リアルコマース「ファッションと環境」
一見無害そうに見える衣料品。しかし実は、環境汚染の重大な原因になっていることをご存じだろうか?
国連貿易開発会議(UNCTAD)が2019年4月30日に発表した資料によると、全世界のファッション業界は、年間930億立方メートル(約500万人分の年間飲料水と同量)の水を利用し、約50万トンのマイクロファイバー(石油300万バレル相当)を海洋に投棄していることから石油産業に次ぐ、2番目の環境汚染産業であるとの報告がされている。
また、低価格で品揃えを頻繁に変える「ファストファッション」の影響により2000年から2014年の間に生産量が2倍に増加する中、アパレル各社は、衣料品回収制度、中古衣料のリサイクル制度など事業戦略において「持続可能性」を取り入れる動きとなってきている。
※出典:国連貿易開発会議(UNCTAD)「GreenFashion–SustainableClothingatUNEA」
そこで株式会社リアルコマースはこのほど、同社アプリ「Vintage.City」にて、「ファッションと環境」をテーマに10,000名を対象とした調査を実施した。結果の詳細については以下の通り。
4人に1人が環境問題、SDGs的考えに無関心。年齢を重ねる毎に無関心度が高まる傾向
本調査にて、環境問題、SDGsについての興味・関心を調査したところ、4人に1人に当たる25.0%が環境問題やSDGsに関して興味を持っていないことが判明した。
一方で、16歳〜22歳の層は他年代と比較してSDGsに対する興味・関心が高い傾向にあることがわかった。
ファッション領域で近年話題にのぼる機会が多い「エシカルファッション」、「環境配慮」、「フェアトレード」、「持続可能性」について、学校教育の中でSDGsに関する授業が組まれていることも起因して、16歳〜22歳の層が最も興味・関心を示している一方、年代が高くなるにつれて興味・関心が薄れていく傾向も明らかになった。
ファッションで行えるSDGsアクションは、「自分らしさ」の表現
本調査において、ファッション・アイテムを活用したSDGsアクションを尋ねたところ、全ての年代において、トレンドを追うのではなく、自分にあった衣類を少数保有し、使い回すという、ミニマリズム的思想を取り入れたアクションが55.9%と最も高い。
次いで、素材の良いファッション・アイテムを購入し、複数シーズン使う「スローファッション」の考えが35.8%にのぼることが判明した。
年齢が低くなるほど、古着などをSDGsアクションに取り入れたい意向
「ファッション・アイテムを活用したSDGsアクション」において、全ての年代において、アクションにおける3番目の選択肢として、「古着などまだ使えるファッション・アイテムをファッションに取り入れる」アクションがあげられた。
また、16歳から22歳のSDGsに最も興味・関心のある世代においては約1/4に当たる23.9%が古着をファッションに取り入れることをSDGsアクションとして取り入れたいと回答している。
「古着」や「ヴィンテージ・ファッション」においては、30代、40代が10代〜20代だった時代に、ファッションとして流行したのに対して、現在の16歳から22歳は、SDGsアクションとファッションを両立させる手段として「古着」や「ヴィンテージ・ファッション」を取り入れたい意向があることもわかった。
「新しい物」ではなく、「既にあるもの」の利用を重視した購入
近年のファッション業界において、エシカルファッションに代表されるように、数ヶ月で土にかえる素材を活かした素材を利用したファッションアイテムや、着古した衣類を回収し素材を再利用するなどアパレル各社は様々なSDGsアクションを行なっている。
また、ファッション・アイテムの製造においても労働環境の改善などにも取り組むアパレル企業が多い中、本調査において、「ファッション・アイテム」を購入する際に考慮する点を聞いたところ、64.3%はファッション・アイテムの購入において「考慮しないで購入する」を選択した。
一方で、35.7%はファッション・アイテムの購入において地球に優しい素材、リサイクル制度、地球環境を考慮したコンセプトのファッション・アイテムか否かを考慮した上で購入していることが判明した。
今後のファッション・アイテム購入において、「状態の良い古着などをファッション・アイテムとして取り入れる」が全ての年代において高い傾向にあるほか、16歳から22歳で23.9%、23歳から29歳で20.2%と年齢が若くなるに伴い、「新たな」ファッション・アイテムを購入するのではなく、既にある古着やヴィンテージ・ファッション・アイテムを活用することを重視している傾向が判明した。
さらに、リサイクル素材の利用や、地球環境に優しい素材を利用したファッション・アイテムの製造においても、年齢が若くなるほど購入決定要素になることから、今後のファッション業において、環境考慮などのエシカルアクションは必須であることわかった。
ファッションにおける身近なSGDsアクションの課題は「アドバイス不足?」
「古着」や「ヴィンテージ・ファッション・アイテム」の利用がファッションのSDGsアクションとしてあげられ、一部でコーディネートとして取り入れたれている一方、「コーディネートの仕方」や「コーディネートのアドバイス不足」に悩みを抱えていることも判明した。
また、ファッションのSDGsアクションに対して最も興味・関心が高い16歳から22歳に関しては、「どこで購入できるか分からない」と言う課題を持っていることもわかった。
<調査概要>
調査対象:ヴィンテージ・ファッション・アプリ「Vintage.City」ユーザー
16歳から50代までの10,000人
出典元:株式会社リアルコマース
https://ja.realcommerce.jp/
構成/こじへい