体の汚れを落とし、一日の疲れを癒す至極のバスタイム。忙しいとシャワーで済ませることも多いだろうが、やはり湯船につかれば全身しっかり温まり、心も体もリラックスできる時間になるものだ。
そんな「お風呂時間」に関する意識調査がこのほど、株式会社プラネットにより、4,000人を対象として実施された。
湯船につかるのが一番好きなのは北海道や東北ではない?
「あなたは習慣として入浴する際、湯船につかりますか、それともシャワーですか。季節ごとにお答えください」と質問したところ、「毎回湯船につかる」割合は冬が70.4%と最も高く、春が58.7%、秋が58.3%、最も低い夏が38.4%だった。(図表1)
寒い季節のほうが湯船につかる人が多いならば、寒い地域ほど湯船につかるのではないだろうか?結論から言うと、そうではないようだ。
たとえば北海道と東北で比べると、それぞれ、春は46.0%と67.9%、夏は24.1%と42.3%、秋は46.6%と66.3%、冬は55.2%と76.0%と、年間通じて20ポイント近い差がある。
北海道は断熱や暖房のおかげでかえってほかの地域より家のなかが暖かいという話もある。そんな事情が反映されているのだろうか。東北はどの季節でも全国平均を上回っているが、東北以上に割合が高いのが四国。東北に2.6〜4.9ポイントの差をつけており、「湯船大好き地方」と言えそうだ。
主婦/主夫以上に節約志向なのは?
夏を除けば、半数が湯船につかるという結果だったが、「あなたの家庭では、入浴後のお風呂のお湯を再利用していますか」という質問に対して、54.2%が「再利用しない」と回答。再利用する人のなかで、最も多かったのが「洗濯に使う」の40.8%だった。(図表2)
職業別に見ると、唯一、「洗濯に使う」が半数を超えたのが「学生」で51.7%だった。学生だと一人暮らしも多いので、なおさらもったいないという意識が働くのかもしれない。ついで、「パート・アルバイト」が43.8%、「定年退職」が45.6%と「専業主婦/主夫」の43.1%を超えている。
入浴行動はコロナ前後で変化なし
そもそも、人は何を目的として入浴しているのだろうか。「あなたが入浴する理由はなんですか」という質問(図表3)では、「体を清潔に保つため」が最多で75.5%だった。
また、「疲労回復のため」が56.0%、「リラックスのため」が52.2%、「腰痛や肩こり、冷えなどの改善のため」が31.6%、「健康のため」が27.3%と、単に体をきれいにする以上に、より健康的に過ごすために入浴する、という意識が強いようだ。
ただ、「あなたはコロナウイルス感染症の流行前後で、入浴行動に以下のような変化はありましたか」という問い(図表4)には5.3%が「湯船につかる時間が長くなった」、5.2%が「石鹸やボディソープで体を洗う時間が長くなった」と回答しているものの、「特に変わらない」という人が81.7%と圧倒的多数となった。
入浴する理由として、6.29%の人が「コロナウイルス感染予防のため」と回答しているが、ほとんどの人が入浴行動に変化はないと答えていることから考えると、従来の入浴で、十分に清潔を保てていると考えているようだ。ちなみに、「本当は入りたくないが、仕方なく」という人も4.7%。みんながみんな湯船やシャワーが好きかというと、そんなわけでもないようだ。
ぼーっとする?集中する?入浴中の過ごし方は両極端
「あなたは入浴中にどんなことをしていますか。入浴中にやることが多いものを上位から5つまでお答えください」という質問(図表5)に対しては、「何も考えずにぼーっとする」が38.2%、「考え事をする」が21.6%だった。
次点が「風呂場の掃除」の11.0%。他10%前後の人が「歯みがき」「髭剃り」「ムダ毛の処理」と、体を清潔にするための作業をあげているが、それに続くのが「瞑想」の6%。さらに「スマホやパソコン・タブレットを見る」が5.3%だった。
若者はお風呂のなかでもスマホが手放せない?
