2025年の大阪万博開催に向けて株価は上昇するの?
25年には大阪万博の開催が予定されています。愛知万博では、日経平均が16%強、値上がりしましたが、同じようになっていくと思いますか?
たけぞうさん コロナ禍が終息し、外国人を受け入れる態勢が整ってインバウンド消費が再び戻ってくれば株価にも好影響があると思います。しかし、果たして25年に受け入れられる状況になっているのか、またカジノを中核とするIR(統合型リゾート)が大阪で実現できるのか、課題は多いですね。
遠藤さん たけぞうさんがおっしゃるとおり、万博があるかどうかより、経済が回るかどうか。万博で外国人が入ってきて日本でお金を使うことによって、ホテルや小売店、飲食店などにたくさん人が集まる。そこで初めて売上高、業績が上がり、株価が上がる。イベントによってどれだけ経済効果があるのかが大事だと思います。
大阪万博では「健康・医療」「環境・エネルギー」「IoT」などをテーマに掲げていますが、注目の未来技術はありますか?
ラテまっちゃさん 僕が注目しているのは環境、特に「アンモニア」と、「5G」ですね。バイデン新政権が脱炭素政策を掲げ、日本でも21年1月の補正予算で「グリーンイノベーション基金事業」として2兆円の予算が組まれました。その中でも「アンモニア」というキーワードがあり、これは大きなトレンドになると感じました。
やはり株式投資では「国策に売りなし」ということですね。アンモニア関連銘柄のなかで注目している銘柄は?
ラテまっちゃさん 中外炉工業ですね。日本国内ではCO2排出量のうち産業分野が25%を占めています。その状況下で、中外炉工業は工業炉(材料や部品に熱を加えて加工するための設備)の燃料として、大幅なCO2削減が可能なアンモニアを用いる独自技術を持っています。
例えば元手100万円から始めて、「アンモニア株」で2030年までに億り人になることは可能でしょうか?
ラテまっちゃさん 10年で100倍ということですよね。さすがに1銘柄では難しいですが、脱炭素のためには今後必須の技術になるのではないかと見ています。まだまだ開発途中の技術ですが、中外炉工業は時価総額が166億円くらいの中小型株なので、この技術が他社の工業炉でも使われるようになれば5~10年後に大化けしている可能性はあると期待しています。
万博が掲げるテーマには、未来の株式市場のヒントが
もうひとつの「5G」は?
ラテまっちゃさん 大阪万博のテーマの中に「Society 5.0の実現」と書いてあります。これはサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を融合させ、IoTやAI、ロボティクスなどの技術で超スマート社会を実現させることが目標です。そのためには「5G」のネットワークは必要不可欠だと考えています。
中でも特に僕が注目している銘柄は、AKIBAホールディングス。来期の予想PER(※)で見ると10倍くらいで、同業他社より割安な水準になると見ています。子会社が「ポリマテリアル充填工法」という、信号機や電柱に5Gの基地局を設置する際に支柱強度を高める特許技術を持っているんです。この新工法がソフトバンクの基地局建設に採用されたんですね。注目度は間違いなく上がっていますので、可能性を秘めた銘柄だと思います。
たけぞうさん 私も同じく環境、特に脱炭素社会の実現は重要テーマだと考えています。その観点から見ると、エンビプロ・ホールディングスなどの「リサイクル関連銘柄」には注目していきたいと思っています。
例えばEVの二次電池や太陽発電設備の廃棄処分などリサイクルはこれからの社会問題になってくると思いますね。レアメタルや非鉄金属などの資源のリサイクルもますます進んでいき、リサイクルは魅力ある市場になるんじゃないかと考えていますね。
ラテまっちゃさん 大阪万博で日経平均が上がるかはあまり関係ないと思いますが、愛知万博における「ユビキタス社会」のように万博が掲げるテーマには今後の株式市場で重要になるヒントが詰まっているんですね。
※株価収益率。「会社の利益と株価の関係」を表していて、割安性を測ることができる。一般的に、PERが低ければ低いほど、会社が稼ぐ利益に対して株価が割安とされる。
2005年3月~9月の愛知万博開催期間には日経平均が上昇!?
日本企業の業績の改善や構造改革の進展により、愛知万博(2005年3~9月)の期間では日経平均が16%強も値上がりする事態が発生した。2025年大阪万博でも同じような現象が起きるのだろうか。
テーマ株「アンモニア」を見つけ出したラテまっちゃさんの思考法
(1)「国策に売りなし」とは?
国の重要政策に関連した業種や分野は強く上昇しやすいことを意味する投資格言。首相の発言や与党の政策に注目しよう。
(2)環境テーマからキーワードを紐解く
菅首相もバイデン政権も大阪万博でも重要テーマとして掲げている「環境」。特に「アンモニア」関連事業に新たに巨額予算がつけられた。
(3)独自技術を有する企業を探す
中外炉工業の「アンモニア専焼技術」は大幅なCO2削減に一躍する。他社には真似できない独自技術や特許を持っている企業は強い。
取材・文/向井 翔太