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企業の会計処理でよく耳にする「退職給付債務」とはどんな意味?

2021.04.04

企業における会計処理の場面で耳にする「退職給付債務」。退職金に関する用語ということは分かっていても、内容まで正確に理解している人は少ないかもしれない。

そこで本記事では、退職給付債務の意味や会計上の位置付けをわかりやすく解説する。算定の流れを通して、基本的な概念の理解を深めてほしい。

退職給付債務とは何?

企業では、従業員の退職時に備えて退職給付債務の計算を行う必要がある。退職給付債務は、従業員が退職時に受け取れる金銭を企業の側から捉えた概念だ。

退職金を「現在価値」として捉えたもの

退職給付債務とは、退職年金や退職一時金など従業員の退職に伴い支給される金銭を現在価値として評価したもの。労働対価の後払い的な性質を持つ退職金などは、企業では従業員に対する’’負債’’として計算される。一般的に、従業員の勤務期間が長いほど退職給付債務額は増加していく。

英語では、米国の会計基準「SFAS87」に準拠した「PBO:Projected Benefit Obligation」や、国際会計基準(IFRS)における「DBO:Defined Benefit Obligation」が用いられるケースが多い。

PBOとABOの違い

退職給付債務を指すPBOに類似する略語で、「ABO」という言葉がある。「ABO」は、「Accumulated Benefit Obligation」の頭文字を取った略語で、日本語では「累積給付債務」と訳される。

確定給付型の制度における債務評価に用いられる概念で、PBOから将来の昇給見込みを控除した額のこと。以前まで「SFAS87」における項目として採用されていたが、2016年の基準改正により開示対象から除外された。

退職給付会計とは?

退職給付会計とは、従業員に支給する退職金に関連する会計のことで、「退職給付引当金」と「退職給付費用」の計上を目的として行われる。

退職給付債務を時価評価する会計処理

退職給付会計は、簡単に言うと退職給付に関連するコストや支払い義務の現在価値などを把握するために行う計算。退職給付債務は企業にとって負債であり、’’ある時点における財産の状態’’を表す「貸借対照表(B/S)」と、’’ある一定期間にどれだけの利益を得たか’’を表す「損益計算書(P/L)」に反映させる必要がある。

しかし、退職給付債務はその性質上支払額の確定までに時間を要するため、一期あたりの負担額の算出が難しい。そこで、毎期の負担額を合理的に算出する方法の「退職給付に関する会計基準」や「退職給付に関する会計基準の適用方針」などが退職給付会計基準として用いられている。

退職給付会計の流れ

ここでは、退職給付会計の大まかな流れを解説する。各項目を理解する上では、会計の本質が「退職給付債務」と「年金資産」の関係を表すことにある点を意識するのがポイント。

1.退職給付債務の計算を行う

まず、現時点における従業員に支払う退職金を現在の価値で評価した「退職給付債務」の計算を行う。具体的には、1年間分の退職給付債務を指す「勤務費用」とその「利息費用」について、勤続年数分の累積額を算出する。

より正確な計算を行う場合、将来における退職給付債務の価値を現在価値に置き換えるために「割引率」という比率を用いる。

2.年金資産の確認

年金資産とは、退職金の支払いを目的として企業外で積み立てられた資産のこと。「厚生年金基金制度」や「確定企業給付年金」などがこれに該当する。退職給付会計において、年金資産は退職給付引当金の算出に必要となる。

3.勤務費用、利息費用、未認識項目などの確認

「勤務費用」と「利息費用」に加え、「未認識項目」と「期待運用収益」を算出する。未認識項目とは、当期末時点において未だ費用処理されていない数理計算上の差異と過去勤務費用のこと。期待運用収益は、年金資産の運用によって生ずることが期待される収益のことで、計算上収益の額だけ将来の拠出金が削減されると捉えて控除する。

4.退職給付引当金と退職給付費用を算出

以上の計算を終えると、「退職給付引当金」と「退職給付費用」が確定する。退職給付引当金は、将来の退職給付のうち当期末時点で発生している部分の見積り金額を指す。退職給付費用は、退職給付に関するさまざまな費用の総称だ。

5.決算書に反映

退職給付引当金と退職給付費用を決算書に反映させる。前者は貸借対照表(B/S)に、後者は損益計算書(P/L)に記載する。

退職給付会計における2つの制度

退職金は、支給方法や積み立て方法の異なる「確定給付制度」と「確定拠出制度」の2つの制度が存在する。両制度は会計処理上の違いがあるため、それぞれの特徴を確認しておこう。

確定給付制度

確定給付制度とは、勤続期間や給与水準を基準として定められた金額を支給する制度。具体的には、企業の内部積立のみで支払う「退職一時金制度」、企業が設立した厚生年金基金から支払う「厚生年金基金制度」、確定給付企業年金法に基づき支給する「確定給付企業年金制度」が存在する。

確定給付制度における退職金の支払額は、勤続期間が確定することによって定まるため、従業員の退職日まで会計処理上「債務」として扱う。

確定拠出制度

確定拠出制度とは、企業外部で掛金の積み立てを行う制度で、具体的には「確定拠出年金制度」「中小企業退職金共済制度」「特定退職金共済制度」がある。企業は拠出金の支払い義務のみを負い、
給付額は拠出掛金と運用の収益によって定まる。つまり、会計上拠出の時点で金額が確定するため、将来の支給額を見積もる必要がない。

文/oki

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