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『TA』は多くの大学で採用されており、学校側と学生側の双方に利益がある制度となっています。何となく存在は知っていても、詳しい仕事内容が分からない人もいるでしょう。TAの仕事内容や応募の仕方などを紹介します。
TAとは?
TAは比較的新しい制度なので、自分が学生の頃はなかったという人もいるでしょう。また、どの大学も一斉に始めたわけではなく、段階的に取り入れられてきた制度です。TAの目的や仕事内容を紹介します。
TA制度の目的
TAは『Teaching Assistant(ティーチング・アシスタント)』の略称です。日本語に訳すと『教育補助業務者』という意味で、教員を補佐し授業をサポートする役割を持っています。
TA制度は学生が学習しやすい環境を作るだけでなく、TAになった大学院生の教育力や指導力を高め、将来に役立てることを目的としているのがポイントです。
TAには決められた給与が出るので、大学院生の『経済的な助け』にもなります。授業を受ける学生とサポートする大学院生の両方にメリットがある取り組みといえるでしょう。
具体的な仕事内容
TAの仕事内容は、大学の授業をサポートすることです。教員だけでは手が行き届かない部分を手助けします。
仕事内容は多岐にわたり、学部によって詳細は異なるものの、教員の指示を受けて『出欠席の確認』や『講義に必要な資料の準備』などをすることが多いです。
学生からの質問への応答や、実験や実習をスムーズに行うためのサポートが必要になることもありますし、課題の添削を手伝うこともあるでしょう。
講義や実験の内容は学部生だったころに一度は経験しているため、仕事を一から覚える必要がないところがメリットです。
給与はどれくらい貰える?
TAの給与は大学によって異なり、講義1コマあたり2500円程度の場合もあれば、時給1000~1300円程度の場合もあります。学部や授業内容によって金額に違いがあることは珍しくありませんし、私立か国公立かなどによっても違いがあるでしょう。
講義前の準備や後片付けなどの時間も含め、2~3時間の拘束となる場合が少なくありません。比較的高い時給で働ける点だけでなく、勤務先が大学内なので通勤時間がかからない点も魅力です。
短時間で効率よく働けるため、自身の学習や研究に使う時間も容易に確保できるでしょう。
出典:中央教育審議会 大学分科会 制度部会(第22回(第3期第7回))議事録・配付資料 [資料2-1] ティーチング・アシスタント(TA)について-文部科学省
どうしたらTAになれる?
TAはどのような人にでも向いているわけではありません。やりたくても、募集が限られていることもあるでしょう。TAに必要なスキルや応募方法を紹介します。
必要なスキル
TAは、資料を印刷したりまとめたりといった『事務能力』だけでなく、学生から授業内容に関して質問されたときに的確なアドバイスをする能力が求められます。ある程度の『コミュニケーション力』は必要となるでしょう。
学習がうまくいかない学生がいれば、授業を補完するためのサポートが必要となります。仕事を通じて、多くの学生たちと直接コミュニケーションを取ることになるのです。
学生にとってTAは、教員よりも年齢が近く身近な存在であるため、頼りにしやすいでしょう。
TAにとっても、人に教えることで自分に不足している部分が見えてくることもあり、学生をサポートする経験は自身の成長につながると考えられます。
応募方法
TAの応募方法は、基本的には募集期間中に必要書類を提出します。
学生課の掲示板や大学のホームページを見て、募集がないか調べてみましょう。春と秋に1回ずつのように前期と後期で募集する場合もあれば、年に1度の場合もあります。
ほとんどの場合、応募には教員からの『推薦』が必要です。必要な要項は大学ごとに異なりますが、基本的には『研究熱心な学生』や『優秀な大学院生』が対象のため、教員から直接誘われることもあるでしょう。
TAに関連する大学でできるアルバイト
大学で学んだ専門知識を生かし、学校で働けるアルバイトはTAだけではありません。TAのように大学内で働ける他のアルバイトを見ていきましょう。
SA(スチューデント・アシスタント)
SAは、大学院生だけではなく学部の上級生も対象にしており、授業の補助業務を行います。仕事内容は大学の方針によって違いますが、専門知識がなくてもサポートできる、事務的な仕事をすることが一般的です。
どちらかというと学習のサポートというよりは、教員の『秘書』のような役割をします。資料の整理や配布・出欠の確認・プロジェクターのセッティングといった業務を想像すると分かりやすいでしょう。
学生からしてみると、大学院生よりも学部の先輩の方が身近な存在であるため、親近感が湧きやすい特徴があります。
RA(リサーチ・アシスタント)
RAは、大学が行う研究プロジェクトに『研究補助者』として参加します。講義を円滑に進めるために必要なTAとは異なり、『若手研究者の育成』を目的として設けられた制度です。
対象は大学によって異なりますが、博士後期課程院生のみを対象としている場合が少なくありません。
TAが教育に関する補助をすることに比べ、RAは研究に関わる補助を行います。実験のサポートや研究論文の作成・発表の手伝いなどがメインとなるでしょう。
構成/編集部