サッカーの試合をあまり見たことがない人にとっては、TV中継を見ていて「オフサイド」や「フリーキック」、「VAR」といきなり言われても、何のことかよくわからないと感じてしまうのではないだろうか?
しかし、サッカーのルールは決して難しく捉える必要はない。毎年細やかなルール改正は行われているものの、サッカーの競技規則(ルール)はわずか17条しかない。このルールは、競技者の安全を守り、プレーをする人も、見る人もサッカーを楽しめるよう、競技が公平に行われることを求めている。サッカー初心者やにわかサッカーファンも尻込みする必要はない。基本的なルール、そしてワンランク上の知識をしっかり押さえてサッカーのプレー、観戦をより楽しんでほしい。
【参考】競技規則 | 日本サッカー協会
サッカーのルールは誰が決めている?
サッカーの競技規則(ルール)は、国際サッカー評議会(IFAB)により定められている。国際サッカー連盟(FIFA)に加入している全ての組織は競技規則に従って公式戦を行わなければならない。
サッカーのルールは毎年少しずつ改正される
IFABの年次総会は毎年2月または3月に開催され、毎年少しずつルール変更が行われている。例えば、昔はゴールキーパー(GK)は味方からのパス(意図的に蹴られたボール)を手で扱うことができたが、1992年のルール改正で「バックパスに関する規制」が導入されたことにより、足を使った味方のパスを、GKが手で扱うと反則となった。
裏を返せば、それまではGKと味方選手で延々と時間稼ぎをすることが可能だったが、90年W杯イタリア大会が「史上最もつまらない大会」と批評されたこともあり、ルール改正につながった。
サッカーの超基本ルール|初心者はここから押さえよう!
まずはサッカーの基本的なルールから説明していく。先ほど毎年少しずつルール変更が行われていると説明したが、「サッカーは11人vs11人で行う」といった根幹が変わることはまずありえないだろう。そんな“超基本”から押さえてもらいたい。
人数は11人vs11人|コロナ禍の影響で選手交代枠は変化?
野球が先発選手9人vs9人で行われるように、サッカーは先発選手11人vs11人で行われる。そして、サッカーの場合は公式戦の選手交代枠は従来3人が基本となっていたが、2020年の新型コロナウイルス感染拡大で世界各国のリーグ戦が中断。再開後は遅れていたスケジュールを消化する必要に迫られて過密日程(連戦)となったため、選手の負担軽減なども考慮して、選手交代枠を5人とすることが一般的となった。選手交代枠に関しては各リーグや大会によって対応は異なっているが、Jリーグでは2021年3月現在、“選手交代枠5人制”が採用されている。
【参考】【公式】Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)
サッカーのフィールドの大きさは?
「サッカーのフィールドの大きさは?」と聞かれても、サッカーファンでもすぐに答えられる人は意外に少ないのではないだろうか。しかし、このフィールドの大きさや名称も押さえておきたい基本ポイントである。縦68m(標準)×横105m(標準)の長方形で、詳細は下記の図(※日本サッカー協会公式サイトから引用)を参考にしてほしい。
【参考】JFA|公益財団法人日本サッカー協会|リールを知ろう!
ファウルの種類に応じて試合再開方法が変わる
「ファウル(反則)」といっても、様々な種類が存在する。また、そのファウルの種類に応じて、試合再開方法が「直接フリーキック」or「間接フリーキック」のどちらになるかが決まる。
「直接フリーキック」では蹴ったボールがゴールに入ると得点が入るのに対して、「間接フリーキック」ではゴールに直接ボールが入っても得点にはならず、相手のゴールキックで試合が再開される(ただし、味方や相手選手など、他の選手にボールが触れてゴールに入れば得点が認められる)。
以下、主なファウルの種類である。
直接フリーキックで再開される主なファウル
・ハンドリング…選手が“故意”に手や腕でボールに触れる反則。“故意”の基準は、選手の動きや位置、ボールとの距離などを考慮して判断が下される。
・トリッピング…足や手などを使って相手をつまずかせたり、転ばせる反則。
・プッシング…相手選手を押す反則。ただ、接触が非常に多いサッカーでは、どのレベルで反則にするかは審判に委ねられている。
・ホールディング…相手の身体やユニフォームを掴んだり、抱え込んだりすることによって不当に動きを制限する行為に対する反則。
間接フリーキックで再開される主なファウル
・オブストラクション…ボールに対するプレーではなく、相手選手に対してその進路を塞ぐなどの妨害行為の際に取られる反則。
・シミュレーション…相手との接触が行われていないにも関わらず、オーバーな動き、演技をすることによって審判を欺こうとした場合に取られる反則。
イエローカードとレッドカード
イエローカードは「警告」、レッドカード「退場」を表す。それぞれ不用な、無謀な、過剰な力でプレーしたと判断した場合、イエローカード、レッドカードが提示される。1試合にイエローカードを2回示されるとレッドカード(退場)になる。
わからない人も多い?|オフサイドとは
サッカー初心者にとって、最初に「わからない」と感じること多いルールはオフサイドであろう。
オフサイドは、攻撃側チームの選手が得点をするために、守備側チームのフィールド内で“待ち伏せ”することを防ぐために定められたルール。オフサイドのセオリーとして「オフサイドポジション」と「オンサイドポジション」の違い、そして「オフサイドライン」を見極めることが大切になる。
「オフサイドライン」は守備側(青色)の選手で後方から2人目の選手が基準になる。それよりゴールラインに近い攻撃側(赤色)の選手はオフサイドポジションになる。基本的にはGKが後方から1人目(最後尾)になるので、その前の守備側の選手がオフサイドラインの基準になる。
※オフサイドポジションにいること自体は反則ではない。オフサイドポジションでプレーに関与した場合に反則が成立する。
知っておくと便利なサッカー用語
ここからは知っておくと、よりサッカー観戦の際の理解が高まる基本的なサッカー用語を紹介していく。
フォーメーション
攻撃、もしくは守備の隊形。「システム」とも言う。「4-4-2」や「3-4-3」などのように、GK(ゴールキーパー)を除き、DF(ディフェンダー)→MF(ミッドフィルダー)→FW(フォワード)の順番に表記する。※「4-4-2」の場合はDFが4人、MFが4人、FWが2人となる。
アシスト
ゴールが決まる直前のプレー(パス)。
アディショナルタイム
前半・後半の最後に追加される時間のこと。長らくロスタイムと呼ばれていたため、その呼称のほうが一般的かもしれない。
オーバーラップ
主に後方にいる選手が、味方選手を追い越して前線へ駆け上がることを指す。
クリア
ボールを蹴り出すこと。主に守備時の際に使われる。
スルーパス
向かって来た相手を越えて、かつ味方に渡すパス。
センタリング(クロス)
攻撃時、相手ゴール前にボールを蹴り込むこと。
VAR
ビデオアシスタントレフェリーの略称。別の場所で映像を見ながらフィールドの審判員をサポートする審判員。W杯では、2018年のロシア大会から使用。Jリーグでは2020年から導入(新型コロナウイルスの影響で、実質的にされたのは2021年から)。
※データは2021年3月中旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
文/praia