株式は通常100株単位での取引となるのですが、最近ではスマホで100株ではなくても少額から株式投資ができる証券会社が登場しています。1株から気軽に買えることは大きなメリットですが、デメリットはないのでしょうか?
スマホで1株から株式を買える証券会社
通常、株式は証券会社を仲介して、証券取引所で取引されます。証券取引所のルールとして単元株制度というものがあり、100株単位でしか取引できません。
株価は企業それぞれで異なるため、100株でも株価が100円なら最低投資単位が10,000円と少額ですが、値がさ株といわれるオリエンタルランド(東京ディズニーランドを運営、銘柄コード4661)は株価16,410円で100株164万円、ファーストリテイリング(ユニクロを展開、9983)は株価83,740円で100株837万円もします。
そういった100株単位でしか取引できないことで、株式取引は富裕層がするものというイメージがありました。
しかし、最近以下のような1株からスマホで気軽に購入できるスマホ証券が登場し、オリエンタルランドでも約2万円弱、トヨタ自動車(7203)は8,120円から購入できるようになりました。
中には1株なら100円や500円で購入できる株もあります。
<1株から株式に投資できるスマホ証券>
※株価は2021年3月24日終値
1株から株式投資できるようになったことで、まだ資産形成できていない若い世代でも株式投資を少額から始めることができるようになりました。1株から株式投資できることで、少額から投資できるなどの他にもたくさんのメリットがあります。
1株から株式を買えることのメリット
①少額で株式に投資できる
1株から株式を購入できることで、100株では高かった投資金額が少額から投資できるようになります。オリエンタルランドのような株価が高く100株だと高額な場合でも、1株なら手が届きます。
②配当金が受け取れる
100株に達していなくても、株数に応じて配当金が受け取れます。
例えば、1株あたり30円の配当金を出す銘柄に5株投資した場合、150円の配当金が受け取れます。
③分散投資ができる
何銘柄にも分散投資するには、100株単位の場合だと大きな資金が必要となりますが、1株単位で取引できることで少額でも複数銘柄に分散投資することができます。
④購入機会の分散によりリスクを低減できる
一括で100株を購入してしまうと、安く買えば大きな利益を得られますが、株式相場の予想はプロでも難しく予想が外れて高いところで買ってしまい損をしてしまったということも起こります。1株単位で毎月など定期的に買っていくことで、100株を一括で買うよりも高いところで買ってしまうリスクを低減することができます。
デメリットはあるの?
通常証券取引所では100株単位でしか取引できないのをどうやって1株単位での取引を可能にしているのでしょうか?
各社は相対取引という方法を使って1株単位での取引を可能にしています。
通常の株式取引は、証券取引所で買いたい売りたい誰かの注文と成立させています。一方、相対取引は取引の相手方が証券会社自身となることで、証券会社保有または証券会社が調達した株式と注文を成立させることで1株単位での取引を成立させています。証券会社が保有するまたは調達する株式を購入することになるため、そのリスクをコストに上乗せしており、取引コストは単元株取引に比べて割高になります。
①単元株に比べて取引コストが割高
単元株である100株単位での取引は、ネット専業証券の競争が激しいこともあり非常に安い取引手数料で取引できます。一方で、1株単位での取引は100株単位での取引手数料より割高になる傾向があります。
②株主優待は受け取れないことが多い
配当金は100株未満でも受け取れるのですが、株主優待実施企業で株主優待を受け取れる権利を100株以上としているところがほとんどです。例えば、オリエンタルランドの株主優待は東京ディズニーランドまたは東京ディズニーシーのワンデイチケットですが、100株以上の株主が対象となります。ちなみに株主総会にも100株未満だと参加できず議決権を行使することはできません。
ただし、100株未満の株でもコツコツ買い増し、100株にすれば単元株として株主優待を受取る事ができます。
③購入できる銘柄が限定されている
通常の株式取引であれば上場している株式であれば全部の銘柄を売買できます(一部証券会社で地方証券取引所の上場株を扱っていないこともある)。しかし、1株単位での取引は相対取引であることから証券会社が指定する銘柄しか取引できません。有名な企業の取引なら買うことができないという事態はほとんど起きませんが、少しニッチな銘柄となると取り扱っていないこともあります。
④リアルタイムで取引が成立しないこともある
証券取引所では、市場が開いている間(9:0~11:30 12:30~15:00)はリアルタイムで取引が成立していきます。一方で、相対取引である1株単位での取引の場合には成立時間が決まっていることがあります。
例えば、SBIネオモバイル証券では、営業日7:00~10:30までの注文は当日後場始値の値段でつくというように、リアルタイムの株価ではないため注文時の株価と違う株価で注文が成立します。また、午後の13:30以降になると翌営業日の前場の始値と翌営業日の株価で注文成立となります。そういった場合、売却後その日に売却代金で他の銘柄を購入するという売買ができません。短期売買をしたい場合にはリアルタイムで株価が付かない仕組みは向いていません。市場が開いている間にリアルタイムで株価が付く証券会社はLINE証券、ペイペイ証券、コネクトです。
⑤指値注文ができない
通常の株取引では指値注文ができるので、できるだけ高く売りたい、できるだけ安く買いたいという注文を出すことができます。一方で、1株単位での取引ではほとんど証券会社では指値注文ができません。リアルタイムで取引できる場合でも株価は刻々と変わっていくため、少しの利益で売る場合は売ろうと思ったときの株価と変わり想定していた利益でなかったり、逆に損をしてしまったりすることもあります。
100株にすれば指値注文をすることが可能になります。
⑥NISAでの投資ができないことも
NISAは、株式投資で年間120万円の新規投資に対する売却益や配当金などの利益から通常引かれる20.315%の税金が非課税になる口座です。
スマホ証券のなかにはNISA口座を開設できない証券会社もあります。NISA口座は1人あたり1口座しか開設できず、つみたてNISAと併用することはできません。他の証券会社などでまだ利用していない場合は税金を非課税にすることで、利益がさらに大きく受け取れるので是非開設した方がよいでしょう。
NISA口座が開設可能なスマホ証券は、コネクト、日興フロッギーです。
投資の入り口として是非活用してみよう
「株って高いのでは?」という考えから株式投資を避けていた方は少額からできるので、是非1株から買えるスマホ証券を利用して株式投資を始めてみると良いでしょう。
株式は元本保証ではないため損をする可能性もあり、まず少額で時間を分散して購入できることで株式投資の敷居を低くしてくれます。また、スマホ証券での株式投資はポイントから投資できるところもあるため、まずポイントだけで投資を始めてみるなら敷居はさらに低くなります。
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文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。