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ラガーとどう違う?飲んでみてわかったキリンの缶クラフトビール「SPRING VALLEY豊潤496」の完成度

2021.03.31

キリンビールから3月23日に「SPRING VALLEY 豊潤 <496>」が発売される。キリンビールが構想10年、試験醸造250回をかけて造ったという、家飲みが楽しめる缶クラフトビール。飲んでみた。

キリンビール「SPRING VALLEY 豊潤 <496>」。原料は麦芽とホップ。アルコール度6%。

ディップホップ製法でホップのいい香りと雑味のジレンマを解消

キリンビールがクラフトビール市場への参画を開始したのは2011年のこと。2015年にはクラフトブルワリー「スピリングバレーブルワリー」を開業し、これまで150種類以上のクラフトビールを造り、提供してきた。

そのスプリングバレーブルワリーのフラッグシップビールが「496」だ。古代ギリシャ時代に発見された完全数を呼ばれる496。IPAのようなホップ感、エールのような華やかな香り、何杯でも飲めるバランスのよさを備えたラガーだ。その「496」を酒販店、量販店向けに缶に詰めた「SPRING VALLEY豊潤<496>」(以下「スプリングバレー」)が販売される。

「スプリングバレー」の原料を見てみよう。まず麦芽は「キリンラガービール」の1.5倍量を使用。種類が「キリンラガービール」と全量同じかどうかは不明。ホップはヨーロッパ産とアメリカ産の4種類を使用。種類は明かされていない。ちなみにスプリングバレーの「496」はブラボーを使用しているという。ホップラバーはぜひ、「スプリングバレー」のホップ種類当てクイズを楽しんでいただきたい。

そのホップの添加方法が大きな特徴だ。ディップホップ製法という。「スプリングバレー」のマスターブリュワー田山智広さんによると、ホップの添加方法を主に3つ。それぞれの説明を聞いた。

ホップ添加の工程。(「SPRING VALLEY 豊潤 <496>」体験イベント資料より)

「ホップの苦みは加熱すること出てきます。最初にホップを入れてビールの煮沸段階で1〜2時間と煮込むと、苦みがよく抽出される反面、揮発性の高い成分、香り成分が抜けてしまいます。花のような香り、フローラルな香りは飛びやすいです。

これらの香りづけには、煮沸が終わった頃にホップを注入します。これがレイトホップという方法です。

ドライホップ製法は貯蔵段階でホップを添加する、かなりレアな方法ですが、ホップの香りがしっかりつきます。ただ、ホップのいい香りととともに刺激的な香り、雑味もついてしまう。ここに注目したブルワーがアメリカのIPA文化を牽引していったのですが。

ディップホップ製法は主発酵の工程でホップを同時に入れます。発酵中にホップを投入して7日間じっくり漬け込みます。これにより、ホップの苦みと揮発性の高い華やかな香りはしっかりつき、一方で、雑味はつかない。ホップを酵母といっしょに投入することで、ホップの雑味を酵母が吸着し、酵母と一緒に取り出されるからです。爽やかな香りと、味のスムーズさを両立させることができました」

キリンビールが世界に先駆けて確立したディップホップ製法は、今、世界のブルワーで注目されているという。

濃いめの料理にもマッチするラガーの王道

「スプリングバレー」の液色は少し濃いめ。ローストとした麦芽が含まれているためだ。味も濃いめ。ホップの香り、ラガーのコク。ひと口目はスーッと喉に入り、2口目で一般ビールとの違いに気づき、3口目には贅沢な味わいを実感する。

コクも香りもしっかりあるが、料理に合わせられない濃さではない。キリンビールの体験会ではマスターブリュワーの田山さんは「厚切りベーコンのハニーマスタード」の缶詰と、「バスク風チーズケーキ」をお薦め。そのココロをこう説明する。

「カラメル麦芽を使用しているので、ローストしたもの、スモークしたものとの相性がいい印象があります。また、乳系の材料とすごく合うことがわかりました。チーズケーキのような少しコッテリしたもの、濃厚な味にもよく合います」

ビールにコクがあるだけに、食材の持つ個性もしっかり受け止め、合わせられる。スパイシーな料理、味の濃い料理の食中酒にも合う。ただアルコール度6%とちょっと高めなので、グイグイ飲むものではない。

ところでスプリングバレーというのは、1870年、横浜の山手に建てられ、日本で最初に商業用ビールとして成功したブルワリーの名前だ。それがやがてキリンビールの前身につながる「ご先祖のような」ブルワリーだ。その醸造所で追求されたラガーが、日本のその後のラガー文化の礎になる。そんなスプリングバレーの志に立ち戻る意味がネーミングに込められている。深い赤をベースにした缶の、昔のドイツビールを思わせるデザインに、キリンビールの麒麟が描かれていないのも特徴だ。

そもそも大手メーカーが造るクラフトビールって何? と思う人もいるだろう。キリンビールはクラフトビールの特徴のひとつに「みんな違ってみんな良い」を挙げる。今回の「スプリングバレー」はトラディショナルなラガータイプ。今後もいろいろなビアスタイルがこの価格帯で生まれることを期待したい。

350ml 248円、350ml 330円(いずれも税別).

取材・文/佐藤恵菜

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