「お風呂時間を充実させるために、あなたがこだわっているグッズはありますか」という問い(図表6)に対して、63.7%は「特にない」という回答だったが、「入浴剤(バスボム、バスソルトを含む)」という人も19.2%。5人に1人はお湯を張るだけではなく、入浴剤などによって、リラックス効果を高めるなどの効用を期待しているようだ。
総じて、女性のほうが「こだわっている」と回答した比率が高いので、女性のほうがより「お風呂時間を充実させたい」と考える傾向にあるようだが、「防水ラジオ・スピーカーなど音響機器」については、男性が2.8%と女性(1.3%)の2倍となった。
また、「スマホ・タブレット用グッズ(防水ケースなど)」については、全年齢では2.3%だが、年代別に見ると、20代が6.1%、30代が4.6%と、やはり若い世代ほど、お風呂場にスマホやタブレットを持ち込んでいることが伺える。
経営者・役員は湯上がりビール率高し
「あなたが入浴後に飲んでいるもの、飲みたくなるものはありますか。飲んでいるもの・飲みたくなるものを上位3つまでお答えください」と質問した。(図表7)
最も多かったのは「水(フレーバー付きを含む)」の33.1%。のどが乾いたと感じていなくても、水分補給のためにと意識的に飲んでいる人も多そうだ。それに続くのが、「冷たいお茶(緑茶、麦茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティなど)」の25.3%、そして「ビール」の15.0%だった。
ビールを選んだ割合が特に高かったのが「会社役員・経営者」の27.2%。全体の2倍近い数字だ。「会社員」「自営業」「公務員」も全体より高くなっているが、逆に一番低かったのが「学生」だった。
では、学生が何を飲むのかというと「水」(34.1%)、「冷たいお茶(緑茶、麦茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティなど)」と「炭酸飲料」が同率で26.8%、さらに牛乳の19.5%が続く。牛乳を飲んだり、刺激が欲しくても炭酸飲料を選んだりと、学生は意外と控えめで、健康志向なようだ。
お風呂時間の楽しみ方も多様化
最後に、お風呂時間のこだわりや、お風呂での失敗談、お風呂について日々感じていることなどを自由回答形式で聞いた。寄せられた回答を一部抜粋して紹介していく。
■お風呂時間のこだわりや失敗談、日々感じていること
【本当は湯船につかりたいけど……】
●マンションなので浴室が狭く、お湯の追い焚きが出来ない。せっかく溜めたお湯がすぐに冷めてしまうので、自分が入浴したらすぐに汲み出して洗濯に使うようにしているが、この作業が疲れるので最初からシャワーだけで済ませる日が圧倒的に多い。(女性・40代)
●疲労が溜まっていてリラックスしたい時や、冬場に身体が芯まで冷えた時にのみ、湯船につかる。風呂の健康促進効果は絶大なので出来ることなら毎日湯船に浸かりたいけれど、水道代・ガス代・時短を考えると普段はシャワーだけになってしまう。(女性・30代)
●皮膚の乾燥が人よりひどいので、湯船に浸かると湯上がりの痒みがひどくなるが、気持ちよくなり湯船にだらだら浸かってしまうことがある。ので、なるべくシャワーだけにしている。(女性・40代)
【入浴剤は鉄板グッズ自分で調合するこだわり派も】
●お風呂は必ず入浴剤を入れている。常に3種類くらい香りを用意していて、気分で選んでいる。浴槽内では顔のマッサージや足のストレッチをして、美容タイムにしている。シャンプーやコンディショナーは自分で好きな香りや銘柄を選んでいる。(女性・50代)
●これまでは市販の入浴剤を利用していたが、塩とアロマオイルで自分好みのバスソルトを作って楽しんでいる。(女性・50代)
●今はアロマにハマっているのでお風呂でアロマキャンドルやアロマオイル入浴剤を使用。冬はお風呂から出たあとも体の芯まであたたまり続けるよう、アロマオイルに加えてバスソルトや米国製の海底から採取したマグネシウムを使用している。(女性・40代)
【スマホ持ち込みは若者の特権ではないようで】
●湯船につかりながら、スマホで音楽を聞いたりニュースやブログを見たりする時間が一番ゆっくりできて好きな時間で二時間くらい入っている。(女性・30代)
●スマホゲームをしていたら、3時間経っており足の裏がしわっしわになった。(女性・30代)
●のんびり湯船につかってスマホを見たり野球中継を聞いたりするのが何よりのリラックス(女性・50代)
●お風呂に入るときにタブレットであれこれ調べ物をする。ヘアカラーをしている間に時間潰し。(女性・60代)
<調査概要>
調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「お風呂時間」に関する意識調査を実施。
期間:2021年1月19日~22日、インターネットで4,000人から回答を得ている。
出典元:株式会社プラネット
構成/こじへい