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コスパのいいワインセラーを探している人におすすめのフォルスター「ホームセラー FJH-127GS」

2021.03.07

 ワインに目覚め、どっぷり浸かった1990年代後半、5大シャトーでも2万円はしなかった(もちろん、ビンテージは新しい)。ましてや、ロンドンやパリで買えば1万円前後だったと思う。海外出張帰りに、必ず空港で買った。“いいワインは長期熟成するべし”とは知っていたので、必然としてワインセラーを購入した。フォルスター製の「ロングフレッシュST-AF100」で、30本収納できるセラーだ。値段は20万円くらいだったと思う(後継の現行機「ST-AF140」(36本収納)は18万円ほどのようだ)。

もったいなくて飲めない5大シャトー(右端のラトゥールはラベルがはげて、サランラップで補正)。

 この頃は、簡単に買えるレア・ワインもあった。原則は特級しか作らないロマネ・コンティ社がリリースした1級ワイン「ヴォーヌ・ロマネ 1999」は、普通に新宿高島屋のワイン売り場で扱っていた。予約も抽選もなく、誰でも買える。このレア度は知っていたので、自分用に1本、友達に頼まれて1本、贈答用に1本購入した。まとめ買いではなく、日を置いた3回にわたる購入だ。つまり、即日完売ではない。1万円はしなかったと記憶する。ところがこの原稿を書くに当たりネット検索すると、概ね30万円弱で売られている。約20年で約30倍! 大変なシンデレラ・ワインだ! もっと買っておけばよかった。

「ヴォーヌ・ロマネ 1999」にしろ、5大シャトーにしろ、今やよほどの大義名分がない限り栓を開けられない超高級ワインだ。その意味では、早々にワインセラーを買ったのは大正解だった。

もったいなくて飲めないDRC。

 冷蔵庫の寿命は10年くらいのようだから、同じくコンプレッサーを使うワインセラーもそんなものだろうと思っていた。しかし我がセラーは購入24年目に突入するが、元気に働いている。上記2枚の画像を含む超高級ワインは、飲まないから減らない。近頃買うワインは高くても3000円クラスだが、たまにお買い得品があり、定価1万円クラスが格安で手に入ることもある。この手のワインも、やはり飲むに至らない。かくしてセラーはフル近くになり、入りきらない泡と白は冷蔵庫に、赤は床置きする。冷蔵庫の収納には限界がある。床置きは、夏になると厳しい。さらに今は元気なセラーだが、いつ壊れてもおかしくない。

24年ご長寿のワインセラー。

 ということで夏に向かうにあたり、新たにワインセラーを買うことにした。では、どのメーカーのどの機種にするか。24年前はフォルスター 、ユーロカーブ、他2社くらいしかメーカーの選択肢はなかった。今は10社どころではなく、かえって選びにくい。

 第一に重要なのは、収納本数だ。現在のワインセラーは収納30本だが、これでは足りない。最近のワイン購入スタイルは“お得な6〜10本まとめ買いセット”で、飲んでしまうと新たにまとめ買いする。飲むに飲めないワインが30本弱あるから、デイリーワイン用に20本分のスペース、収納本数50本前後ならば十二分と判断する。この条件を満たすセラーは、10機種を超す。

 次は予算だ。50万円級の高級セラーもあるが、年金生活者が思い切って買う贅沢品なので10万円級が分相応だろう。10万円級には、縦長セラーと(相対的に)横長セラーがある。縦長は設置面積を取らないが、高さがある。横長はその逆だ。僕の使ってきたワインセラーは横長だ。面積のある天板の上は、プリンター置き場にしている。プリンターが置けると便利なので、今回も横長にしよう。余談ながら、縦長は地震で倒れそうな気がする(補強すればいいことだが)。

ワインセラーの上面、背面、左右は放熱のためにある程度の空間を保つ必要がある。そこでプリンターは直置きせず、天板から20mm開けてガラス板を置き、その上に載せている。今回購入したセラーの取説には、上面100mm以上開けるようにとある。放熱が悪いと冷却力が弱まり、電気代の無駄につながるという。長年使ってセラー上に熱を感じとことはないが、電気代の無駄になっていたかどうかはわからない。

 これで数機種に絞れた。この中にフォルスター製品が2機種ある。他のメーカーはカタログ・スペック以外わからないが、フォルスターには24年間長持ちしているという信頼感がある。デザイン的には惹かれるメーカーもあったが、信頼のフォルスターに決めた。

