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名機復活!モトローラの折りたたみスマホ「razr 5G」を使ってわかった〇と×

2021.03.27

■連載/石野純也のガチレビュー

 かつてグローバルで高い人気を誇ったモトローラの「RAZR(レイザー)」が、スマートフォンになって復活した。その5G対応モデルが、ソフトバンクの導入する「razr 5G」だ。フィーチャーフォン時代のRAZRをスマホで再現するにあたって採用されたのが、ディスプレイそのものを折りたためるフォルダブルスタイル。かつての折りたたみ端末と同様、razr 5Gはグイッと折りためる上に、開いた時にはヒンジによる継ぎ目がないため、ストレート型のスマホとほぼ同じように使うことができる。

 フィーチャーフォン時代のRAZRとは異なり、機能もスマホとして進化を遂げた。チップセットにはクアルコムの「Snapdragon 765G」を採用。OSはAndroid 11で、ほかのスマホと同様、アプリをインストールして必要な機能を追加することができる。また、4800万画素カメラを備え、スマホ選びの基準の1つになっている撮影機能を充実させた。電話やメールが中心だったフィーチャーフォンに近いのは、あくまで形状だけというわけだ。

 フォルダブルスマホは、サムスン電子やファーウェイが先行しているが、モトローラもそこに名乗りを上げた格好。かつての名機を復活させるというコンセプトは、同社ならではだ。そんなrazr 5Gを、発売に先立ち試用することができた。ここでは、フォルダブルスマホならではの使い勝手や、同機の性能をチェックしていきたい。

モトローラ初の5G対応フォルダブルスマホとなるrazr 5G。日本のキャリアでは、ソフトバンクが独占販売する

折りたたみケータイライクな開閉感、閉じたままでも使いやすい

 スマホになったrazr 5Gだが、デザインはフィーチャーフォンのころのRAZRを彷彿とさせる。日本では、ドコモから「M702iS」として発売されたこともあるため、その姿を覚えている人もいるはずだ。中央で折り曲げて、上辺と下辺が合わさるのではなく、盛り上がった本体下部に上半分がピタッと収まるスタイルは、まさにRAZR。当時と比べると横幅が広く、折り曲げた時の形は正方形に近づいているが、RAZRのアイデンティティは健在だ。

折り曲げるとコンパクトになり、ポケットなどにしまいやすい

端末下部が盛り上がっているのは、RAZRから受け継いだデザインのアイデンティティだ

 ヒンジをよく見てみると、ギアのようなものが組み合わさって回転していることがわかる。ディスプレイの素材には、ガラスではなく、柔らかいプラスチックが採用されているが、毎回正しい位置で折り曲げられるのはそのためだ。ヒンジでサポートされていることもあり、片手で持ったまま、簡単に折り曲げられる。こうした使用感も、フィーチャーフォン風。片手で開くにはなかなか難しいが、すき間に上手く指を滑り込ませられれば、できないことはない。

ディスプレイそのものを折りたたむ仕組みだが、中央部には、それを支えるヒンジがある

 閉じた状態だと、コンパクトで収納がしやすい。razr 5Gには、21:9の縦長ディスプレイが採用されている。ディスプレイが縦に長い端末は、ポケットに入れた時に上部(または下部)だけがはみ出してしまうこともままあるが、折りたためる本機には、その心配がない。小さくまとまるため、お尻側のポケットだけでなく、前ポケットに入れても気にならないのはうれしい。重量があるため、シャツのような薄い素材だと引っ張られているような感覚があるものの、収納しやすいのはフォルダブルスマホの大きなメリットと言えるだろう。

 本体を開くと、縦長のスマホになる。ディスプレイのアスペクト比は21:9。ただし、画面上部にはノッチがあるため、21:9で作られたコンテンツをフルサイズで表示すると、映像の端が欠けてしまう点には注意が必要だ。また、ディスプレイの上下(横位置だと左右)が丸みを帯びているため、厳密に言うと、ここも全画面だと見えない部分ができてしまう。また、フォルダブルの仕様上、仕方がないところだが、ディスプレイを取り囲むようにフレームがあるため、狭額縁のスマホと比べると、どうしても没入感は低くなる。

ディスプレイは21:9だが、ノッチがあるため、映画などのフルスクリーン表示には向かない

 一方で、16:9やそれに近い比率の端末にはなかった映像の迫力があるのは事実だ。縦持ちした際の情報が多いのも、21:9のディスプレイのメリット。SNSのタイムラインや、ニュースなどの縦に長いサイトを見る際に、1画面に収まる情報量が多く、スクロールの回数を減らせる。本体下部の出っ張ったパーツが指に当たってしまうのは難点だが、操作性は悪くない。横幅は抑えられているため、片手での操作もしやすい。

縦長のサイトを表示すると、1画面に収まる情報量の多さがわかる

閉じたままでも使えて操作がスムーズ、カメラの画質も良好

 開閉が面倒と思われるかもしれないが、razr 5Gは、背面に搭載された「クイックビューディスプレイ」で、ある程度の操作をこなすことができる。その名の通り、電話の着信やアプリからの通知を確認できるのはもちろん、タッチパネルになっているため、アプリそのものの操作も行える。ディスプレイのアスペクト比が変則的なため、アプリによっては動かないこともあるが、閉じたまま使えるのは便利だ。

