令和3年度税制改正で、ロボアドなどの投資一任契約に係る費用が令和4年分から特定口座の対象となる。ロボアド特有の投資一任契約にかかる費用が現在特定口座でコストに含まれてないことを知っているだろうか?
ロボアドの利益にかかる税金って? 特定口座の基本
ロボアドはロボットアドバイザーの略で、投資に対しての考えについてなどの質問に答えることで、人口知能(AI)が顧客それぞれのリスク許容度に合わせた個別のポートフォリオを組み自動で売買、資産運用してくれるサービスだ。投資知識がなくても資金を預けるだけで長期資産形成ができることから人気となっており、ロボアドを運用するウェルスナビ、楽天証券、お金のデザイン、マネックスではその預かり残高が伸びている。
通常、株式や債券、預金、投資信託などの金融商品に投資して利益が出ると、20.315%の税金がかかる。
預金の利息は自動で税金が源泉徴収されているが、株式や投資信託などの運用商品についても特定口座源泉徴収あり口座を開設すれば(証券口座開設時に開設していることがほとんど)、利益に対して自動で税金を源泉徴収し、もし損がでれば払いすぎた税金は還付もしてくれる。この特定口座源泉徴収あり口座を開設していると、特に確定申告する必要もない。
ロボアドにおいてもこの特定口座源泉徴収あり口座を開設することができ、開設すれば利益が出ても特に確定申告する必要がない。
特定口座では、売却代金から買付代金が引かれ、その差額利益に対して税金がかかる。
売買にかかった手数料はコストとして、売却代金からは差し引かれ、買付代金には追加されて計上される。
ロボアドについても特定口座源泉徴収あり口座を開設していると、ロボアドで運用のために売買したときの利益にかかる税金を源泉徴収してくれる。その売買時にかかる手数料もコストとして売却代金からは差し引かれ、買付代金には追加されて計上されている(このほかに投資対象が投資信託やETFである場合にはその運用にかかる管理手数料が引かれているが資産から日々引かれており別途支払う必要はない)。
ロボアドにかかる費用
ロボアドには、投資対象の売買や運用時にかかる手数料だけではなく、ロボアドで運用してくれているサービスに対する手数料が別途かかる。
基本的に金融商品の売買は自己責任のもと自分で売買をしなければならないが、すべてお任せするという「投資一任契約」を結ぶことで、ロボアド等にお任せすることができる。
この投資一任契約にかかるサービス料が年間〇%というように、ロボアドでは別途かかる。
この費用は現状特定口座上ではコストに計上されていない。
ただ、この手数料は運用に対してコストと認められる可能性があるため、確定申告をすれば費用計上することができる。運用期間に対応している手数料分を費用計上でき、ロボアドの運用会社から発行される取引残高報告書に記載されている手数料合計額をもとに申告する。つまり、現状確定申告をしない限りは、コストとして計上されていないことになる。
前述の例の同金額でロボアドに当てはめると、特定口座では確定申告しない限り年間手数料が考慮されない分利益が実際の引渡金額より大きく計上されてしまうことになり、引かれる税金もその分多くなってしまう。実際の利益48,000円とするには確定申告が必要となる。
税制改正で特定口座の対象に
令和3年度税制改正で、令和4年分以降投資一任契約にかかる費用が特定口座の必要経費に計上されることになる。
令和3年分については引き続き確定申告をしないと必要経費に計上されない。
なお、確定申告をする場合は、扶養を受けている、自営業者等の場合は注意が必要だ。特定口座源泉徴収あり口座により源泉徴収で税金を引かれ確定申告不要となっている場合、社会保険の基準となる所得に金融商品の利益が算入されてはいないが、確定申告をすると基準となる所得に算入されるためだ。
ロボアドは最先端のIT技術から始まったサービスで、まだ税制面で元来からある株式や投資信託などより出遅れている。
ロボアドでは、利益が非課税になるNISAでの買い付けができなかったが、2021年最大手であるウェルスナビがロボアドで初めてNISAの適用を受けられる「おまかせNISA」のサービスを始めた。
ロボアドでの運用は基本資金を毎月拠出し、運用をお任せして手間がかからないというものだが、税制面で損しないためには最新情報のチェックが必要だ。
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文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。