3密を回避する移動手段のひとつとして、マイクロモビリティーへの注目が高まっている。中でも身近な存在になりつつあるのが、電動キックボードだ。電動キックボードで公道を走るためのルール、各社おすすめのモデルをまとめた。
誰でも気軽に乗れない?規制の見直しが活発化
新たな通勤手段としてニュースに取り上げられるなど、電動キックボードが話題を集めている。欧米と比べて出遅れた感はあるが、実は2002年に警察庁交通局が交通規定を発表するなど、電動キックボードの公道走行はすでに認められている。最近になって電動キックボードが注目される理由は何か? 要因のひとつが規制緩和に向けた取り組みの活発化だ。
そもそも電動キックボードの交通規定とはどんなものか? 気軽に乗れる印象の強い電動キックボードだが、道路交通法上、個人所有の電動キックボードは、定格出力600W以下は一種、1000W以下を二種原動機付き自転車に分類。免許の携帯やヘルメット着用は義務で、走行できるのは車道のみ。保険の契約やナンバー取得、納税、また保安基準に適合した車体でないと罰則の対象となる。
現在、経済産業省はEXxやmobby rideなどシェアリング事業者と協働し、規制緩和に向けた実験を実施中。この結果を踏まえ、2021年前半をめどに、運転者の要件や安全性、車両の区分など、交通ルールの在り方について結論を打ち出す予定だ。
電動キックボードが通勤の足として普及する日は近そうだ。
まずは知っておきたい電動キックボードQ&A
Q. 日本全国どこの公道でも走れるの?
A. 一部対象エリアを除いて現在、走れるのは車道のみ
原動機付き自転車に分類されているとおり、走行は車道限定。一部エリアを除き、自転車専用レーンを走ることも禁止されている。歩道を進む場合は、電源を切って手押しすること。手押しする際もヘルメットの着用は必須。
●主なシェアリングサービスと実証実験エリア
自転車専用レーンを含めた車道を走れるのは、シェアリングサービス実施中の下記エリアのみ。
【 EXx 】東京都世田谷区の全域、渋谷区の全域、神奈川県藤沢市の全域、千葉県柏市の一部エリア
【 mobby ride 】福岡県福岡市、広島県尾道市、愛媛県今治市、兵庫県神戸市(いずれも一部エリア)
【 Luup 】東京都千代田区の一部エリア、新宿区の一部エリア、世田谷区の全域、渋谷区の全域
※2021年3月20日現在の情報です。
Q. 公道を走れないモデルがあるって本当?
A. 保安基準が定められています
道路交通法における電動キックボードの分類は、原動機付き自転車。そのため、保安基準の準拠が大前提。前照灯は地上からの高さなどの基準があり、保安部品を完備するだけでは公道を走れない。
Q. 電動キックボードは無免許で乗れる?
A. レンタルは小型特殊自動車免許、個人所有なら原付免許などの携帯が必須
一部のシェアリング事業者が貸し出す電動キックボードは小型特殊自動車、個人所有は原動機付き自転車の扱い。前者は普通免許あるいは普通二輪免許、後者は原付や普通免許を携帯して走行する必要がある。
Q. 年間維持費はどれくらい?
A. 600W以下の場合、税金と自賠責保険費用だけで年間9500円程度かかります
原付に分類されるため、自賠責保険契約費と軽自動車税がかかる。さらに充電時の電気代ほか、バッテリーやタイヤなどの消耗品代は必要だが、乗り物としてのコストパフォーマンスは高いといえる。
で、肝心の乗り心地は? シェアリングサービスを使ってみた!
急な登り坂もスイスイ進む!
4ステップで乗車&返却!
想像していたより簡単に乗れてパワフル!シェアリングエリアの拡大に期待!!
専用アプリ上で予約・返却する仕組みは電動アシスト自転車と同じだが、乗り味は全く違う。想像以上のパワーと加速感に驚いた。原付き扱いなので2段階右折や押して歩く際もヘルメットの着用が必須など、ルールはあるが、アーバンコミューターとしての魅力は十分! 移動手段として高い可能性を感じた。
東京タワーの下にポートを設置
Movicle
東京都港区内に7か所のポートを展開。
※自転車レーンは走行不可。
[営]9:00~20:00 [料]0分250円~のスタンダードプランなど
取材・文/今 雄飛