3/16発売のDIMEでは稼げる趣味投資として投資としてのアートを特集している。今回は投資としても、趣味としても巡り会いたいお気に入りのアート作品に出会う方法をプロの目利きに伺った。今注目の10作品とともに紹介しよう。
アート・マーケット拡大の背景に共感力
現代アートが投資先のひとつとして近頃話題だが、実際に購入を検討するとなると作品をどう評価したらいいのか正直分からない。
そこでDIME5月号「趣味系投資のススメ」に登場いただいた、タグボートの徳光健治さんに傾向と対策を聞いてみた。
「作品だけでなく作家を見ることですね。機会があれば画廊に足を運んだり、今なら作家の情報をフェイスブックやSNSなどで知ることもできます。
従来は、評論家や美術館の学芸員によるアカデミックな視点から見た作家像はありました。でもこれってちょっと分かりにくいじゃないですか。
これからは作品を購入した一般のコレクターやアートファンの方が発信する共感力、新しい発見が作品価値を高めていくと思いますね」
この数年、アート投資人気の裏で、アートの民衆化が起きているという。ミシュランから食べログへ。アートが一部のアカデミックな人たちのものだけでなく、より分かりやすく身近なものへと変化しているのだ。
購入するなら海外のアートフェアも視野に入れつつ
日本のアート・マーケットはとにかく小さい。世界の市場が7兆円として、その1%にも満たない規模だという。
その中で将来有望な作家にめぐり合うのは難しいかもしれないが、海外のギャラリーにまで視野を広げれば選択肢は大きく広がってくる。
アートフェアと呼ばれるアートの見本市がある。歴史的に、規模的に最大なのが、スイスのバーゼルで開催されるアート・バーゼル。現在はアメリカ、香港でも展開されている。
「アート・バーゼルに出展できるギャラリーは高い基準をクリアしているところばかり。若い作家をちゃんと育ててプロモーションしているギャラリーなのかどうかも含めて、チャネルとして選ぶ必要があるでしょうね」
ちなみに、世界4大ギャラリーなるものが存在し、ガゴシアン・ギャラリー(ニューヨーク)、デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)、ハウザー&ワース(ロンドン)、ペース・ギャラリー(ニューヨーク)が挙げられている。
初めて買うならどのジャンル?
絵画、写真、彫刻といったアート。趣味として、投資として作品を買うなら、どんなジャンルがいいだろう?
「一番人気はやはり絵画ですね。最近は写真や映像作品も人気です。映像であればDVDでコピーガードもされていますし永久保存できます。
現代アートは使うメディアも多様化しているので表現方法もデジタルメディアが増えているんです」
空間的なインスタレーションも作品として購入可能。その場合は、証明書が発行されるという。
今回、徳光さんにアート初心者に最適な10万円台で購入できるアート作品と、ボーナス狙い30万円以上の作品を5点ずつセレクトしてもらった。
ぜひとも投資先のご参考に。
●10万円〜
「Untitled」
早川モトヒロさん
1974年山口県生まれ。2000年山口芸術短期大学卒業後、東京を拠点に活動をスタート。アメコミやパンクロックなどの西洋文化に影響されつつも日本画の特徴を多く持ち、海外でも高い評価を得ている。
46 x 53 cm、キャンバスにアクリル絵の具。16万6452円
「Crossing」
オオタキヨオさん
金融機関にてストラクチャード・ファイナンス業務に従事。通貨、論理、システムといった、 仮想的な構造を構築。現実の3次元の構造・機能を微分し、 モノの持つ構造美・機能美を表現すべく、2018年より制作活動を開始。21 x 21 cm、ミクストメディア。19万8000円
「Ammonite」
月乃カエルさん
1963年生まれ。1986年 IT企業に就職、システムエンジニアとして従事後、2019年より専業作家として活動開始。月乃カエルは、生き物たちの意識や感情の重なりを描き出し、人間には見えない、生き物たちが見る世界の集合を表現している。金属などの異素材を組み合わせ、アクリル透明樹脂でコーティング、ラメなどを加えて仕上げた。34.2 x 34.2 cm、ミクストメディア。15万4000円
「I can breathe. (#3)」
Airaさん
個人の体験から生じる感情や記憶をもとに、社会の中で起きる出来事を捉えなおしながら作品を生み出す。TAGBOAT AWARD 14th 準グランプリ獲得。52 x 36 cm、木材パネルにアクリル。22万1452円
「生産 -聴覚-」
VIKIさん
東京藝術大学 先端芸術表現科在籍中。レシートなどの感熱紙を使い、記憶に残らないような時間や消費行動を自身のテーマ「時間のささくれ」として作品を制作する。32 x 40.7 cm、キャンバスとグラスオーガンジにシルクスクリーン。13万3188円
●30万円〜
「a skull on a table」
山口真人さん
1980年東京生まれ、2003年法政大学経済学部卒業。デジタルとアナログ、人間と機械、現実と虚像、対立する立場を統合した視点から制作する。“a skull on a table” はスカルをモチーフにした作品で、“Digital Objects”シリーズの作品。この“Digital Objects”シリーズでは機械学習によって収集、加工された画像データをレーザーカッターを改造したCNCドリップマシーンにより、絵画を描く。194 x 162 cm、キャンバスにアクリル。35万6180円
「Days_03_Model_A」
サイトウユウヤさん
米国オクラホマ州立セントラルオクラホマ大学を卒業後、現在は横浜を拠点に活動。サイトウのルーツであるスケートボードを背景に、人、モノ、出来事が同時発生する都市空間を、『同時性』というコンセプトで捉えなおし、無数のドラマが同時発生しては消えていく混沌と儚さ、人間社会の豊かさについて迫った作品。55 x 40 cm、木に転写プリント、カラースプレー、UVコーティング。38万6980円
「記憶 ~ZERO~」
足立篤史さん
1988年神奈川県横須賀市生まれ。2014年東京造形大学美術学科彫刻専攻卒業。「記憶を記録する」ことをテーマに、模型の表面に新聞など当時の資料を重ねることによって、「無機物に宿る記憶」を表現しようと試みる。15 x 60 cm、ケント紙・イラストレーションボード・戦争資料・水彩絵の具。51万1500円
「Light #34」
坪山 斉さん
1981年宮城県生まれ。2010年東京藝術大学大学院美術研究科油画技法材料第一研究室修了。ポートレイトや眼の虹彩といったシンボリックなモチーフを通して、人が何かを識別するということへの疑いや問いかけをテーマする。作品「Light」は、虹彩の部分を抽出した絵画作品。100 x 100 cm、キャンバスにアクリル。49万8300円
「反復」
毛塚友梨さん
1984年栃木県栃木市生まれ。2009年東京藝術大学美術学部工芸科陶芸専攻 卒業。この机は作者が仕事で使っているワーキングデスク。PCの画面、モニターを粘土の紐の文様を残した技法で作る事で、その先にある非物質的な世界の存在を示唆し、現代を生きる人々の有り様を表現する。70 x 110 cm、陶器、紐づくり、酸化焼成。60万5000円
※詳しい作品情報、購入はタグボートまで。別途、送料1800円かかります。
■問い合わせ先/タグボート http://tagboat.co.jp
DIME5月号では稼げる趣味投資を大特集!
3/16発売のDIME5月号では、アートをはじめ趣味をいかした投資を特集します! 是非合わせてご覧ください。
取材・文/堀田成敏 撮影/篠田麦也(インタビュー)