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東日本大震災から10年、日本人の「減災」意識はどう変化した?

2021.03.01

東日本大震災から、間もなく10年が経過しようとしている。この10年あまりの期間において、日本人の間で、災害時に被害を最小限に留める備え・取り組みを指す「減災」への意識は、どの程度根付いたのだろうか?

ウェザーニューズではこのほど、震災から10年を前に、2012年から2020年にかけてのべ10万人に行った「減災調査」のデータを公開した。詳細は以下の通り。

避難場所の認知は10年で9ポイント向上も、避難経路や会社や学校周辺の避難に課題

避難場所の認知について「自宅付近の避難場所を知っていますか?」と質問した結果、2020年の結果では94%の方が「避難場所を知っている」と回答した。調査の記録が残っている2010年からの結果を見てみると、「避難場所を知っている」と回答した方は10年間で9ポイント増加し、避難場所の認知が年々向上していることがわかる。

ただ、避難場所を知っている方の中でも、“経路も場所も知っている”を選択した方は全体の約7割に留まり、4人に1人は避難場所を知っていても経路まで確認できてないことがわかる。

また「会社や学校付近の避難場所を知っていますか?」と質問し、同じ選択肢で回答してもらうと、「避難場所を知っている」と答えた方は約7割で、自宅付近と比べると2割も減少する結果となった。自宅周辺の避難所の認知が高い一方で、会社や学校付近の避難所の認知はまだまだ十分ではないことがわかる。

※2016年までは「自宅付近の避難場所を知っていますか?」と質問し“知っている”“知らない”から回答をもらった。

2018年以降は「自宅付近の避難所を知っていますか?」と質問し“経路も場所も知っている”“場所だけ知っている”“知らない”から選択してもらい、“経路も場所も知っている”と“場所だけ知っている”を「知っている」として集計した。

東日本大震災を機に備蓄意識が向上し、近年の相次ぐ災害で平均備蓄日数が増加

非常食の備えについて、「非常食、何日分備えていますか?」と質問し、“約1日分”“約3日分”“約1週間分”“用意していない”から選択してもらった。2020年の集計結果では、非常食を備えている方は全体の7割を超え、震災前から比べると2割も増加している。

震災前の2010年からの平均備蓄日数の変化を見てみると、2011年の東日本大震災を機に日数が大幅に増加したことがわかる。震災から5年が経過した2016年と2017年は備蓄に対する意識がやや低下したが、2018年からは再び上昇に転じた。

2017年には九州北部豪雨、2018年には西日本豪雨と豪雨災害が続き、さらに、大阪北部地震や北海道胆振東部地震など大きな地震も続いた。また、2018年の台風21号、2019年の台風15号、19号の上陸では大きな被害が発生した。大規模な浸水や長期の停電など、大きな被害の経験から、備蓄に対する意識が向上したのではないかと考えられる。

災害の情報源は10年間でインターネットがテレビ・ラジオを逆転

災害時の情報入手について「災害の情報入手の際、まず何を使いますか?」と質問し、“防災無線”“パソコン”“スマホ”“テレビ”“ラジオ”から選択してもらった。

回答を集計した結果、約6割の方がスマホから情報を得ていることがわかった。2010年からの結果を見てみると、2016年の調査までは過半数が「テレビ・ラジオ」と回答していたが、2018年には“パソコン”と“スマホ”を合わせた「インターネット」の割合が、「テレビ・ラジオ」の割合を上回った。

この10年で「インターネット」と「テレビ・ラジオ」の割合がちょうど逆転している。SNSやスマホの通知サービスが急速に普及し、自治体からの情報発信や、被害状況の把握にも活用されてきていることが背景として考えられる。

また、スマホの使用に欠かせない「モバイルバッテリー」の所持率を聞いた2019年の調査では、全体の約7割がモバイルバッテリーを持っていると回答していた。災害情報の主な情報源がスマホになるに伴い、モバイルバッテリーもいざという時の備えに必要不可欠なものとなってきている。

●公開データについて
<「東日本大震災の記録」サイト>
https://weathernews.jp/quake_tsunami_311/
<調査年>
2012年、2015年、2016年、2017年(結果のみ)、
2018年、2019年、2020年の計7回
<調査人数>
のべ人数:101,033人
※調査ごとの回答数はサイトに記載
<調査方法>
当社で展開するウェブサイト及びスマートフォンアプ
リ「ウェザーニュース」の利用者を対象に調査を実施
<データについて>
・形式:csv
・内容:各質問への回答、都道府県、年代、性別

※注意事項
1.本調査は、ウェザーニューズが独自に実施したもの。また、調査実施当時と比べて、回答数など数字に多少の差異があるが、有効回答など内容を精査した上で数字を集計し直している。
2.公的機関や報道機関の調査・発表資料などと合わせて、情報の一つとして参考にしていただきたい。

出典元:株式会社ウェザーニューズ

構成/こじへい

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