことをする必要はありません。大事なのは、仕事のことを忘れて時間を過ごすことです。会って話すだけでもリフレッシュできます。
没頭できる趣味を見つけよう
ワーカーホリックで趣味がない人は、仕事以外に没頭できる趣味を見つけましょう。夢中になれるものが見つかれば、仕事のオン・オフを切り替えやすくなります。
趣味は何でも構いませんが、仕事からできるだけ距離を置けるものがよいでしょう。勤務時間中はずっとパソコンを触る職種なら、水彩画や料理など、パソコンを使わない趣味がおすすめです。ワーカーホリックの対策だけでなく、気分転換やストレス解消にも、趣味を持つことは有効です。
構成/編集部