一般的にシートの画像からクルマを紹介することは少ない。しかし、2004年7月に登場したミニバン、ホンダ「エディックス」は、シートアレンジこそがキモと呼べるクルマ。この写真から紹介せずには気が済まない(笑)
「エディックス(EDIX)」という車名の由来は、ひとりから6人まで楽しさを思い思いに編集(EDIT)できる6(SIX)人乗りミニバンという意味合いが込められた造語。
その名の通り、独特なV字型3席を2列にレイアウトして6人乗車を可能にした個性的なホンダ「エディックス」が、ソーシャルディスタンスを意識したかのようで、今見ても斬新だ。
フィアットムルティプラがホンダ「エディックス」の先輩?
実は3席×2列シートのクルマはほかにもあった。
伊・フィアット社が生産した、2代目「ムルティプラ」をご存じだろうか。
1998年に登場した個性満点のこのクルマ、全長×全幅×全高が4005×1875×1670mm、車両重量1360kgのボディを、直4DOHC1596cc、最高出力103ps/5750rpmのエンジンで走らせた。
シートは写真のように3人がけ2列シート。車幅が1875mmあるので3席それぞれをほぼ均等に配置できた。
3席シートが飛行機の座席を思わせて、何となく楽しい。
【参考】過去車種|2代目フィアット ムルティプラ|FIAT(フィアット)
ホンダ「エディックス」のサイズは?
さて、話をホンダ「エディックス」に戻そう。
2004年登場時、ホンダ「エディックス」は全長×全幅×全高が4285×1795×1610mm(2WD)、車両重量は「17X」グレードで1360kg、「20X」の4WDで1480kgだった。
「17X」フロント
「17X」リア
「20X」フロント
「20X」リア
「ムルティプラ」に比べて「17X」は全長が280mm長く、全幅はマイナス80mm、全高はマイナス60mm、車両重量は同一というサイズだった。
エンジンは直4SOHC16バルブ1668ccと、直4DOHC16バルブ1998ccが登場時用意され、最高出力はそれぞれ、130ps/6300rpmと156ps/6500rpmとなっていた。
ホンダ「エディックス」のタイヤサイズ
2004年登場時のホンダ「エディックス」の標準タイヤサイズは、「17X」が195/65R15 91H、「20X」が205/55R16 89Vだった。
16インチアルミホイール+205/55R 16 89Vタイヤ
ホンダ「エディックス」の燃費
3×2ミニバン、ホンダ「エディックス」のカタログ燃費はどうだろうか?
国土交通省審査値の燃料消費率(km/L)10・15モード走行値で見てみよう。
「17X」(2WD・電子制御4速オートマチック):13.8km/L
「17X」(4WD・電子制御4速オートマチック):13.2km/L
「20X」(2WD・電子制御5速オートマチック):13.0km/L
「20X」(4WD・電子制御4速オートマチック):12.2km/L
ホンダ「エディックス」の2.4Lの燃費
ホンダ「エディックス」は2006年11月30日にマイナーモデルチェンジを敢行。2.4L DOHC i-VTECエンジン搭載車をラインアップに加えた。
「24S」
最高出力は162ps/5700rpmで、電子制御5速オートマチックを組み合わせた。
国土交通省審査値の燃料消費率(km/L)10・15モード走行値で12.0km/Lを発揮した。
ホンダ「エディックス」の内装
それではホンダ「エディックス」のインテリアをチェックしてみよう。ここでは2004年登場モデルでご紹介する。
ホンダ「エディックス」のインスツルメントパネル
左右への移動、センターに配置したシートの着座性能を考えて、インスツルメントパネルは水平基調かつ、ATのシフトレバーもハンドル横にすっきりと配置されている。
ホンダ「エディックス」のシートアレンジ
さて、お待ちかね。ホンダ「エディックス」の愉快なシートアレンジを見てみよう。
センター配置のシートはやや小ぶりながら、フロントで最大270mm、リアで最大150mm前後にスライドすることで座り心地を改善する。
1人、2人乗車では、センターシートを倒してゆったり快適に。
3人乗車では前列センターシートをスライドさせて家族仲良く。
4人乗車では前列、後列それぞれにゆとりをもって快適に。
5人、6人乗車では前列、後列をたくみに利用して楽しく過ごすことができる。
ホンダ「エディックス」のカタログ
ホンダ「エディックス」は残念ながら2009年8月に終了している。だが、2021年3月中旬現在、ホンダの公式サイトにホンダ「エディックス」のWebカタログが掲載されている。
【参考】Honda|エディックス(2009年8月終了モデル)
ホンダ「エディックス」の新車当時の価格
2004年モデルの新車価格は、
「17X」が178万5000円(消費税込み・以下同)
「17X 4WD」が199万5000円
「20X」が201万6000円
「20X 4WD」が220万5000円
だった。
そして、2006年11月30日に追加された「24S」は235万2000円(消費税込み)
となっていた。
ホンダ「エディックス」の中古車相場は?
大手中古車販売サイトで確認したところ、ホンダ「エディックス」は2021年3月中旬現在、66台が掲載されていた。
最安値は2004年式、走行距離9万9000km、黒、4AT、「17X」で車両本体価格は3万8000円。
最高値は2009年式、走行距離10万5000km、白、5AT、「24S」で車両本体価格は62万5000円。
最終の2009年モデルでも12年が経とうとしており、低走行距離、高程度の車両は激減している。まだプレミアム価格がついている様子もないので、この独特なシートレイアウトの車両が欲しいなら、今がチャンスかもしれない。
ホンダ「エディックス」の復活はある? 後継モデルは??
3人家族が1列に並んで座れて、ひとりっ子が寂しい思いをしないで済むクルマとして、筆者も大いに注目していたホンダ「エディックス」。残念ながら1代限りでラインアップからは消えてしまった。
2021年3月現在、復活の声は聞こえてこないが、もしこのシートレイアウトが現代に復活したなら楽しいクルマになるのでは……と、ハイブリッドもしくは電気自動車での後継車に、ちょっとだけ期待している。
※データは2021年3月中旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
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文/中馬幹弘