
今年2021年にはどんなグルメが流行るのか。「おうちごはんSNSトレンド大賞2020&2021年トレンド予測」で、今年注目のフードの一つに挙がっていたのが「発酵あんこ」。普通のあんことの違いやトレンドの理由とは? 発酵料理研究家に作り方とともに聞いた。
2021年トレンドグルメ「発酵あんこ」とは?
「発酵あんこ」とは、砂糖を一切使わずに麹(こうじ)の力で小豆を発酵させたもの。
砂糖を使わないため、ヘルシーかつ、やさしい甘みが特徴だ。炊飯器などで手軽に作れるとあって、コロナ禍でおうち時間が増えたことによる手作り志向や健康志向も注目を集めている背景となっているようだ。
発酵あんこは、どのような特徴があるのだろうか。福岡で発酵食料理教室を主宰する発酵料理研究家の山本知美さんは次のように話す。
【取材協力】
発酵料理研究家・栄養士
山本 知美さん
福岡で発酵食料理教室「Lien~リアン~」を主宰
“旬の食材を発酵食でさらに美味しく”をモットーにレシピを制作。発酵食レッスン、レシピ開発、献立監修、講師、メディア出演などを行う。オンラインレッスン準備中。無添加の甘酒玄米グラノーラ『むなかた福津グラノーラ』を販売。
https://www.lien-cooking.com
「発酵あんこは、小豆と麹を発酵させた発酵食品なので、体を内側から元気にしてくれるうえに、お砂糖を使わないので、体への負担も少なく、ヘルシーです。
コロナ禍で健康意識が高まり、発酵食品が腸内環境を整え、免疫力を高めることで注目されていますが、その中でも発酵あんこは、材料の小豆の栄養価も高く、食物繊維やポリフェノールが豊富なので、便秘解消や肥満予防、アンチエイジング効果なども期待できるといわれています。コロナ禍でおうち時間や手作り派が増えているので、手作りをしてストックしておけば、お菓子やパンなどの材料としても使えます。甘酒が苦手な方も、あんこにすればスイーツとして美味しく食べられるメリットもあります」
発酵あんこは、どんな味なのか。
「砂糖を使わず、小豆と米麹を混ぜ合わせて50~60℃で発酵させることで、麹の酵素により、小豆のデンプンが糖に変わり、甘味が出ます。そのことで、小豆本来の甘味が味わえる優しい甘さのあんこになります」
発酵あんこは、ダイエットや健康志向、手作りニーズなど、いま現在の人々の関心にぴったり合っている食品といえそうだ。
発酵あんこの作り方
発酵あんこを手作りしてみたいと思った人もいるだろう。そこで山本さんに、発酵あんこの作り方のレシピを教えてもらった。
【材料】
小豆 100g
米麹 100g
水 300ml
塩 少々
【作り方】
1.小豆は水洗いし、鍋に小豆と小豆がしっかり浸かる量の水を入れて強火にかける。沸騰後、5分ほどゆで、ザルでこしてゆで汁を捨てる。
2.圧力鍋にゆでた小豆と水300mlを入れて強火にかけ、沸騰したら火を弱めて5分経ったら火を止めて圧力が下がるまで待つ(圧力鍋によって加熱時間が異なる)。小豆が指でつぶれるぐらいに煮えてたらOK。固ければ再度かける。
圧力鍋がない場合は、鍋に小豆とたっぷりの水を入れて、火にかけ、差し水をしながら、小豆がやわらかくなるまで煮る。
3.ザルでこして、70℃ぐらいまで冷まし、ボウルに小豆とパラパラにほぐした米麹、煮汁100mlを加えて混ぜる。
※小豆が熱いときに米麹を入れたり、保温温度が高くなると、酵素が失活してしまい、甘くならないので温度管理に気を付ける。
●スープジャー・保温水筒で作る場合
スープジャーにお湯を入れて内部を温め、湯を捨てる。60℃の3をスープジャーに入れて蓋をしめ、5時間おく。5時間経ったら一度鍋に移し、再度60℃まで上げて、スープジャーに移し、さらに5~6時間おく。
●炊飯器で作る場合
炊飯器に3を入れ、保温スイッチを押す。布巾をかけて蓋を開けたままの状態で保温モードで55℃(50~60℃)を保ちながら、時々かき混ぜて、8~10時間保温する。
※炊飯器によっては蓋を開けたままの状態でも、温度が高くなるものもあるので温度管理に気を付ける。
●ヨーグルトメーカーで作る場合
ヨーグルトメーカーに3を入れて、50~60℃にセットして、8~10時間保温する。
いずれも甘味が出ていれば完成。
お好みで塩を少量加え混ぜると味がしまり、甘味が増す。粒が気になる場合は、ブレンダーで撹拌すると、こしあんになる。
粗熱が取れたら保存容器に入れて冷蔵庫で保存する。
※冷蔵庫保存している間も発酵が進むので、1週間以上置く場合は冷凍保存する。(ラップに小分けしておくと使いやすい)
発酵あんこをうまく作るコツ
発酵あんこを失敗なくうまく作るには、どんなことに気をつければいいか。山本さんは次の4つのコツを挙げる。
・小豆は最初に渋切り(アク抜き)をする。
・小豆はやわらかくなるまで煮てから仕込む。
・小豆を煮た後、すぐに米麹を混ぜると酵素が失活して甘くならないため、70℃ぐらいまで温度を下げてから米麹を混ぜる。
・発酵温度は50~60℃をキープする。
発酵あんこは、温度管理がポイントになるようだ。その手間をかけて手作りするのは、やりがいが生まれて、おうち時間もより充実するだろう。ぜひ今年のトレンドとして、作り方をマスターしてみよう。
取材・文/石原亜香利