2018年に始まった「つみたてNISA」は、20~30代の若い世代を中心に人気となっており、2020年末の口座開設数は302万口座となり、1年間で1.6倍になりました。それに対して(一般)NISAは1年間の増加率は4%と伸びが鈍化しています。資産形成として最適なつみたてNISAですが、(一般)NISA口座との違いを理解の上、開設しましょう。
つみたてNISAを開設する前に(一般)NISAとの違いを理解しておくとよい理由
つみたてNISAと(一般)NISAは、どちらも金融商品を投資した際に得られる利益に対して本来かかる税金20.315%を非課税にすることができる口座です。つみたてNISAの非課税期間が20年と長いことから安易につみたてNISAを選んではないでしょうか?
この2つの口座はどちらも併用して開設することはできず、必ずどちらか1つを選ばなければなりません。つみたてNISAを選び、その後(一般)NISAに変更することは可能ではありますが、既にその年に投資していれば翌年以降にしか変更できないこと、書類手続が必要で煩雑であることから、できれば変更手続をしないで済むようはじめから理解しておいた上で開設する方が良いでしょう。
つみたてNISAと(一般)NISAの違い
つみたてNISAは、2018年に始まった金融商品の非課税制度で、NISAの中では最も新しい制度です。非課税期間が20年間で、毎年40万円の新規投資が可能となっており、積立による投資で投資対象は金融庁指定の低コストの投資信託に限定されています。
一方、(一般)NISAは2014年から始まった金融商品非課税制度です。非課税期間は5年間で毎年120万円の新規投資が可能で、投資対象は株式、投資信託、ETF、REIT等です。
この両者の制度では以下のような大きな違いがあります。
①新規投資可能金額
つみたてNISAは年間40万円、(一般)NISAは年間120万円までの新規投資が可能です。
つみたてNISAは、毎月積立をする場合月最大約3.3万円となるのに対して、(一般)NISAは毎月最大10万円まで積立可能です。
②金融商品の対象範囲
つみたてNISAで投資できるのは、金融庁指定の低コストで長期運用に適した投資信託のみとなっており、さらに積立による投資に限定されています。一方、(一般)NISAでは、もちろんつみたてNISA対象の投資信託への積立も可能な上、ほとんどの投資信託、株式、REIT、ETFも対象となっています。
投資に慣れてきたら、株式の優待や高配当銘柄に興味がある、REITで家賃収入を元にした分配金を受取りたい、その他の投資信託に投資したいと考えるかも知れません。その場合には、(一般)NISA口座が最適です。
③非課税期間
つみたてNISAは非課税期間が20年と長く、長期積立によるリスクを低減した投資に適しています。
一方、(一般)NISAは非課税期間が5年間となっています。しかし、(一般)NISAにはロールオーバーが可能になっています。非課税期間の期限が終了しそうになったときに翌年の非課税枠を使用して、非課税期間をさらに5年伸ばすことができます。なお、その延長使用とした資金が翌年の枠である120万円を超えていても全額延長させることは可能ですが、翌年はNISA口座を使用した新規投資はできません。
また、(一般)NISAは投資可能期間が2023年までとなっていますが、既に延長が決まっています。
あなたにはどちらの口座が合っている?
■投資に慣れてきたら株式、ETFにも投資してみたい
(一般)NISAが最適です。つみたてNISA口座では株式に投資することができません。
■毎月3.3万円超、ボーナスでも積立投資したい
(一般)NISAが最適です。年間120万円まで新規投資できるため、毎月最大10万円またはボーナスでの投資も可能です。
■投資について何も分からない、今後も株式に投資することはない
つみたてNISAが最適です。つみたてNISAは投資について何も知らない人でも損をしにくいような仕組になっています。少額で積立投資することは、今が安い高いなどの相場感覚がなくても毎月購入することで、買付タイミングを予想をしなくても取得単価を引き下げる効果があり、長期で続けることで損失リスクを低減しながら、利益を狙うことができます。また、投資できる商品も限定されているので、何も分からずにリスクの高い投資信託を選んでしまうことはありません。
上記を参考に自分に合った口座を選んでくださいね。
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フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。