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参加国、設立の経緯、APECとはどんな組織?

2021.04.16

『APEC』とは、アジア太平洋地域の経済協力を議論する国際機関です。これまでにさまざまな成果を上げており、世界でも重要な枠組みの一つとして認識されています。参加している国や地域、設立までの歴史、主な組織の内容について解説します。

APEC(アジア太平洋経済協力会議)とは

APECはアジア太平洋地域における経済協力の場として、1989年に発足した枠組みです。日本をはじめとする12カ国で発足し、現在は21カ国・地域で構成されています。

経済発展や地域協力を推進する枠組み

『APEC(エイペック)』の正式名称は『アジア太平洋経済協力会議』といい、アジア太平洋地域の経済的な発展を目指し、加盟する国や地域における政府間協力を進めるための枠組みです。

APECでは加盟する国や地域を『エコノミー』と呼び、それぞれのエコノミーが資金を負担し合って活動を進めています。参加エコノミーの自主性と非拘束性を重んじつつ、コンセンサスに基づく協力で活動することが特徴です。設立条項などは特に設けられていません。

APEC全体のGDP・貿易量・人口は、世界の40~60%を占めています。地域主義に基づく枠組みとしては世界最大規模であり、近年は経済だけでなく安全保障や環境問題もテーマとして扱っています。

APECに参加している国や地域

発足当初の12カ国は、日本・韓国・アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドとASEAN(東南アジア諸国連合)6カ国です。当時のASEANは、シンガポール・タイ・マレーシア・フィリピン・インドネシア・ブルネイで構成されていました。

91年に中国・台湾・香港、93年にメキシコ・パプアニューギニア、94年にチリ、98年にロシア・ペルー・ベトナムが参加しています。

現在は、ベトナムを加えたASEAN7カ国とNAFTA(北米自由貿易協定)諸国に加え、ロシアや中南米もカバーしています。広域にわたる地域連携としての側面も持っている枠組みです。

APECの概要を分かりやすくいうと

APECの主な組織や設立までの経緯を解説します。ビジネス界と強く連携していることが、他の国際機関にはない大きな特徴です。

APECの組織

APECでは、首脳会議・閣僚会議・財務大臣会合が年1回のペースで開催されています。閣僚会議とは、主に参加国の外務大臣や貿易担当大臣が参加する会議です。分野ごとに開催される大臣会合もあります。

閣僚会議の下で開催されるのが高級実務者会合です。その下には、貿易・投資委員会、財政管理委員会、経済委員会、経済・技術運営委員会の四つが設置されています。

『APEC事務局』も、高級実務者会合の下に設置されている機関です。シンガポールに常設されており、任期3年の事務局長や各エコノミーから派遣されたスタッフが働いています。

その他、首脳・閣僚・高級実務者へ助言を行うのが『ABAC(APECビジネス諮問委員会)』です。各エコノミーにおけるビジネス界の代表で構成されています。

設立した経緯

APECが誕生した1980年代後半は、ヨーロッパや北米で地域連携の動きが活性化していた時期です。アジア太平洋地域でも他の地域にならい、地域間の経済連携を活性化する機運が高まっていました。

日本は長い間、アメリカが最も重要な貿易相手国でしたが、85年のプラザ合意以降は東南アジアにも生産拠点を移し始めます。アメリカと東南アジアを包括した経済協力の枠組みを求める考えが、日本にも生じていきました。

このような動きを背景に、89年にオーストラリア首相が提唱して開催したのが、APECにおける最初の閣僚会議です。93年に首脳会議が設置されて以降は、活動がより一層活発化していきます。

ビジネス界と連携

ビジネス界と強力に連携していることが、APECの大きな特徴です。ビジネス界の代表で構成される諮問機関『ABAC』は、各エコノミーの首脳や閣僚に助言を行っています。

民間の立場から具体的な要望を伝えられるので、国際機関では画期的な仕組みです。各会議でも助言や要望を基にした議論が展開され、実際の取り組みに反映されています。

ビジネス界との連携を特徴付ける代表的な取り組みとしては『APEC・ビジネス・トラベル・カード』が挙げられます。APEC域内の経済活動を促進する目的で作られた、政府が発行するカードです。日本でも条件を満たせば発行してもらえます。

出典:APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)|外務省

APECと日本

アメリカと並ぶ資金拠出エコノミーである日本は、APECと大きな相互作用をもたらす関係です。2010年に日本で開催された首脳会議についても解説します。

日本の役割や意義とは?

APECにおける日本の主な役割としては、各エコノミー間の自由な貿易・投資の推進や世界貿易機関(WTO)の機能強化などが挙げられます。アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP構想)の実現を目指した地域経済統合の推進も、日本が主導する取り組みです。

日本のAPECにおける協力の推進は、日本経済の長期的な発展や各エコノミーとの信頼関係強化などの意義があります。域内の政治的安定への貢献や中国への参加の促進も、日本が有する重要な意義です。

アジア太平洋地域における目まぐるしい経済発展の中で、日本が積極的かつ主導的に経済協力へ関与することは、日本の将来にとっても大きな重要性を持っています。

2010年に首脳会議を実施

2010年には、APECの首脳会議が日本で開催されています。1994年に採択された、地域貿易・投資の自由化に関する『ボゴール目標』の成果を確認し、各エコノミーで伸展したことが評価されました。

また、さらなる地域統合を推進して緊密・強力・安全な共同体を目指し、各エコノミーが協力することも宣言されています。

APECが目指す具体的なゴールがエコノミー間で共有された、意義のある首脳会議です。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への加盟など、日本の方向性が定まった会議ともいえます。

構成/編集部

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