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日銀が買い入れているETF、どんな銘柄を購入しているのか?

2021.03.02PR

2010年から日銀はETFやREITの買い入れを行っています。直近の日経平均3万円を超える株高の要因の一つともいえますが、逆に株価が大きく下がるときには下支えとなっています。

具体的にはどのような銘柄を購入しているのでしょうか?

現在日銀がETFを購入し株価を下支えしている

2010年10月5日に行われた金融政策決定会合で「包括的な金融緩和」として、資産買入等を行うための基金を創設し、この買い入れ資産の対象として国債、国庫短期証券、CP、社債、ETF、J-REITとすることに決定し、実際には同年12月15日から買い入れが行われるようになりました。

当初は、リスク性のあるETFやJ-REIT等の資産を日銀が買い入れすることで、リスクのある資産への投資の呼び水になると考えられ導入されました。導入後は株価下落時には日銀の買い入れが意識され、株価下落時の下支えとなり、日経平均は3万円を超える高さとなりました。

このETFやREITの買い入れがどのタイミングで行われるかというと、市場の相場状況に関係なく定期的に買い入れを行っている場合と相場の状況に応じて臨機応変に買い入れを行っている場合があります。

後者の場合では、TOPIXの前場(午前中の取引)が前日比0.5%以上下がれば、日銀の買い入れが入るとされています。

日銀が購入するETF、REITとは?

ETFとは、投資信託が株式市場に上場しているものをいい、上場投資信託ともいいます。

投資信託とは、小口で集めた資金を大きな資金にして投資し、株式などの複数銘柄をパックにして運用しています。小口の資金でも、複数銘柄を分散して投資でき、運用はプロ投資家が行うため、初心者の方でもお任せで運用することができます。その投資信託が上場していることで、株式のように株式市場が開いている間はリアルタイムで売買することができます。

ETFはTOPIXや日経平均など株式指数に連動させて運用されています。

一方、REITは上場不動産投資信託ともいい、小口で集めた資金を大きな資金にして複数の不動産に投資し、その売却益や家賃収入で利益を得るもので、上場しているため株式のように株式市場が開いている間はリアルタイムで売買することができます。ETFと異なり分配金が高いのが特徴です。

上記2つは、証券会社のみで売買することができ、証券会社の口座開設をすれば誰でも購入することができます。ETFは1~2万円単位での投資が可能ですが、REITは50万円単位程度と投資単位が高くなっています。

日銀はどんな銘柄を買っている?

日本銀行が買い入れを行っている銘柄は明確に公表されていませんが、日本銀行は買い入れについて基本方針を定め、信託銀行を通して時価総額の大きい銘柄を中心に購入しているようです。

■ETFの投資方針

・TOPIX
・日経平均
・JPX日経インデックス400

ETFで上記指数に連動させているETFであれば、どの銘柄でも指数に値動きはほぼ同じとなるため、どの銘柄を購入しても同じですが、日銀は時価総額の大きい銘柄を購入しているようです。

もし、購入するのであれば、値動きは連動対象の指数が同じであるならどの銘柄でも同じとなるため、信託報酬が低いものがおすすめです。

定期的に年間3,000億円の買い入れを行っているのは、「設備投資及び人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF」で、以下の銘柄です。

・MSCI日本株人材設備投資指数(1479)
・野村企業価値分配指数(1480)
・JPX/S&P設備・人材投資指数(1484)
・ダイワ上場投信-MSCI日本株人材設備投資指数(1479)
・NEXTFUNDS野村企業価値分配指数連動型上場投信(1480)
・上場インデックスファンド日本経済貢献株(1481)

上記ETFの投資額は年間3,000億円であり、TOPIXや日経平均に連動するETFへの投資金額の年間12兆円のインパクトの方が大きいため、TOPIXや日経平均に連動するETFへの投資の方がおすすめです。

■J-REITの投資方針

・格付AA以上であること(連帯保証している場合には保証企業が格付A以上であること)
・運用対象が不動産、不動産貸借権及び地上権、資産担保証券
・売買成立日が年間200日以上
・年間の累計売買金額が200億円以上

上場しているREITであれば上記条件はほとんど該当している銘柄が多いものの、日銀は発行投資口の10%を超えて保有することができないため、幅広い銘柄が対象となりそうです。

また、REITの価格が上昇し日銀の保有割合が10%を超えると、日銀の売却が入ります。

買い入れは継続するのか?

この決定時の議事録では、本来金利などの操作を通して金融政策を行う中央銀行(日銀のこと)が直接ETF等を通して企業の株を買うことは金融政策の範ちゅうを超えていること、直接リスク性のある資産を購入することは日銀が損失発生のリスクを負うことになること等の問題点があることから時限的な措置とすべきという意見もありました。

しかしながら、新型コロナウィルス感染症の拡大による株価の一時的な暴落などがあり、結局これまで買い入れが続けられてきました。

2021年1月21日の金融政策決定会合では、引き続きETF及びJ-REITの買い入れをそれぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に積極的な買い入れを行うとしています。

一方で、TOPIXの前場(午前中の取引)が前日比0.5%以上下がれば、日銀の買い入れが入るとされている0.54%下げた2月19日のTOPIXでは、日銀の買い入れが入りませんでした。

0.5%下げても買い入れが入らなかったのは、2016年3月以来の5年ぶりとなりました。

さらに、日銀は3月18、19日に行われる金融政策決定会合で金融政策の枠組みを点検するとしており、日経平均が3万円を超しバブルなのではとする世の中の意見もあり、この資産購入に変更があるかもしれません。

(参考)
指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領 : 日本銀行 Bank of Japan (boj.or.jp)
金融政策決定会合議事録等(2010年10月4、5日:議事録) (boj.or.jp)
金融政策決定会合議事録等(2010年10月28日:議事録) (boj.or.jp)
日銀 「当面の金融政策運営について」k210121a.pdf (boj.or.jp)

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文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。

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