■連載/阿部純子のトレンド探検隊
テイクアウトとキッチンカーでの店舗展開で5年以内に全国300店舗を目指す
ものまねタレントのコロッケさんがプロデュースする、コロッケ専門店「コロッケのころっ家」1号店が、新小岩のルミエール商店街内にオープンした。
41年と長い芸歴を持つコロッケさんだが、名前だけを提供するタレントショップとは一線を画し、今回の事業のため運営会社の「コロッケエンターテイメントフーズ」を設立。コロッケさん自身が企画開発からフランチャイズ事業まで深く関わっていくという。オープンに先駆けて行われた事業戦略発表会にもコロッケさん自身が登壇し、プレゼンテーションや質疑応答に対応した。
――コロナ禍で飲食業界が厳しい中、この時期に立ち上げた理由は?
「コロッケの名で活動を始めた何十年も前から、コロッケ屋をやらないかという話はあったが、当時は芸に専念したい気持ちがあって実現しなかった。しかしコロナの影響で、コンサートなど舞台をメインに活動してきた私も大きな打撃を受けた。地方の方々や飲食店さんなどからも何か新しいことを始めないとこのままではやっていけないというお話を聞き、町おこしや、商店街活性化の一環としてコロッケという名を良い意味で利用できないかと、事業を立ち上げることを決めた」
――1号店を新小岩にした理由と今後の展開について
「新小岩はテレビに出る前の下積み時代に、スナックなどを良く回っていたこともあり新小岩の商店街の方々にもお世話になった場所。少しでも商店街の活気につながればと1号店の出店をこの場所に決めた。テリー伊藤さんの唐揚げ屋さんも近くにあり(笑)、話題性としてもありがたいかなと。
今後はフランチャイズ展開をしていくが、これだけは必ずやると決めているのが、新店舗には全国どこでも自分が顔を出すということ。やるからには事業として責任を持ってとことん関わっていきたいと考えている。フランチャイズ店舗の応募があったときもできる限りお会いして話を進めていきたい。
コロッケエンターテイメントフーズでは、持ち帰りフードの専門店として、路面店と移動販売車のキッチンカーをメインに5年以内で全国300店舗での展開を予定している。将来的には、食事をしながらものまねショーが見られるようなエンターテイメントの方向も考えている」
――「コロッケのころっ家」で扱うメニューについて
「商品開発は人任せにはしないで、企画開発から試食まで関わっている。定番のビーフコロッケやメンチカツに加えて、出店地の名物を使った限定コロッケの商品開発も行いたいと思っている。新小岩店限定の『新小岩コロッケ』(180円・税込み以下同)は、新小岩の周辺で小松菜の栽培が盛んだと聞き、小松菜をメインにお揚げと鶏肉を使ったおひたし風の和食感覚のコロッケに仕上げた。初めて来店する方にひとつだけをおすすめするとしたら、新小岩コロッケかな。
コロッケには小麦粉を使っているので、小麦粉アレルギーの方でも食べられるものとして私から提案したのが、じゃがいもを使った『いももち』(8個入り・200円/250円)。北海道ではおなじみの郷土料理だが、チキンナゲットほどの大きさでおやつのような感覚で食べられる。あおさ塩、キムチ、カレー、コーンポタージュ、トリュフ塩の5種類のフレーバーから選べて、粉末状のフレーバーをシャカシャカと振っていももちと合わせて食べる。
ころっ家オリジナルのスイーツ(各500円・オープン特別価格)も開発。『抹茶のコロッケパフェ』は、あえて抹茶の味を濃くして甘めのコロッケを合わせている。「かぼちゃとさつまいものコロッケパフェ」は、甘すぎないソフトクリームなので、かぼちゃとさつまいもという甘めのコロッケと合わせて食べるととてもおいしい。アイスと揚げ物ってどうなの?と思われるかもしれないが、私はおいしいと思っている(きっぱり)。
季節ごとにも新しいコロッケを出していきたいと考えている。自分もそうだが、いつも同じラインナップでは、だんだん足が遠のくこともあるので、季節ごとに期間限定の商品を開発していきたい」
――店舗にもコロッケさんらしい演出があるが
「店内で流れている『コロッケの唄』は、五月みどりさん以来リメイクしている人はいないそうで、『ころっ家の唄』としてものまねを入れながら歌っている。商店街なので、周りからうるさいと言われない限りは流していきたい(笑)。
店頭には私より顔のデカいフィギュアを設置。背が高いと倒れやすく危険なので、土台がしっかりして顔はデカく、遠目から見てもすぐにわかるものを、と注文したらこんな形に出来上がった。店に来たときはぜひ記念撮影をしていただければ」
――芸名が「コロッケ」じゃなかったらコロッケ屋はやらなかった?
「デビューしてすぐの頃は芸名を変えたいと思ったこともあったが、芸名がメンチカツだったら、ここまで広く皆さんに覚えてもらえなかったかもしれないし、コロッケだからこそこの店も作ることができた。
これはネタではなく本当にあった話だが、名前があまり知られていない時に、デパート屋上のイベントで『コロッケショー』をやったが、一番前の席におばさま二人が箸を持って待っていて、私がちあきなおみさんの『喝采』のものまねでステージに出ていくと、おばさまの一人が箸を落っことした。きっといろいろなコロッケが食べられると思って来たのだろうなと(笑)。ややこしい名前だと自分でも思っているが、コロッケの名前で少しでもみなさんが笑顔になれるとしたら、この芸名で良かったなと思っている」
【AJの読み】今夜のおかずはコロッケと…唐揚げ?
1号店のオープンと共にフランチャイズ店舗の募集も開始。コロッケさんプロデュースのブランド力に加え、コロナで打撃を受けている飲食店の事業転換を想定しており、専門の職人を必要としないシンプルなオペレーション、10坪程度の小規模スペースで住宅地での立地と、運営店舗の省力化、初期コスト低減による高い生産性をアピールしていく。
コロッケさん自身が語っていたように、単なるタレントのお店ではなく、一から味にこだわった商品づくりをしているのが特徴だ。定番のビーフコロッケとジューシーメンチカツは黒毛和牛を使用しおいしさを追求。「特製 トマトチーズコロッケ」(220円・①)、「特製 しそと塩昆布のコロッケ」(150円・②)といった変わり種や、大分・湯布院の生乳を使用した「きのこグラタンコロッケ」(220円・③)、福岡の明太子がたっぷり入った「明太クリーミーコロッケ」(240円・④)、ゴマ入り衣の「おさつコロッケ」(120円)などスペシャルメニューも。
和牛ビーフコロッケ3個と特製 和牛入りジューシーメンチカツ2個の入ったお得な「ころっ家おためし5個セット」(999円・オープン特別価格)を試食した。コロッケはほっくりのじゃがいもと甘味のある玉ねぎの王道の味わい。メンチカツは黒毛和牛にもち豚も加えて、ジューシーだがくどさを感じない食べやすい味に仕上げている。
新小岩駅南口のルミエール商店街の中にあり、コロッケさんも相乗効果を期待していたテリー伊藤さんの唐揚げ店「から揚げの天才」から150mほど離れた場所。今夜のおかずはコロッケと唐揚げで決まり!だな(笑)。
文/阿部純子