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樹脂の熱伝導率はアルミの1000分の1!抜群の断熱性能を誇るパナソニック製真空断熱ガラスを採用したエクセルシャノンの樹脂サッシ「シャノンウインドSPG」

2021.04.22

家に眺めの良い窓を、明るい窓を設置したい人は多いはず。しかし、窓は断熱や騒音対策に難がある……そう思ってはいないだろうか?

また、アルミサッシと樹脂サッシでは断熱性能に大きな違いがあるという。

そこで、パナソニックが開発した真空断熱ガラス「Glaveir(グラベニール)」を樹脂サッシと組み合わせた、エクセルシャノンの「シャノンウインドSPG」で、最先端の真空断熱ガラス樹脂サッシの驚異の性能をチェックしてみよう。

アルミは樹脂の1000倍、熱を伝える!

サッシは、アルミサッシ、アルミ熱遮断サッシ、アルミ樹脂複合サッシ、樹脂サッシの4種を主流としている。

その素材として広く知られるアルミの熱伝導率は200W/㎡・K。それに対して樹脂は0.17W/㎡・Kというから、およそ1000倍以上もの差がある。

樹脂サッシの人気が急上昇中

熱伝導率が高く、断熱性に優れているとは言い難いアルミだが、日本では高度経済成長期に加工しやすいアルミサッシが爆発的に普及した背景がある。そのため、令和の今もサッシというとアルミというイメージが強い。

まだまだアルミサッシの勢力は強いが、実は樹脂サッシのシェアが、2020年に22.3%と大幅増しているのだ。2005年はたったの4.3%で、この15年で5倍以上に伸びている。もともと樹脂サッシは日本の寒冷地で冬の寒さ対策に普及していたが、その勢いは全国へと広がっているのだ。

カーボンニュートラル・持続可能な社会の実現に向けて

樹脂サッシのシェアが全国で伸びているとお伝えしたが、そこには良質な住まいを求める施主(ユーザー)の需要もあるが、カーボンニュートラル・持続可能な社会の実現に向けた政府の方針も大きい。

化石燃料の消費を抑え、二酸化炭素の排出を減らすには、冷暖房の使用を抑えることも重要だ。断熱性の高い住宅であれば、無駄な冷暖房費を抑えつつ、二酸化炭素の排出量を抑えることも可能になる。そんな社会の変化も、樹脂サッシや真空断熱ガラスの普及を後押ししている。

「シャノンウインドSPG」は断熱性能が国内最高クラス0.52W/㎡・K

1976年に日本初の樹脂サッシ「シャノン」を製造開始した、樹脂サッシメーカーのパイオニアであるエクセルシャノンは、2021年6月1日より断熱性が国内最高クラスの真空断熱ガラス樹脂サッシ「シャノンウインドSPG」を発売する。

施工イメージ

シャノンウインドSPGは、縦すべり出し窓のUW値が0.52W/㎡・Kと国内樹脂サッシ最高クラスの性能を誇る。

【参考】シャノンウインドSPG | 株式会社エクセルシャノン

パナソニック製の真空断熱ガラス「Glavenir」と高透過Low-E強化ガラス2枚を組み合わせた真空断熱トリプルガラスと、樹脂フレーム内部に断熱材を充填した「UF-H」を合体。マイナス20℃の厳しい環境でも高い防露性能を持つのが、シャノンウインドSPGだ。

シャノンウインドSPGの断面イメージ図

シャノンウインドSPGの説明をする、株式会社エクセルシャノン 代表取締役社長 池田 州充氏(上)と、同社開発技術本部 取締役本部長 橋本 幸登志氏(下)

シャノンウインドSPGの断熱性能がわかりやすいのが、以下の実験だろう。

これは、氷水を入れた器の周囲にシングルガラス、複層ガラス、シャノンウインドSPGを配置しサーモカメラでのぞいたもの。実験した室温は25℃程度だ。

シングルガラスではガラス表面が11℃となっているのに対して、

シングルガラス

シャノンウインドSPGのガラス表面温度は25.5℃と、ほぼ室温と変わらない状態だ。

シャノンウインドSPG

シャノンウインドSPGは、縦すべり出し窓のUW値が0.52W/㎡・Kと前述したが、この0.52という数値は、平成28年省エネ基準に準じる外壁が0.53W/㎡・K程度であり、それに比べるといかに優れているかがわかるだろう。つまり、〝外壁と変わらない断熱性能〟を持つのだから。

「シャノンウインドSPG」はクリアで遮音性能も高い

これだけの高い断熱性能でいながら、従来の遮熱トリプル硝子よりも高い可視光など透過率55.3%を実現、クリアな視界を確保した。

また、遮音性能も高く、シャノンウインドSPGが遮る音圧差は-35dB。たとえば外音が75dB(街中の騒音や交差点レベル)でも、室内は75-35=40dBになる。これは、静かな公園の騒音環境に匹敵するという。

「グラベニール」はトリプルガラスと同等以上の性能なのに、厚みは1/5、重量は2/3

シャノンウインドSPGに採用されたのは、パナソニック製の真空断熱ガラス「Glavenir(グラベニール)」だ。

グラベニールは約6mmの薄さで国内最高クラスの断熱性能UW=0.7W/㎡・Kを実現。これは、一般的なトリプルガラスと同等の断熱性能で、1枚ガラスに比べると約8.5倍と優れた断熱性能を発揮する。

そして、一般的なトリプルガラスが厚さで約33mm、重量が約29kgなのに対して、グラベニールは厚さ6mmと約1/5、重量は約20kgと約2/3で済むのだ。
※冷凍・冷蔵ショーケースドア720×1800mmで比較

こんな高性能を実現したのは、2枚のガラスの間に0.1mmの真空層を設けたため。

真空層の間隔を保つピラーや鉛を使わない真空封着材を活用しており、これは、同社が持つプラズマディスプレイパネルの開発・製造技術を応用している。

「Glavenir(グラベニール)」の説明をするパナソニック株式会社 ハウジングシステム事業部 建築システムBU VIG事業推進部 部長 木村 猛氏

10年後には3倍の採用でZEHの実現を目指す

エクセルシャノンはシャノンウインドSPGを2021年6月1日に発売する。ほかにも 「アングル付き窓枠」を2021年4月より、「引き違い掃出し納まり用枠」を2021年6月から新発売するなど、続々と新製品を導入。樹脂サッシの販売拡大を急ぐ。

その背景には、2050年カーボンニュートラル社会や持続可能な社会の実現に向けて、温室効果ガス対策やZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の推進をしていくという国の方針がある。

経済産業省では、「2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」という政府目標の達成に向け、課題と対応策を整理した「ZEHロードマップ」を関係省庁等と共に策定(2015年12月)している。

【参考】経済産業省 資源エネルギー庁

樹脂サッシや真空断熱ガラスの普及を促進することは、ZEHが増えることにつながるのだ。

エクセルシャノンは樹脂サッシの採用目標棟数を、2020年度の約1万棟から2030年度には約3万棟としている。3倍増の目標実現の原動力として、シャノンウインドSPGの活躍が期待される。

取材・文/中馬幹弘

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