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スピード抑えめ、自転車よりラクに移動できる電動パーソナルモビリティ「Future mobility 〝GOGO!〟」に乗ってみた

2021.04.17

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

ル・マンシリーズで女性初の総合優勝を果たした、レーシングドライバーの井原慶子さんが造った超軽量電動モビリティ

次世代型移動ツールとして注目される電動パーソナルモビリティ「Future mobility」が4月から販売を開始した。最高速度が時速30㎞の「Future mobility“GOGO!”」は、「S」(26万1800円)、「カーゴ」(27万2800円)、「デリバリー」(28万3800円)、最高速度が時速45㎞、イスの取り外し、折りたたみができる「Future mobility F1」(47万800円)の4つのラインナップで展開する。

製造販売している「Future」の代表取締役 CEOは、ル・マンシリーズで女性初の総合優勝を果たした、レーシングドライバーの井原慶子さん。慶応義塾大学大学院特任教授、日産自動車取締役、ソフト99取締役、三重県政策アドバイザーなどを務める傍ら、Futureを設立した。

「現在、愛知県の春日井市に住んでいるが、コロナ禍以降、地元商店街の方からデリバリーを増やしたいがデリバリーに向いている乗り物がない、通勤で密になる公共交通機関をなるべく使いたくないという声を聞き、2020年の5月から開発を始めた。
今までは早く、遠くが価値観だったが、新型コロナ以降、ゆっくりとコミュニティー内を移動できるという価値観が重視されている。スピードが出過ぎない、カーボンニュートラル(炭素排出量ゼロ)に配慮、非接触で移動できることを念頭に開発を進めた。

昨年、経済産業省の二輪市場活性化委員会の委員を務め、さまざまな統計を見たが、二輪市場は非常に縮小してきて、今までスクーターに乗っていた層は、地方では軽自動車に、都心では自転車に移行している。理由としては、車両が重すぎる、操作が面倒、足を開いて乗りたくないなどが挙がっていた。

だれでも気軽に出かけたくなる乗り物をコンセプトにしたFuture mobilityの最大の特長は軽いということ。一般的なスクーターは約70~100㎏だが、Future mobility は20㎏ほどでスクーターの1/3~1/5程度の軽さ。女性でも取り回しが楽で、足を閉じて乗れるのでスカートでも乗りやすい。

Future mobilityは「ミニカー」の領域で、保安基準を定める道路運送車両法では第1種原動機付自転車となる。メーカーとしてはヘルメットを推奨しているが、自転車と同様にヘルメット無しでも走行できる。モビリティシェアとしての利用も想定しているが、コロナ禍でヘルメットをシェアするのは嫌だという声も多く、ヘルメットをかぶらない選択を想定して、自転車程度の最高時速30㎞に設定した。

CO2軽減の観点から、地方では通勤で駅まで行くのに軽自動車を使っている層の乗り換えやシェアサービス、電動自転車でもきついと感じるシニア層、都心ではデリバリー業種をターゲットとして想定している」(井原さん)

Future mobilityはカーレースの技術をフィードバックしたサスペンションによる、直感的操作感も特長。道路交通法適合でミニカー用のブルーのナンバープレートがあり、公道を安全に走行するためのヘッドライト、ウィンカー、ブレーキランプといった安全部品も装備されている。

標準バッテリーの充電は、家庭用コンセントで満充電まで約3時間でチャージでき、標準バッテリー1本で航続距離は30㎞程度。オプションの大容量バッテリーは約2時間でチャージ、航続距離が60㎞程度。1本充電するのにかかる電気料理金は10円ほど。バッテリーは車両の下部に収納されている。

アプリと連携もでき、自治体、商業施設での利用では、モビリティシェア、デリバリーを可能にするスマホ用アプリと管理システムを独自に開発。実証を行った春日井市では4月からモビリティシェアを開始、アプリを使って駅前でFuture mobilityをレンタルして利用できる。

三重県の伊勢志摩地区では回遊観光の実証を実施。また、スポーツイベントのような、駅や駐車場から会場まで距離がある場合の密集を避ける移動手段として、岐阜県の恵那市では800人ほどの大規模な実証実験を行った。

こうした実証を踏まえて、マイカー以外のすべての交通手段による移動をひとつのサービスとしてとらえシームレスにつなぎ、利用者がアプリを使って交通手段やルートを検索、利用、運賃決済などを行う「Maas(マース)」用途のサービスも、今後実施する予定とのこと。

「インクルーシブ・グロース(包摂的成長=社会の幅広い層に利益をもたらすこと)は重要視していて、この10年、自動車産業の人材育成と女性活躍に力を入れてきた。どんな人でも乗れるバイクを、どんな人にも作ってもらうことを目指しており、Future役員の50%は女性、製造現場の鈴鹿工場でも女性を多く採用し、シニアが家庭で仕事ができるようなシステムも採り入れて、各々に活躍していただいている」(井原さん)

【AJの読み】バイク未経験者は公道に出る前に練習が必要

見た目やスピードから原付バイクなの?自転車なの?と混乱してしまうが、Future mobilityは「ミニカー(マイクロカー)」領域の、定格出力0.6kW以下の第1種原動機付自転車に該当する。

道路交通法ではミニカーは普通自動車に区分されるため、走行帯は車道だが(高速道路、自動車専用道路の走行は禁止)、ヘルメットの着用は義務付けられておらず、二段階右折も必要ない。ただし運転には普通自動車運転免許が必要となる。

最高時速が30㎞なので、自転車のような感覚で乗れるかなと思ったが、私は原付を含めバイクはまったく運転したことがないので、アクセルをひねって加速する感覚がわからず、スピード調整にかなり戸惑った。

他の記者は試運転で公道を走ったが、この状態で公道に出るのは危険だと判断し、人通りがほとんどない露地で試し乗りしすることに。アクセルをどの程度にすればどのくらいのスピードが出るのか、コーナリングといった操舵感覚をつかむまで時間がかかり、これだったら普段乗っているママチャリの方がよっぽど早く走れる(笑)。

自転車専用道路や、自動車が入ってこないような道ならまだしも、車、トラック、バイク、自転車が入り交じって走行していて、駐車車両を避ける必要も多い都心の道路では、バイク未経験者の人はある程度練習してから公道に出た方が安全だろう。シニアの利用も想定しているとのことだが、乗り方や交通法規等の周知も含めたユーザー向けの講習会の実施なども検討して欲しい。

文/阿部純子

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