 フォルスターの紙のカタログを見ると、横長セラーではトップ・ブランドたる「ロングフレッシュ」の36本収納、「ロングフレッシュ」の弟分的な「グランセラー」の49本収納と41本収納、そして普及タイプの「ホームセラー」50本収納がある。僕が絞り込んだ2機種は、「グランセラー」49本収納と「ホームセラー」50本収納だ。

 両者で大きく異なるスペックは、加温機能の有無だ。僕の「ロングフレッシュ」には加温機能はない(現行品にはある)。この機能のメリットをフォルスター に問い合わせた。説明を聞いて、“庫内の設定温度よりも室温が下がった場合、加温機能があれば設定温度に保てるが、ないと庫内の温度は室温と同じになってしまう”と理解した。極論すれば、室温が氷点下になれば庫内も氷点下になりワインが凍ってしまうということだ。だが僕が住むのは東京だし、冬はエアコンをつける。エアコンを切った就寝後、室内が厳寒になるという日は滅多にない。

 それより何より、約20〜24年間、加温なしのセラーで過ごしてきたワインを、今から加温ありで保存しても意味がないだろう。超高級とはいかないが、「ロングフレッシュ」で長期保存した高級ワインを飲み、劣化していたという経験もない。よって、加温機能は不要と判断した。ただしデザインは「グランセラー」の方がよく、インテリア性は勝る。価格差次第では、「グランセラー」もありだ。

 まずは「グランセラー」の価格から。価格コムを見ると、最安価格は大手量販店横並びで152900円(税込・送料無料)でポイント10%だ。僕の定番お買い物サイトのヤフーショッピングには、同額の152900円(同)ながら、全額PayPayで払えばPayPayとTポイントで17%つき、リサイクル料(「ロングフレッシュ」の処分費用)5370円にも同払いならPayPayとTポイントで8%つくという店があった。その上に調べた日は“ゾロ目の日”で5%オフ、4000円(5%オフの最大値)安くなる。支払額からポイント分を引くと、僕の計算では125123円となった。

 価格コムの「ホームセラー」は、大手量販店1社だけが75260円でポイント10%、他の大手は横並び2位の85000円でポイント10%。ヤフーショッピングでは、価格コムとは違う大手1社が最安価格の85000円、全額PayPay払いでPayPayとTポイントが10%、“ゾロ目の日”で4000円オフになる。リサイクル料+収集料6850円は、配送時に現金払いでポイントはつかない。リサイクル料+収集料を含めた支払額からポイント分を引くと、79550円となる。

「グランセラー」との価格差は約45000円だ。僕にはこの差は大きく、「ホームセラー」となった。余談ながらこの記事を書くにあたり改めて価格を検証し、「ホームセラー」は価格コムの75260円でポイント10%(リサイクル料+収集料6850円でポイントなし)の方が約5000円も安いことに気づいた。この不覚は、寄る年波か……。

「ホームセラー FJH-127GS(BK)」。カラーはレッドもある。

 さて「ホームセラー」が配達され、「ロングフレッシュ」を回収してもらった。24年前の「ロングフレッシュ」に置き換えたせいか、「ホームセラー」はかなりスタイリッシュに見える。スケルトンのガラス戸が効いていて、3ランクくらいお洒落になった感がある。「グランセラー」でなくても問題なしだ。

まとめ買い分を収納しても、スペースにはまだ余裕がある。

 ではワインの保存性能はというと、こればかりは比べようがない。5大シャトーを今すぐ飲んで問題なければ、「ロングフレッシュ」の性能は素晴らしいとなる。では飲まないまま時が経ち、やがて飲んだとしよう。その時に問題なければ、「ロングフレッシュ」も「ホームセラー」も素晴らしいとなる。だが駄目だった時は、「ロングフレッシュ」が悪いのか、「ホームセラー」が悪いのか、はたまた購入時からワインの状態が悪かったのか、判断しようがないのだ。 

 しかし買い換えて、改善された点がある。コンプレッサーの稼動音だ。「ロングフレッシュ」の音は大きかった。「ホームセラー」の音は、1ランク小さい。「ロングフレッシュ」は経年劣化で音が大きくなった可能性はあるが、それは今や不明だ。いずれにせよ、8万円ほどで収納本数は20本増え、稼動音は改善と、満足のいく買い物ができた。フォルスターのベーシック・ラインたる「ホームセラー」シリーズは、18本収納から84本収納セラーまで多種多様だ。デイリー・ワインに限らず、寒冷地でもなければ長期保存にも対応すると僕は思う。

文/斎藤好一(元DIME編集長)

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