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未知の言語を空耳で鍛える!?おうち時間にぴったりのパーティゲーム「ホッタイモイジンナ」

2021.05.13

江戸時代末期、無人島に漂流して米国の捕鯨船に助けられ、長く米国暮らしを送ったジョン万次郎。日本に帰還後は、その英語力を買われ日米和親条約の締結などに貢献した人物として知られる。

その万次郎が、“What time is it now?”の発音として日本人に教えたのが「ホッタイモイジンナ」。冗談のように思えるが、万次郎にはネイティブの言葉が、こうとしか聞こえなかったようだ。

そんな逸話から着想を得た、意外性あふれるゲーム『ホッタイモイジンナ』を今回は紹介しよう。

『ホッタイモイジンナ』の中身

ゲームの内容は、4色のカードが全部で80枚に、小さなホワイトボード、そしてマーカーというシンプルな構成。そして、ネットに接続できる機器(スマホやPC)が必要といのが大きな特徴。プレイ人数は2~6人となっていて、人数が多いほど楽しめる。

ボードゲームらしからぬ構成だが、ルールはとても簡単。最初に各プレイヤーに、ホワイトボードとマーカーを配って準備完了。カードは色別に分けて各々シャッフルし、山札として積み重ねておく。

各カードには、馴染みのない言語の単語・連語が記されている。カードの色の区別は、ウクライナ語、ウルドゥー語、タイ語、テルグ語の違いを意味する。プレイヤーの1人が親となり、どれか言語を選んで2枚引く。ここで、スマホ・PCが登場。専用サイトにアクセスすると、ピックアップした2枚のカードの発音が聞けるという仕掛け。

専用サイトの画面

例えば、タイ語の山札からNo. 9とNo. 20のカードを引いたとする。画面上の該当する番号をタップすると、その音声が流れる。同時に日本語の意味も表示されるが、この情報はゲームの進行に関係なく、ちょっとおもしろがってもらえば、という趣旨。このカードの組み合わせだと、意味は「むかつく 遠くまで出ていけ」。そして発音は「まんつぁい おーばいかいかい」と聞こえる。しかし、聞いたとおりにホワイトボードに書くのではなく、意味のある日本語にして書かねばならないのが、このゲームの肝。例えば、「漫才 おっぱい痒い」というふうに。「空耳パーティゲーム」と呼ばれるゆえんだ。

引いた2枚のカードの言葉の発音を聞き取る

みんなが空耳を書いたら、ホワイトボードを公開。互いに一致した言葉があるか見比べ、それがあれば、各人は1点を得る。例えば、「漫才」を書いた人が3人いたら、3人とも1点もらえるわけ。また、書いてある内容が完全に一致したら、さらに1点追加。親を交代しながら、上記のプロセスをプレイヤーの人数だけ繰り返し、終わったら得点を集計。一番得点の高い人が勝利し、「聴能力者」という称号を与えられる。某テレビ番組の「空耳アワー」というコーナーが好きな人には、たまらないゲームといえそうだ。

さて、実際に楽しいゲームかどうか確認すべく、メンツを5人集めてやってみた。最近出た新機軸のゲームの中でも格段にやさしいので、ルールの説明は1分で終了。自分以外はボードゲームをまったくしない初心者なので、この点はポイント高い。

最初のお題は、ウクライナ語のカード番号3と18。発音させると、自分には「くろー なそび」と聞こえた(ちなみに意味は「血 鼻」)。しかし、聞こえたままに書き取っては日本語として意味をなさないので、空耳力を発揮させる必要がある。注意したいのは、奇抜な空耳を書いてウケをねらうゲームではないことだ。他の人たちの回答と一致してなんぼの世界なので、「ふつうはこう聞こえるだろう」「発音に近い一般的な単語はなにか」と頭を働かせるのが勝利への道のはず…そんなことを考えながら「くろう なすび」とホワイトボードに書き込む。

3回ほど音声を再生してよく聞き取ってもらった後、ホワイトボードを一斉に開帳した。

他のプレイヤーの回答は、「ぷりん のぞみ」「コンロ なすび」など。意外とばらけているが、2つ目の単語で「なすび」と回答した人が自分を含め3人。この人たちは1点ずつ得る。

次は、インド南東部の公用語として約8千万人もの使用者がいるという、テルグ語のお題。何度聞いても、自分には「迷路がセレブ」としか聞こえないので、そのまま回答とした。こちらはどんぴしゃりで、「迷路がセレブ」の回答が3人。完全一致なので2点ずつもらえた。

このように、和気あいあいとゲームは進行し、最後はウクライナ語のお題が出たが、これが難しい。あらゆる日本語に似ていない発音だったが、強いて言えば「なにしてんの はんにゃ」。他のプレイヤーも難儀したようで、数度聞いてもらってから出された回答は、バラバラ。それでも、「はんにゃ」と聞き取った人が自分以外にもいて、得点はあった。

当初は、空耳化が難しい単語ばかりあるかと想定していたが、意外とそうではなく、回答しやすい単語がセレクトされているのかな、という印象。たまに難しい単語に当たるも、誰も得点できないということはなく、終始なごやかなムードで進んだ。これが聞き取りにくい単語のオンパレードだと、フラストレーションに満ちた勝負になっていただろう。

このゲームは、2019年に個人が開発・販売したインディーズ(同人)版がもとになっている。元祖は、インフルエンサーを含め口コミで人気が高まり、異例の大ヒット。先月、ボードゲーム輸入代理店のKleeblatt (クレーブラット)が装いも新たにリブートし、全国のボードゲームショップや玩具店などで販売。価格は2750円となっている。

家族や仲間が集まってプレイするだけでなく、オンラインでも遊べるので、リモートワーカー同士の息抜きゲームとしてもおすすめできそうだ。

文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)

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