毎日のフード代に、定期的なトリミング代、病気になれば獣医にも連れて行かなければならない……。こんな具合にペットを飼うと、とにかくお金と手間がかかる。しかし、ペットと過ごす時間はプライスレス。特にコロナ禍を経て、その重要性を再認識したという人は多そうだ。
そんな「ペット」に関する意識調査がこのほど、株式会社プラネットにより、4,000人を対象として実施された。
「飼っているペット」不動のトップ3
「あなたが、過去に飼っていたペット・現在飼っているペットについて、あてはまるものをすべてお答えください」(図表1)と聞いたところ、現在飼っているペットのトップは「犬」で、13.5%だった。
次に「猫」が10.7%、鑑賞魚が5.1%と続く。2018年の同様の調査では、犬は11.5%、猫は10.1%、鑑賞魚は5.7%だったので、あまり変化はないようだ。
「過去に飼っていたペット」と「現在飼っているペット」は少し順位が変わる。トップは犬の37.8%だが、次点は鑑賞魚の22.3%と猫の21.5%よりも高くなっている。一般に鑑賞魚の寿命は猫よりも短いので、順位の変動が起こっているのだろう。
また、過去に「鳥」「ハムスター」「カメ」「昆虫類」を飼っていた人はいずれも10%を超えているが、年代別に見る(図表2)と、特に目立つのが「鳥」と「昆虫類」。どちらも、30代までと比べて40代以降の割合がかなり高くなっている。
鳥を飼っていたことがある20代(5.1%)、30代(7.7%)と比べ、40代は2倍以上の17.3%。さらに50代になると23.2%、70代以上は26.0%。1970年代の文鳥ブームなど、小鳥の飼育が流行したことも理由のひとつだろうか。
昆虫についても、20代の4.5%、30代の7.7%と比べ、40代は13.2%と大きな差があった。最も高い50代は14.4%。身近なところに自然があるかどうか、昆虫採集の機会の減少などが理由なのだろうか。
「飼いたい」欲は女性が上回る
「あなたが将来(も)飼いたい・飼ってみたいと思うペットの種類をお答えください」という質問(図表3)の順位を見ると、ほぼ「現在飼っているペット」と同じだった。
ただ男女別に見ると、差が大きく出ている。ポイント差が最も大きいのは猫(男性:24.3%、女性:29.3%)だが、うさぎ(男性:3.7%、女性:4.9%)の1.2ポイント差、ハムスター(男性:3.4%、女性:4.8%)の1.5ポイント差も飼いたいという人の割合から見ると大きな違いだ。
拾って飼い始めた人が7.5%も
「あなたが、ペットを飼っている理由をお答えください」(図表4)と聞いたところ、トップは「動物が好きだから」の58.4%。「癒やしを求めてるから」が34.8%、「家族の一員として迎えるため」が20.7%、「家族・子供が飼いたいと言ったから」が17.3%と続く。
「過去に飼っていて、また飼いたくなったから」という人も10.6%いた。「ペットロス」という言葉があるように、ペットを亡くしたり、別れたりするのはつらいもの。中には、「二度と同じような思いをしたくない」とペットを飼わない決意をする人もいるが、それでも新たに家族を迎えようという人も決して少なくないようだ。
コロナ禍だからこその恩恵と不安
新型コロナの流行によって、家にいる時間が増え、ペットと触れ合う時間も増えたという人がほとんどなのではないだろうか。
「新型コロナ流行後(2020年2月以降)に、ペットを飼っていて良かったと感じたことはありましたか」という質問(図表5)で、最も多かったのは「在宅していて、寂しくない」(39.8%)というもの。「生活の張りが失われない」(29.9%)、「ストレス解消になる」(28.4%)と続いた。
「暇つぶしになる」という人も15.5%いて、「テレビばかり見てしまうことを防止できる」(9.5%)、「スマホばかり見てしまうことを防止できる」(8.1%)、「ゲームばかりすることを防止できる」(4.7%)と回答した人もそれなりにいた。
「特にない」という人も24.6%いたが、外出するのがはばかられる状況において、家にペットがいる状況はなにかと助かったと感じた人が多かったようだ。
一方で、コロナ禍ならではの悩みも。「新型コロナ流行後(2020年2月以降)に、ペットに関して心配や困っていることはありますか」(図表6)という質問では、「特にない」と回答したのは49.9%と5割を切っている。
「自分がコロナに感染したらペットの世話をどうしたらいいのか心配」(19.1%)、「ペットがウイルスや細菌に感染しないか気になるようになった」(18.0%)、「ペットがコロナに感染した場合、どのような症状が出るのかわからない」(17.6%)と、飼い主のかなりの割合が、これまでにない状況に困惑しているのが浮き彫りに。
「経済面や健康面の問題で、ペットをずっと飼育できるか不安になった」という人も4.8%に上る。また、全体的に女性の割合が高くなっており、男性以上に不安を覚えているようだ。
4人に1人はペットに服を着せていた!
