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15年間で声優人口は約3倍!アニメ市場の10年連続成長を支える5つの注目分野

2021.03.30

ライブイベントの定着がアニメの楽しみ方を変えた

 配信アニメや劇場アニメが増加基調にあることで、声優の活躍の場は格段に増えた。さらにライブエンターテインメントの活況が声優のマルチタレント化に拍車をかけた、と数土さんは語る。

 ライブエンターテインメントとは、アニメ声優を起用したトークショーやアニソンライブ、アニメやゲームとのコラボカフェといったリアルイベントのこと。漫画、アニメなどのキャラクターを声優や役者が舞台の上で演じる、2.5次元ミュージカルもこれに含む。

「2003年にスタートしたミュージカル『テニスの王子様』シリーズが2.5次元ミュージカルの草分けになるなど大成功を収めました。このこともアニメ業界がライブエンターテインメントに注目した理由のひとつだったと思います。漫画を原作とした舞台はこれまでにもありましたが、女性ファンの心をガッシリとつかんだことが画期的だったのです。当時の業界では〝女性は作品を応援するけど、お金は落とさない〟というのが定説でしたから。そんな中、大ヒットしたのが2012年のテレビアニメ『ラブライブ!』でした」

『ラブライブ!』の特徴は、ライブイベントと連動したアイドルアニメであること。2.5次元ミュージカルさながらに、声優本人が劇中のキャラクターになりきってパフォーマンスを繰り広げる。

「『ラブライブ!』の成功を大きな契機として、男性向けアイドルアニメは急増。歌やダンスもできる声優さんが増えただけでなく、声優さんが表舞台に立つことが当たり前になった。アニメがヒットしてキャラクターが話題になり、声優個人がヒットするといった従来の道筋をショートカットできるようになりましたし、声優が様々なことに挑戦できる環境が整いつつあるのだと思います」

 そして現在、この流れは男性声優の間にも広がろうとしている。

「実は今、女性向けアイドルアニメの人気がすごい! 『ヒプノシスマイク』はその筆頭ですよね。映像はテレビや配信で満足しているから、アニメを起点にしてキャラクターの缶バッジや声優のCD、ライブイベントにお金を使うというように、アニメの楽しみ方が変わってきたように感じます」

 かつては男性が中心になって支えた声優人気を、女性も一緒になって支える。こうした変化も現在の声優ブームの要因といえそうだ。

声優ブームを支える成長分野

映画、配信、商品化、海外収入など、そのほとんどが増収!

 

市場全体規模は昨年比115%アップの約2兆5000億円。2016年に2兆円を突破してから、2017年、2018年と高止まりを続け、停滞が危惧されたものの2019年は2桁成長。2021年は配信アニメの拡大に期待をかける。

映画、配信、商品化、海外収入など、そのほとんどが増収!

配信がテレビアニメの減少を大きくカバー

中国市場から大きな恩恵を受けていたテレビアニメだが、中国が全話完パケ納品を前提とするセンサーシップの導入をにおわせたことで本数が伸び悩んだ。それに対して、配信アニメはイエナカ需要にともない大きく増収。売り上げは前年比146.9%アップとなった。

配信がテレビアニメの減少を大きくカバー

劇場アニメの本数が大きくアップ!売り上げは過去最高

最も大きく増収したのが劇場アニメだ。興行収入100億超えの作品は『天気の子』のみだが、それでも興行収入全体の20%程度。『千と千尋の神隠し』の興行収入が60%を占めた2001年度と比べると、劇場アニメ全体が好調だったことがわかる。

劇場アニメの本数が大きくアップ!売り上げは過去最高

イケボ実装の女性向けゲームの開発が相次ぐ

2020年2月に発表した矢野経済研究所の調査によると、2018年度の国内スマホゲーム市場規模は1兆850億円。ボイス付きスマホゲームは珍しくなくなり、声優の起用が増えた。イケメン揃いの女性向けスマホゲームも話題に。

『ディズニー ツイステッドワンダーランド』

『ディズニー ツイステッドワンダーランド』は2020年配信のスマホゲーム。『あんさんぶるスターズ』に並ぶ人気を博した。
©Disney. Published by Aniplex

ライブエンタメ市場は5年間で約265%拡大

経済規模はアニメ市場全体の3.3%程度と決して大きくはないが、波及効果はあなどれない。女性顧客拡大に貢献した2.5次元ミュージカルなど、ビジネスの裾野を広げる原動力と呼べる存在になっている。

ライブエンタメ市場は5年間で約265%拡大

市場規模が大きいのはアニソンライブ

夏の風物詩となったアニソンフェスの影響で、アニソンはメジャー化。2019年度の総公演回数は2000回を突破した。男性アイドル育成をテーマにした『あんさんぶるスターズ』『B-PROJECT』などライブも目立つ。

市場規模が大きいのはアニソンライブ

取材・文/渡辺和博

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