背面にはクイックビューディスプレイがあり、閉じたままでも利用できる

 例えば、筆者が確認した限り、標準搭載されているアプリは大体動く。情報は見づらいが、Gmailでメールをチェックしたり、YouTubeで動画を見たりといったことは、問題なく行える。それ以上に便利なのが、QRコード決済。PayPayとau Payの2つで確認したが、どちらも画面サイズに合わせてアプリのレイアウトが自動で変わり、QRコードとバーコードを表示できた。チャージなどの操作をするのでなければ、クイックビューディスプレイにコードを表示して、それを読み込んでもらうのが早そうだ。ただし、Chromeは非対応で、サイトの表示はできない。

動画視聴や決済アプリのコードを表示させることが可能

 ちなみに、クイックビューディスプレイは、razr 5G本体から見ると「外部ディスプレイ」という扱いになる。内部的には1つのディスプレイとして本体につながっているが、もう1つのディスプレイを接続したのと同じように認識されているというわけだ。そのため、アプリ初回起動時には、外部ディスプレイに表示させる権限を付与する必要がある。権限の付与は一度済ませてしまえばいいので、特に面倒というわけではないが、インストールしたアプリが自動でクイックビューディスプレイのアプリ一覧に表示されない点には注意が必要になる。

razr 5Gの外部ディスプレイという扱い。アプリごとに権限を取得する必要がある

 クイックビューディスプレイは、撮影時にも利用できる。人物撮影であることを検知すると、画面上にポップなキャラクター風の顔が表示され、自然と笑顔になる。撮影後の写真を表示させることも可能だ。前者の機能のお陰で、子どもの写真を撮る際には、顔をそらさず、カメラをしっかり見てもらえた。写真の仕上がりを確認してもらいたい時には、後者の機能が便利。ちょっとした工夫ではあるが、クイックビューディスプレイを上手に生かしている。

人物を検知した際に、キャラクター風の顔を表示できる。子どもの注意を引くのに役立つ機能だ

 カメラは、4800万画素のシングルカメラ。4つの画素を1つに結合し、取り込める光量を上げているため、暗い場所でもノイズの少ない写真を撮れる。実際に撮った写真は以下の通り。料理の写真はAIの補正が少々強すぎるようにも見えるが、風景写真は自然で、夜景も明暗差の大きな場所をしっかり映し出せている。シングルカメラながら、ポートレートモードでは上手に背景がボケている印象だ。一方で、シングルカメラゆえに、これ以上広角の写真は撮れない。ズームにも弱いのは難点。決して安い端末ではないため、カメラ機能には物足りなさを感じる。

razr 5Gで撮影した写真。シングルカメラながら、撮れる写真のクオリティは高い

レスポンスのよさは十分で遊び心は評価したいが、今後の課題も

 レスポンスのよさは、ハイエンド端末と比べてもそん色ないレベルだ。チップセットには冒頭で述べたように、クアルコムのSnapdragon 765Gが採用されており、メモリ(RAM)も8GBと十分。8シリーズのSnapdragonを搭載するハイエンドモデルと比べると、ゲームなど、パフォーマンスを限界まで求められるアプリで違いは出るかもしれないが、日常使いでの差はほとんど感じられない。

 CPUのパフォーマンスを計測する「Geekbench 5」でのスコアは、シングルコアが588、マルチコアが1693点。トップクラスのハイエンドモデルと比べると、数値は劣るが、ミドルレンジモデルでは上位に位置する。数年前のハイエンドモデルと同レベルで、パフォーマンスの高さを裏付けた格好だ。メモリの容量が十分なため、アプリの切り替えもスムーズだった。

Geekbench 5でのスコア。ミドルレンジモデル上位の端末に並ぶ数値だ

 使い勝手やパフォーマンスもさることながら、遊び心にあふれているのもrazr 5Gの特徴だ。グローバルで大ヒットしたRAZRの復刻であることを生かし、端末にはレトロモードを内蔵。通知エリアのボタンから呼び出すことができる。このモードにすると、かつてのRAZRに搭載されていたテンキーが画面に広がり、電話番号を入力して発信が可能。設定を呼び出したりといった操作にも対応する。

かつてのRAZRを模した、レトロモード

 もちろん、これは単なる“お遊び”で、第2階層以降は通常のAndroidに切り替わるが、フィーチャーフォン時代のRAZRを知る人にはうれしい仕掛けだ。先に挙げたクイックビューディスプレイで遊べるゲームも内蔵されている。シンプルなゲームゆえに、すぐに飽きてしまう可能性は高いが、クイックビューディスプレイの操作に慣れるにはうってつけ。その意味では、部分的ながら実用性も兼ね備えていると言えそうだ。

クイックビューディスプレイで遊べるゲームも内蔵する

 一方で、2021年に発売されるスマホとしては、物足りない部分もある。すでに指摘したとおり、カメラはシングルカメラで、FeliCaにも非対応。コード決済アプリをクイックビューディスプレイに表示できるのは便利だが、閉じたまま、端末をかざして決済できれば、さらに使い勝手はよくなっていた。また、フォルダブルのギミックは開閉のみ。半開きの状態にして、机などに置いたまま使えるような仕掛けがあってもよかった。スタイリッシュで、使い勝手はいいが、こうした粗削りな部分が残っているのも事実。意欲的な端末のため、次機種以降でのブラッシュアップに期待したい。

【石野’s ジャッジメント】
質感        ★★★★
持ちやすさ     ★★★★★
ディスプレイ性能  ★★★★
UI         ★★★★
撮影性能      ★★★★
音楽性能      ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
生体認証      ★★★★
決済機能      ★★★
バッテリーもち   ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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