クリエイティブ作業はリビングでやるべき?脳波パターンから見る在宅ワークがはかどるコツ
仮にコロナが収束したとしても、このまま定着しそうな在宅ワーク。家にいながらにして、どのようにしたら、オフィス並みかそれ以上の生産性を発揮できるのか……。いまだに試行錯誤しているビジネスパーソンも多いに違いない。
コクヨでは、家具事業部門で生体データ計測に取り組んでおり、これまで延べ200名近くの脳波の分析を通して在宅ワークについて実験を進めてきた。今回、その実験結果から見えてきた、「在宅勤務の生産性を上げる重要なポイント」を紹介していく。自宅での働き方、在宅ワークに最適な家具選びの参考にしてほしい。
脳波を通して見える3つのパターン
脳波からセンシングできる周波数を分析することで、仕事に向かっている人の“感情”というものをある程度、計測できることがわかってきている。
※脳波アプリは、(株)リトルソフトウェアが50万人以上の脳波センシングデータをもとにAI化した感性アルゴリズムを使用。無線で計測できるため、付けたまま空間を移動したり、製品に自由に触れながらと実態に近い動的な計測が可能となっている。
この計測で着目した“3つの脳波パターン”は、以下のようにまとめられる。
これらの感情を追うことで、「アンケートによる本人の主観にもとづいた評価」「行動観察による第3者からの評価」とは違う、人の内面からの情報を推測することができる。
午前と午後で業務配分を変えた方が良い?
午前と午後だと、どちらの方が仕事がはかどる印象をお持ちだろうか?
今回行った在宅ワーク環境での調査(午前1時間と午後1時間ずつの測定を2か月間実施)では、前述の脳波パターンでいう「リラックスワーク」や「集中」では有意差がなかったが、「創造性」については午後に高まるという結果が出た。(グラフ①)
中でも、一人で取り組む「ソロワーク」に午前・午後での有意差がみられた。「ソロワーク」とは資料作成、情報収集、メールなどの個人作業を指す。その中で、より良い表現方法を思いつく、新しいアイデアが閃くといった「創造性」に関して、午前より午後の方が相対的に発揮されやすいことがわかった。
一方で、アイデア出しの打ち合わせやWeb会議など、人と集まって行う「グループワーク」にも「創造性」を発揮する場面が多々あると考えられるが、午前・午後での優位な差は見られなかった。午後の方が「ソロワークにおいて創造性が高まる」という結果は、少し意外に感じられた方もいるかもしれない。
クリエイティブ作業はリビングの方がはかどる?
「個室空間が集中に向いている」というのは、経験則的に納得がいく方も多いはず。
しかし、今回の調査では、『共有空間の方が「創造性」を発揮する作業に向いている』という逆の結果が読み取れた。例えば同じ書斎でも、個室とリビングでは、リビングの方が2倍近く「創造性」の脳波が活性化していることがわかる。(グラフ②)
リビングやダイニングといった共有空間は、窓から採光がとれたり、空間的な余裕があることが多く、それらの条件が脳波に良い働きかけをしているからかもしれない。
姿勢を変えることでワークモードを変える
座る姿勢についても興味深い測定結果が出た。ロッキングチェアーのように前後に揺らすことができるコクヨのチェアー(写真・クーナ)で、座面を前傾や後傾にした状態と、一般的な固定型のダイニングチェアーでの脳波を比較測定したところ、揺れるチェアーの「クーナ」の方が、座面が平坦なダイニングチェアーよりも「集中」が高いということがわかった。
実験時の様子を観察したところ、後傾よりも前傾姿勢時の方が「集中」の傾向がみられた。そのほかにも、ダイニングチェアーよりも「疲労」を感じにくいという実験結果もある。
姿勢を変えることで、ワークモードを変えることができれば、自分が目指すワークモードによってチェアーを選ぶというのも一つのアイデアだ。座面が動くタイプのチェアーもこれから注目してみると良いかもしれない。
出典元:コクヨ
構成/こじへい