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アカデミー賞脚色賞にノミネートされたNetflix映画「ザ・ホワイトタイガー」のみどころ

2021.05.05

第93回(2021年)アカデミー賞脚色賞ノミネート。

2021年1月22日より独占配信中のNetflix映画『ザ・ホワイトタイガー』は、インド・下位カースト出身の男性が、人間としての誇りと自我を取り戻し起業家として成り上がるまでを、シニカルかつドラマチックに描いた社会派映画。

原作は、ブッカー賞受賞のアラヴィンド・アディガ著『グローバリズム出づる処の殺人者より』。監督・脚本は、『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』のラミン・バーラニ。

主人公バルラムを演じたアダーシュ・ゴーラヴは、本作が映画初主演。

あらすじ

インドの貧村で下位カーストとして生まれ育ったバルラム(アダーシュ・ゴーラヴ)が、使用人から起業家として成功するまでの過酷な道のりを独白する。

少年時代のバルラムは学業優秀だったが、下位カーストであるために進学を諦め、働いて家族を支えていた。バルラムの父もまた貧しく、金持ちから搾取され続けた末に、結核を患っても治療を受けられず苦しみながら亡くなった。

はなから成功を諦めていた他の下位カースト層とは異なり、聡明で野心家のバルラムはなんとか貧困から抜け出そうともがいていた。

ある日バルラムは、地主の次男でアメリカ帰りのアショク(ラージクマール・ラーオ)を知る。先進国のリベラルで知的な空気をまとったアショクに希望を見出したバルラムは、猛アピールによりアショクの専属運転手の仕事を獲得する。

見どころ

家庭内でも村の中でも職場でも、常に強者が弱者を搾取する仕組みが、何度も強調されている。

搾取され続けた弱者はさらに力を失い、弱者の立場から抜け出すことが困難になる。

力を付けた弱者が絶対に這い上がって来られないよう、あらかじめ翼を折って無力感を刷り込んでおけば完璧だ。

こうして念入りに力を奪われた弱者を強者が支配し、社会格差が固定化されていくのだろう。

とくに印象的だったのが、大勢の強者がひとりの弱者(バルラム)を取り囲み、無理やり“合意”を引き出すシーン。日本社会でも見え覚えがある人はきっと沢山いるはずだ。

この時バルラムが浮かべる絶望的な笑顔。バルラムは自分の意志で笑っているのではなく、圧倒的権力と暴力によって“笑顔を作らされて”いるのだ。

このように、弱者の視点からしか見えない暴力の形を、本作では丁寧に描かれている。

本作に登場する下位カースト層の多くは完全に自由と豊かさを諦めており、バルラムは彼らを“檻の中のニワトリ”にたとえる。しかし生まれつき野心と知性に恵まれたバルラムは、現状に疑問を感じることを忘れず、ずっとひそかに怒りの炎を燃やし続けていたのだ。

不満や怒りの感情は、大きすぎると不幸になるが、なさすぎるともっと不幸になる。

自分の尊厳と権利を守るために、正しい怒りは欠かせない。

カースト差別だけでなく女性差別も深刻なインドだが、アメリカの大学を卒業したアショクの妻ピンキー(プリヤンカー・チョープラ)は、物怖じすることなく自分の意見を主張する女性。そして下位カーストから成り上がった女性の州知事も、民衆からの支持を後ろ盾に富裕層を強気でやり込める。

バルラムの心でずっと燃えていた怒りの炎は、彼女たちに接することで、さらに大きくなっていく。

自尊心や怒りが人から人へと燃え移っていく過程も、注目するべきポイントだ。

今までずっとそこにあったのに気付かなかった自分自身の価値と権利に気づいた瞬間、バルラムが爆発的に怒りだすシーンは圧巻。

これまで理想化していた憧れの主人が、急につまらなく、愚かで、弱い人間に見え始める。

と同時に、バルラムから使用人の卑屈さが少しずつ消えていく。

本当はこの男より自分のほうが優秀なんじゃないか?

自分のほうがずっとずっと強いんじゃないのか?

バルラムとアショクが交互に歌を披露するシーンは、短いながら全てを象徴していると言えるかもしれない。明らかにバルラムの方が歌が上手いのに、下手くそな主人を一方的に誉めそやして必死に持ち上げる。アショクはそれに気づくこともない。

理想化と強い憧れの感情は、無力感と自己を過小評価していることの裏返しだ。

とくに女性の中には、男性との恋愛・結婚において、過去に似たような経験をしたことがある人は非常に多いのではないだろうか?

バルラムとアショクの関係を、ぜひ彼氏(元カレ)や夫との関係に当てはめて考えてみてほしい。

主人公バルラムは男性だが、女性も大いに共感できるはずだ。

Netflix映画『ザ・ホワイトタイガー』
独占配信中

文/吉野潤子

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