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利用してわかったファミリーマートの無人決済システム実用化店舗の課題と可能性

2021.04.26

■連載/綿谷さちこのクレカの強化書

無人決済システムを導入した「ファミマ!!サピアタワー/S店」が2021331日にオープンした。これは無人決済システムの開発を行なうTOUCH TO GO のシステムを使ったもので、コンビニとしてはJR高輪ゲートウェイ駅の「TOUCH TO GO」、JR目白駅構内の「KINOKUNIYA Sutto」に続いて3店舗目。従来よりも進化した無人レジ店舗を利用してみた。

無人決済システムの実用化店舗として現金支払いにも対応

「ファミマ!!サピアタワー/S店(サテライト店)」はJR東京駅に隣接するビルの1階にオープン。入口には「無人決済店舗」の文字があり、「1.はいる。2.えらぶ。3.でる。」という簡単な利用方法が書かれている。

JR東京駅に隣接するビルの1階でスピーディーに買い物できる。

 

TOUCH TO GO(以下TTG)の無人決済ステムは、利用する時に専用のアプリなどは必要なく、誰もが普通に入店できるところが利点だ。入口にはゲートがあり、人が近づくと開く仕組み。入店できる人数は710名に制限しているので、一度に多くのお客さんが訪れた場合には、店内が制限内の人数になるまでゲートが開かないようになっている。

TTGの従来店よりもゲートスペースがコンパクトに。

 

というのも、この店舗では天井に取り付けたカメラでのモニタリングや商品棚の重量センサーなどのデータにより、お客さんが手に取った商品をリアルタイムに認識するから。店内の人数が多すぎると認識が難しくなるため、制限をかけている。

天井のカメラセンサーでお客さんの動きをモニタリングする。

これまでのTTGシステムの商品の認識率は約95%。例えば店内で子どもが親に商品を渡したり、商品を持っている子どもを親が抱っこした場合など、ややイレギュラーな動きをした時に、認識できないことがあるのだそう。なお出口にもゲートがあり、決済していない商品を持ったままでは扉が開かない。万引きなどのセキュリティについてはコールセンターで遠隔管理をしているので、通常の店舗以上に厳しい。

商品棚にもセンサーがあり、どの商品を手に取ったかをモニタリング。

進化した点としては、センサーの改良により、商品を従来店舗に近い形で詰めて陳列ができるようになったこと。同店舗は約55㎡と通常よりも小規模ながら、通常店舗とそれほど差がない約700種類の商品を取り扱う。その中には年齢確認が必要な酒類もあり、決済時にバックヤードに居るスタッフが遠隔でお客さんを確認することで、販売が可能になった。

無人レジの店舗でも酒類を販売。

買い物が終わり、出口付近の決済エリアに入ると、ディスプレイに購入商品と金額が表示される。内容を確認して合っていれば画面の「お支払い」をタッチ。間違っていれば、自分でバーコードを読み取って修正することもできる。

出口付近にある決済エリア。

購入商品が合っていれば「お支払い」に進む。

商品に酒類があると年齢確認が表示される。

ディスプレイのカメラでバックヤードにいるスタッフがお客さんを見て20歳以上かを確認。

支払い方法は交通系電子マネーとクレジットカードに加え、現金にも対応。TTGの従来店舗ではクレジットカードと電子マネーのみだったが、「ファミマ!!サピアタワー/S店」では現金支払いにも対応した。その理由はファミリーマートでは78割の顧客が現金払いのため。決済方法として現金払いが選べることは重要だったのだそう。

現金でも支払えるようになっている。

紙幣とコインの挿入口があり、手前の受け皿にお釣りが出てくる。筆者も実際に商品を購入してみたのだが、レジ袋が必要かどうかを選べたり、案内もわかりやすく、無人レジでも簡単に操作して買い物できた。店舗に入ってみたものの、買い物しなかった人は、ディスプレイの「お店を出る」で出口のゲートが開く。

レジ袋の購入にも対応。

端末に入れた紙幣やコインの金額が表示されるので、合っていたら「お支払い」で買い物が完了。

商品を購入しなかった場合は、商品を持っていないことが表示されるので、「お店を出る」でゲートを出られる。

無人レジ店舗が今後の店舗開拓に大きく貢献

今回、ファミリーマートがTTGと資本業務提携し、無人決済システムの実用化店舗をオープンした背景には、コロナ禍で店舗スタッフとの非接触での買い物ニーズが高まったこと。行列などができないよう、スピーディーな買い物を実現することにあった。また通常は常時2人体制の店舗運営を、レジ業務の削減によって1人でまかなえることになり、人手不足の問題についても解決。1人分の人件費が削減できることで、運営コストも軽減できる。

また、無人レジにすることでレジスペースが小さくなり、小規模の店舗展開も可能になった。今回、システムの導入期間を大幅に短縮化し、導入コストもこれまでに比べて削減することに成功。

ファミリーマートでは病院、大学、駅などに約1000店舗をオープンしているが、今回のようなマイクロマーケットの実現は、新たな店舗開拓に繋がる。スペースやコストなどによって店舗オープンのハードルが下がるので、今後も積極的にオープンさせていきたいと意気込む。ファミリーマートのこれからの展開や、競合するコンビニの動向にも注目だ。

●ファミマ!!サピアタワー/S店(サテライト店)
東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー1F
営業時間:7:0023:00

近未来の買い物体験ができる!最新のAI技術を駆使した無人型店舗「DIME LOUNGE STORE」オープン

住友新宿ビル地下1階に未来型無人化店舗として昨年7月にオープンした「SECURE AI STORE LAB」とDIMEのコラボレーションが4月15日にスタートした。

 店舗を運営するセキュアはディープラーニングなどのAI技術を活用した顔認証システム、AI顔認証などを利用した入退室管理システム、監視カメラシステム、画像解析ソリューションなどを手がける企業だ。

「SECURE AI STORE LAB」には顔認証の入店システムを採用、利用者はあらかじめ氏名、電話番号、クレジットカード情報などを入力して会員登録を行なっておき、初入店時に店頭のカメラを利用して顔情報を登録。それ以降は入り口のカメラで顔認証を行なって入店し、購入したい製品を手に取り、そのまま顔認証を経て退店するだけで決済が完了するという未来の買い物体験ができる。

 今回、大手書店の丸善ジュンク堂とも協力し、DIME本誌やオリジナルアイテムなど編集部が厳選したアイテムを販売予定。今まで実物を見る場がなかったオリジナル商品も、実際に手に取って確認できるので、ぜひ足を運んでみてほしい。

【詳細】https://dime.jp/genre/1105426/

取材・文/綿谷禎子

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