私が「クロスカブ」に出会うまで【カブガール】
「私、バイク乗るわ!」
友人と3人で出かけたハイキング中で宣言した。温泉を目指して10㎞、5月なのに既に夏みたいな強い日差しの中だった。
予想外の日差しに驚いて駅前の百均で買った麦わら帽子をかぶり、ダラダラと汗を流しながら歩く私たちを、ツーリング中のライダーたちが颯爽と追い越して行った。
気持ちよさそうにのびのびと走り去る後姿を見送りながら、
「私もあんな風に走ってみたい」自分の中に膨れ上がる憧れみたいな感情に気が付いた。初めはたったそれだけだったはずなのに。
まさかここまでバイクにどっぷりハマることになるとは、思ってもみなかったのだ。
@DIME読者の皆さま、はじめまして。高木はるかと申します。
クロスカブ110とスーパーカブ90とVersys650でツーリングやキャンプをするのが大好きなライダーです。本連載では私と2台のカブたちの日常を通して、皆様へバイクの魅力をたっぷりとお伝えいたします!
バイクの楽しさ
一言で表そうとすると難しいのですが、私が思うバイクの楽しさは、ズバリ風!
もちろん「風になる」っていう意味もあるけど、それよりも風に乗ってやってくる空気の匂い、温度、湿度、音。地域や季節や天気によってまったく異なるのです。
何度同じ場所に行っても、逆に初めての場所に行っても常に発見があるし、すべての景色が愛おしくて仕方がなくなります。
それに加え、相棒と一緒にどこまででも走っていけるような冒険感や、速度や状況に合わせてギアやアクセルとブレーキ、そして自分自身の身体で車体を操る操作感がたまりません。
クロスカブに出会うまで
中型二輪の免許をとって初めての愛車に選んだのは、カブではなくKAWASAKIのエストレヤというバイクでした。クラシックっぽいネイキッドバイクを探して訪れたバイク屋さんで一目惚れしました。
足つきが良く重心が低いため、初めてのバイクにはとてもピッタリな乗りやすいバイクで、暇を見つけては距離を問わず乗りまわっていました。
それではいつカブに出会ったのかというと、エストレヤを買って5年ぐらいたった頃でしょうか。
「たくさん走り回ったなあ。ほかにも楽しいことはないかなあ?」
そう思い始めた時に「オフ車で林道を走るのが面白いらしい」という噂を聞きました。林道とは森林の整備や保全が目的の、主には林業に使われる道。道幅が狭くてこう配は急だし、中には未舗装の道もあります。もちろんエストレヤで走ることはできません。
大切に乗り続けてきたエストレヤを手放す気にはなれず、検討したのがちょうどその時期に発表された新型クロスカブ。小型バイクなら経済的な負担も比較的少ないと考えたのです。
その年のモーターサイクルショーへ実車を見に行くと、オフ車に比べれば足つきが良いし、軽い車体が扱いやすそう。「これは間違いなく最高の相棒になる!」と確信しました。
とは言え一般的な会社員をしていた私にとって、小型とは言え新車を買い足すお金はポンと出せません。
そこからはとにかく貯金、節約、貯金。買い物をしたつもりで、外食をしたつもりでその額を貯金箱へ、ボーナスが出たら浮かれないように心を律してなんとか貯め、ついには夢の2台持ちをすることができました。
クロスカブの良いところはどんな路面でも走りやすく、疲れにくいところ。
岩がゴロゴロ転がっているような激しい未舗装路以外なら、ある程度どんな道でも難なく走ってくれます。
リアキャリアが大きいので荷物を積みやすいのと、フロントキャリアがハンドルと接続していないことからフロントへ積載しても運転しやすく、ロングツーリングもこなしてくれます。分厚いシートのおかげでお尻が痛くなりにくいのも気に入っています。
乗り味はマイルド。振動少なく滑らかに加速をするイメージで、シフトのアップダウンも衝撃が少なくヌコっと入ってくれます。スピードを出して走りたい性能重視の方にはモッサリしているように感じるかもしれませんが、長時間乗り続けることが多い私のライディングスタイルにはとてもフィットしています。
何よりも燃費が良く、タンク容量4.3Lに対して60㎞/L近くまで出るため、200㎞以上心に余裕を持ったまま無給油で走り続けることができ、お財布にも優しく、今では心強い相棒になりました。
スーパーカブとの出会い
いつものようにお世話になっているバイク屋さんへクロスカブのオイル交換へ行くと、ところどころ錆が浮いて色が褪せた紺色のスーパーカブが置いてありました。
「ちょうど今日買い取ってきたところ。跨ってみる?」
言われるままにシートに座ってみると車体の小ささと軽さに驚きました。クロスカブのシート高が784㎜で車重が106㎏、スーパーカブのシート高が735㎜で車重が86㎏なのでその差は歴然です。
そして何よりも驚いたのが「ウインカーが右にある?あれ?セルスイッチがない?!」
同じカブでもクロスカブとスーパーカブはまったくの別物。同じなのはシフトチェンジの手順なことぐらい。しかもこのスーパーカブはキャブ車でキックスターターのみ、そして90㏄という国産現行車にはまずないスペックだったのです。
家に帰り、クロスカブ購入と同時期ぐらいに入籍した夫を「絶対に乗るから!」と説得し、半ば無理やり購入したのでした。
乗り味を一言で表すなら「メカっぽいのに生き物みたい」。気温によってエンジンのかかりやすさや暖気の時間が大きく変わるし、ギアチェンジもタイミングが違えば「ガシャコン」と大きな音が出ます。クロスカブと比較すると(あくまでクロスカブと比較して笑)キビキビ加速してくれる反面スピード自体は全然出ないのですが、そんな欠点すら慣れればかわいく見えてきます。
車体の軽さからクロスカブ以上に気軽に乗ることができるため、通勤とお買い物号としてよく活躍をしてくれています。
これまでスーパーカブで遠出をしたことがないのですが、今年はこのスーパーカブと一緒にキャンプツーリングに行くことを目標のひとつにしています。その時は皆さんにレポートをお届けしますね!
2台のカブライフ
性格がまったく違う2台のカブは私にとっては子供たちのような存在。かわいくてかわいくて仕方がありません。今日からスタートする連載の中で2台とどこへ行こうか、何をしようか、想像するだけでワクワクが止まらなくなっちゃいました。
カブと高木はるか、圧倒的な熱量と愛でお届けしますので、今後も是非ご期待ください!
文/高木はるか
アウトドア系ライター。つよく、しぶとく、たくましくをモットーにバイクとキャンプしてます。 愛車はversys650、クロスカブ110、スーパーカブ90。
高木はるかの記事は下記のサイトから
https://riding-camping-haruka.com