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乗り心地、燃費、使い勝手、乗ってわかったホンダ「オデッセイ」改良版の○と×

2021.04.14

日本のミニバンブームをけん引してきたホンダのミニバンが、オデッセイ。現行モデルは2013年10月にデビューした5代目だが、2020年末にビッグマイナーチェンジを受け、その商品力を大幅に高めている。

ビッグマイナーチェンジ最大のハイライトは顔つきのブラッシュアップだ。ボンネットを高め、厚みを持たせることで力強さを増幅。オラオラ顔とは違うジェントルな大人っぽさを残しつつも、今流行りの”大顔”になったというわけだ。さらにヘッドライト、グリル、バンパー、フェンダーなども一新。これまでとはまるで別物の顔つき、フロントビューになったと言っていいだろう。

インテリアではインパネ、メーター、シート表皮を一新。質感をさらに高めているのが特徴だ。装備面でも光が流れるシーケンシャルターンランプ、パワーテールゲート、ジェスチャーでスライドドアが開閉するパワースライドドア機構、その予約ドアロック機能なども追加されている。

そんな新型オデッセイの注目点は、国産ミニバン最上のかけ心地と言っていい、2列目プレミアムクレードルシートだ。もっと豪華なキャプテンシートはあるにはあるが、ゆりかごのように、シートバックをリクライニングさせても顔が正面向きのままになる中折れ機構、シート表皮裏に約3センチものソフトウレタンを奢った贅沢な座り心地の良さ、そしてシート振動のなさは絶品だ。もちろん、最大170度のリクライニング機構を備え、ビジネスクラス並みのエクスクルーシブな居心地の良さを誇っている(後席用モニターの用意もある)。

また、3列目席は、ボックス型ミニバンで一般的な左右跳ね上げ式ではなく、オデッセイの伝統通り、クルリと回転させて床下に格納するタイプで、格納時にラゲッジ左右の幅を犠牲にしないメリットがある。3列目席格納時のフラットフロアの奥行は、2列目席シートスライド標準位置で1280mm、幅平均値約1220mm、天井高1120mmにも達するのだから広大だ。

つまり、大容量ワゴンとしての使い勝手が光り、ラゲッジの開口部地上高は、試乗したローダウンサスペンションを奢るアブソルートの場合、約515mm(標準グレードは525mm)と、世界のステーションワゴンのラゲッジ開口部地上高の平均値約620mmよりはるかに低く、重い荷物の出し入れやペットの乗降も楽々快適なのである。

もっとも、せっかくのビッグマイナーチェンジにもかかわらず、改善されていない部分もある。まずは電子パーキングブレーキの作動方法だ。解除はアクセルを踏めば自動で行われるが、パーキングブレーキをかける際はインパネ右下のスイッチを”押す”(感覚的には逆が好ましい?)必要がある。シフトをPレンジに入れるなどすれば自動でかかる電子パーキングブレーキが一般的なのに、いまだに手動なのである。ホンダの開発陣に聞けば、Pレンジに入っていればクルマが動くことはなく、自動で電子パーキングブレーキを作動させるのは2重のパーキングブレーキとなり、必ずしも(Pレンジに入っていれば)電子パーキングブレーキをかける必要は(特別の場合を除いて)ないという理屈からそうした設定になっているとのことだ・・・。

また、信号待ち、スーパーマーケットなどの料金所での一時停止時に便利な、ブレーキを踏み続けなくてもブレーキが効くオートブレーキホールド機能も、エンジンを切ると解除されてしまうのが残念な部分。ホンダ以外のほとんどのクルマのオートブレーキホールド機能は、スイッチを一度ONにすれば、エンジンを切っても記憶され、そのまま使えるのである。

それはともかく、ビッグマイナーチェンジが施された新型オデッセイの走りはやはり、国産ミニバン最上級と言っていい。5代目で始めて両側スライドドアを実現したオデッセイだが、2代目以降のアブソルート、特に低全高型となった3代目からはスポーツミニバンとしてのキャラクターが強く、しかしそれを両側スライドドアミニバンとなっても継承しているところが、なるほど、ホンダ車らしさ。ただ、5代目のデビュー当初のアブソルートは、乗り心地がハードで、ライバルメーカーのミニバン開発担当者に言わせると「ミニバンの皮をかぶったスポーティカー」というぐらい、走りに特化しすぎたミニバンだったのである。ボクの知人が数年前、初期型のアブソルートを中古車で購入したのだが、乗り心地の硬さに、家族からはブーイングだったそうだ。

しかし、最新のオデッセイ・アブソルートは、硬質な走りの質感、スポーティな操縦性、ミニバンとは思えないフットワークテイストはそのままに、乗り心地を改善。今や家族からのブーイングなど出ないであろう乗り心地(決して柔らかくはないが)、完成度を誇っている。夜、スライドドア部分のサイドウインドー下端にイルミネーションが光るアイデアもなかなかだ。

日本のミニバンブームをけん引してきたオデッセイだが、今ではかつてほどの人気はない。そう、ボックス型ミニバンが幅を利かせている時代なのである。が、オデッセイ・アブソルートは走り好きのドライバーにとって極めて走りの満足度が高いミニバンであることは間違いなく、さらに2列目席のプレミアムクレードルシートのかけ心地の良さに、家族も、友人も大満足必至。個人的にはロングドライブの往路や山道でステアリングを握り、帰路、高速道路では、誰かにステアリングを預け(ACC走行も可能)、2列目席のプレミアムクレードルシートでゆったりと贅沢なクルージングを楽しむ・・・というのが理想的なオデッセイとの付き合い方だと思っている。※下のプレミアムクレードルシートの写真は170度リクライニングのイメージです

なお、今回試乗したe:HEVのアブソルートEXの実燃費は、WLTC総合モードの19.8~20.0km/Lに対して、高速道路50%、一般道50%の走行で18.0km/Lを記録。このサイズのミニバンとしては、なかなかの燃費性能を発揮してくれたことも付け加えておきたい。

ちなみに、お薦めグレードは、ホンダ最新のハイブリッドシステムを搭載するe:HEVのアブソルートの7人乗り(プレミアムクレードルシート仕様)に尽き、価格は428万6000円からとなる(先進運転支援機能のホンダセンシングは全車標準装備)。上級のEXグレード(458万円)ともなれば、18インチホイール&タイヤ、アウトドアや災害時にも大活躍してくれるAC100V/1500Wコンセントなども装備されている。

ホンダ・オデッセイ
https://www.honda.co.jp/ODYSSEY/

文/青山尚暉

モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。

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