乗用車感覚で乗れる都会派のSUVが人気を集めているが、 一方で超本格的な4WD車も売れている。今回はその代名詞ともいえる最新モデルをピックアップ、比較試乗した。
ジープとランドローバー。この2つのメーカーは70年以上も前からライバル関係にある。1935年に米ウイリス社が米軍のために、不整地走行の4WD車を生産したが、米軍はこの車両を第2次世界大戦後に英国に残して引き揚げる。
当時、軽量な4WD車は農地を耕したりするのに最適で喜ばれたのだが、新車は造られず、そのうち部品も不足し始めた。その状況を見たローバー社の経営陣がこの車両『ジープ』のシャーシと変速機を利用して、新たに荒地用の小型4WD車を試作し、1948年に発表したのだ。これがランドローバーのルーツである。
このクルマはやがて『ディフェンダー』と名づけられた。一方の『ジープ』も、1958年に北米で民間用の2ドアモデルが製造されて、売り出されると瞬く間に人気車となった。『ラングラー』という名称は1987年から採用されている。その後もこの2台は改良を重ねながら、着実に進化を続けてきた。
現行型『ジープ』の最新モデルは2018年秋に登場。4気筒2Lのガソリンターボエンジンを追加し、足回りを全面改良した。これによって『ジープ』の走りは一変する。ハンドリングも格段に向上し、高速走行時の直進安全性もワインディングでのコーナリングもオンロード4WD車のレベルに到達。オフロード性能もレベルアップした。また『ラングラー』史上初めてフルタイムオンデマンド4×4を投入。ドアの開閉や操作系はスパルタンなテイストを残しつつ、現代風に生まれ変わった。2020年12月にはさらに装備を充実させた。
先進のテクノロジーを纏った新世代4WD
ジープ『ラングラー アンリミテッド サハラ』
Specification
■全長×全幅×全高:4870×1895×1845mm
■ホイールベース:3010mm
■車両重量:1960kg
■排気量:1995cc
■エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
■最高出力:272PS/5250rpm
■最大トルク:400Nm/3000rpm
■変速機:8速AT
■燃費:10.0km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:606万円
※2Lモデル
6本の縦長グリルとヘッドライトがフェンダーの内側にあるデザインは初代からの特徴。ボディー前部をぶつけたとしてもヘッドライトを守り、夜間走行に支障がないといった利点がある。
ホイールベースは『ディフェンダー』より10mm短いが、全長は75mmも短い。オフロード車として見ると荒地での走破力は車軸から車体先端までの長さが短い『ラングラー』のほうが上。
直線的なデザインなので大きく見えるが全幅は『ディフェンダー』より100mm短く、全高は125mm低いので、見た目より街中での走行や駐車はサイズを気にならない。