現在、犬または猫を飼っている人を対象に、「現在飼っている犬または猫のために、買ったものはありますか。新型コロナ流行前後でそれぞれお答えください」と質問した。
コロナ流行前に買ったもの(図表7)を見てみると、「ペット用トイレ」が38.7%、「首輪」が33.3%、「ケージ」と「キャリーバッグ」が27.2%。これらはペットを飼うにあたって、多くの人が必要だと考えるため、割合が高くなっているのは当然と言えるが、「ウェア(衣服)」も27.8%とかなり高めで、4人に1人は犬や猫に服を着せていることになる。ほぼすべての項目で女性のほうが購入している割合が高いのも注目だ。
一方、コロナ流行後はどうなっているかというと、トップは「ペット用消臭スプレー」が20.5%、「ウェア(衣服)」が19.2%と順位が繰り上がっている。トイレや首輪、ケージなどは一度買えば、買い直す頻度はそこまで高くないことが予想できるが、「ペット用トイレ」も14.5%。猫砂などは定期的に購入する必要があるが、在宅で過ごす時間が長くなったことで、臭いや衛生面について、今まで以上に気を使うようになったのかもしれない。
1ヶ月の食費は2000円以下が最多だが、1万円以上かける人も
「現在飼っているペットの1ヶ月あたりの食費は平均でいくらくらいですか」と聞いたところ、35.2%が「2,000円以下」だった。それ以上は、きれいに山なりで少なくなっていく。
ただ、「10,001円以上」と回答した人も4.8%いた。「複数のペットを飼っている方は、すべて含めてお答えください」という条件つきの質問なので、多頭飼いになれば、そのぶん食費も増えるだろうが、大切なペットとはいえ、結構な出費をしている人がそれなりにいることがわかる。
また、食費に関連して、「ペットフード以外に、ペットの食事のために、スーパーなどで買っている食材はあるか。※ペット用の商品は除いてお答えください」と質問。
ダントツだったのが「鶏肉」の16.1%で、「野菜」の8.3%に2倍近い差をつけている。そして「魚」(6.5%)「豚肉」(5.9%)に続くのが「牛肉」の5.7%。これだけ見ると、ペットのほうが人よりも豪勢な食事をしているケースもあるのではないだろうか。
自分で飼っていなくても動画サイトやSNSで癒やされている人が多数
「あなたがペットに対して感じていることはなんですか。ペットについて、新型コロナ流行で感じたことがあれば教えてください。」と自由回答形式で聞いた。
以前飼っていたが、今は飼っていない人の理由を見てみると、「ペットロスがつらかったので」という意見や、「飼える環境でない」という理由に混ざって、「コロナによってどのような影響があるかわからない」という声がちらほら。動物好きの人やペットにとっても、早くコロナ流行が収まってくれるに越したことはないようだ。
■ペットに対して感じていること、新型コロナ流行で感じたこと
【コロナの影響はいろいろなかたちで】
・寂しさを癒して貰える、自分の気持ちが分かってくれると思うからすぐに飼いたい。仕事で留守の時間が多いので、今は無理だけど。コロナで仕事内容がハードになっているから、ますます飼えない状況になっています。(女性・40代)
・最初の緊急事態宣言のときは散歩も控えめにしていたけど、今は普通に行っているので特別感じていることはない。去年の夏は川とかに行けなかったので、早く車で気兼ねなく遠出できるぐらいコロナが落ち着いてほしいなと日々思う。(男性・20代)
・生まれてから一度もペットを飼ったことがなく、自分には無関係と思っていたが、不安な今の時代、子供も独立し孫もいてその上でペットがいる生活って、そんなことも吹き飛ばしてしまうほど楽しいだろうなと想像してしまう。(女性・50代)
・未知のウイルスのため、動物にとってどのような脅威なのか不安です。コロナ流行直前に飼っていたうさぎが亡くなりました。動物を飼いたいけれども、今は何があるかわからないので時期ではないのかなという気がします。(女性・30代)
・コロナ流行以来、飼い主仲間とも滅多に会わずにいるのに、いまだにマスクもしない若いお母さんとその子供に犬を触られたり、近寄ってこられたりするのがちょっと困る。(女性・40代)
【やっぱりつらいペットロス】
・コロナで外に出られないので家でペットをまた飼いたいと思うようになったが、以前亡くした子の最期を思うとふんぎりがつかず飼えないでいる。(女性・40代)
・ペットは自分の子供と同じで、17年間一緒に暮らして亡くなったときは、しばらくペットロスに苦しんだ。あのつらさを二度と味わいたくなく、もう飼わないと心に決めた。今はペット動画で癒されている。(女性・60代)
・観賞魚は死んでもペットロスに陥らないしストレスにならないので良い。(男性・70代以上)
【動画サイトやSNS 新しい動物とのふれあい方】
・子供の頃はあまり面倒を見れていなかったのでYouTubeなど見てみるといいなって感じます。(男性・40代)
・SNSで毎日、ポメラニアンの動画を見て癒されている。(女性・50代)
・野良猫を保護したり、保護施設にいる子を引き取ったりしたいが、現状家族の同意が得られてない。TV番組やSNSを見て我慢している。(女性・50代)
<調査概要>
調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「ペット」に関する意識調査を実施。
期間:2021年1月28日~2月1日、インターネットで4,000人から回答を得ている。
出典元:株式会社プラネット
構成/こじへい